中学校の先生ってどんなだったかなーって今思い返してみると、表向きは堅物ばっかりだったなぁと。で、教師を主人公にした漫画を読んでいると大体が型破りなんで、こういう先生がいたらいいなーっていう対象になりやすいんですよね。
そういう意味では本作の主人公は本音と建て前を使い分けていないというか、新しいジャンルの良い先生って言えるんじゃないかと思いました。というわけで今回は、熱量の低い教師物語「ガキ教室(全5巻完結済み)」を紹介します。
ガキ教室 あらすじ
ガキと面倒くさいことが大嫌いな前代未聞の新米教師・片桐晶。チャラくてテキトーな晶が問題児たちに立ち向かう…!!
ガキ教室の見所をチェック!!
子供嫌いの新米教師が主人公
学校中の問題児に対応する新米教師、それも人間的に教師っぽくないキャラが教鞭を取るっていう設定は既にGTOが先駆者として君臨してるわけですが、本作も系統としては一緒です。GTOは理事長に気に入られて採用になったけど、こっちは民間人校長とコネがあったっていう感じだし、生徒の厄介さはこっちがマイルドになってます。
一見するとチャラい感じのする主人公がなぜか教師になるという…。本人も子供嫌いを自負していて、読んでいるこっちも「なんで教師になったの?」って言わんばかりのアレなんだけど、ここには大きな秘密が隠されているって感じです。
あんまり情熱的にならない先生っていう部分で新時代の教師モノって感じがするのと同時に、なんだかんだで生徒のために体を張ったりするシーンも多く、生徒たちとの間に絆みたいなものが芽生えていく様子は必見。
モンスターペアレントとの交流
クラスの問題児については「この子供にこの親あり」っていうケースが多く、僕は家庭訪問なんかしたことがないけど容易に想像できるようなあるあるに溢れていました。中学生でヤンキーっぽい奴の親って、少なくとも真面じゃないような気がしませんか?
親もヤンキー上がりっていうそれだけならまだマシで、もっと言えば育児放棄みたいになっている親もいれば、学校や塾の成績で怒鳴り散らしてる親もいるっていうね。給食費未納、不登校なんかの社会問題にも触れつつ、そこまで過激的にならない現実的な範囲で描かれている漫画です。
そういう問題に熱量の低い新米教師が着手するんだけど、熱量が低いだけでいわゆる「触らぬ神に祟りなし」を体現しているって感じの主人公ではないから、なんだかんだで生徒のことを考えてるっぽい感じがたまりません。
主人公をクビにしようとするPTAの動き
教師を主人公にした漫画で言えば鉄板と言ってもいいのが、主人公の問題点を挙げてPTAが動くというシーンです。現実世界を見ていると「ここまでやってもクビにならないの!?」みたいな事例が山ほど出てくるだけに、ぶっちゃけ違和感しかないんだけど教師漫画も登竜門と言っていいでしょう。
まぁ今はどんな理由があっても体罰はだめだって言われてる世の中ですから、言っても聞かない生徒に対してどう接していくかっていうのは難しいところではないかと思います。
「主人公がAくんを叩いてしまう→Aくんの親が主人公をクビにしようと働きかける→その過程で周りの生徒やAくん自身が逆方向に働きかける→主人公がクビを回避」みたいな展開は何度も見てきたけど、主人公の熱量が低すぎて割と新しい感じの展開になっているのに驚きました。
所々に既視感はあるんだけど、そのどれもが少しリニューアルされている不思議な感じっていうんでしょうか。割と新鮮な気持ちで楽しめる全5巻です。
ガキ教室 全5巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
小沢としお氏の作品は「ナンバMG5」を始めとするヤンキー漫画が多いという印象でしたが、教師モノっていう相反するような漫画も描けるんですね。全5巻で読みやすくて非常に面白かったです。
ハッキリ言ってGTOとほぼ被ってるので、あとはリアリティを感じられるかどうかっていう部分で好き嫌いが分かれそうです。GTOは軽くファンタジーが入ってますけど、こっちは割とリアル志向じゃないかと思いました。
クセのある生徒とその親、中学校で巻き起こる数々の問題や事件。この辺りが想像できる範囲というか、自分の中学校時代を振り返ってみても似たようなことがあったと思えるバランスなので、肩の力を抜いて教師物語が楽しみたいという人には最適な漫画だと思います。
あとがき
年上のボインちゃんが好みの25歳です!!