ぶっちゃけ僕は今まで物を分ける時に、厳密にしっかり分けてきたことがあまりありません。例えばケーキを三人で分けろって言われたら、三等分にするっていう選択肢は取ってこなかったような気がします。
それこそ誰かの誕生日会とかで三人で分けるってなれば、四等分して主役に二個あげるくらいのことはしてあげたいものです。あ、ちなみに本作はそういう話ではありません。
というわけで今回は、少年院と境界知能の闇に迫った「ケーキの切れない非行少年たち(連載中)」を紹介します。
ケーキの切れない非行少年たちのあらすじ
少年院に収監される非行少年たちの中で、少なくない確率で境界知能の少年がいる…!『「子供を殺してください」という親たち』の鈴木マサカズ最新作!! 累計60万部突破の新書漫画化! 少年院と境界知能の闇に迫る!!
ケーキの切れない非行少年たちの見所をチェック!!
非行少年と知能の関係性
みんながみんなってわけじゃないのは当然として、やはり少年犯罪を引き起こしてしまう少年の中には知能が低いとされてしまう子が一定数いるようで、その確率は全体的に見ても決して低くないそうです。
でも知能が低いって言われても具体的な例がないと分かりにくいじゃないですか?そこで紹介されているのが「ケーキを三等分にできない」というものです。2つの物を半分にすることはできるけど、割り切れないものはちょっと難しいっていう感じでしょうか。
完全に正確にって言われたらアレだけど、アバウトでいいならベンツとか三ツ矢サイダーみたいな形に切ればいいっていうのは、小学生の段階で理解できるという人がほとんどだと思います。でもそれが出来ないっていう観点からみると非常に面白いというか、友達と一緒に何かを分けたりする環境って重要なんだなぁと思わされるでしょう。
非行少年にありがちな傾向
個人的にもちょっと思う部分があるというか、他人との距離感が掴めないっていうのが悪い方向に出てしまうと犯罪に走りやすくなるのかなーってのは思ったことがあります。社交辞令を真に受けるとか、お世辞をそのまま受け取るとか。
僕なんかは逆に卑屈すぎて何も期待しないからアレなんだけど、やっぱ期待していたのに裏切られるってことが続くと不信感が募っていくような気がします。で、非行少年にも「ちょっとしたお世辞を真に受けてしまう」という傾向があるようです。
もちろんそういう人でも非行に走らない人は山ほどいると思うんだけど、なんとなく分かるような気がしませんか?「あーこいつはなんかやりそうな気がする」っていう不良タイプじゃなくて、ちょっと暗めで何を考えているのか分からないようなタイプの少年はこの傾向が強そうな気がしました。
このように非行少年にありがちな傾向を精神科医の観点から紹介してくれるので、とても興味深い内容となっています。
同じ過ちは繰り返さないと誓ったはずなのに
僕は少年院にも刑務所にも入ったことがないからアレだけど、考え方によっては「一般社会よりも刑務所の方が生きやすかったりしないだろうか…」って思うことがあります。特にブラック企業なんかに入って肉体的にも精神的にも追い込まれることを考えたら、刑務所の方が楽そうな気がしませんか?
そもそも本当に嫌な場所だったら再犯率とか低いと思うんです。社会復帰してまた同じ過ちを繰り返して刑務所に入るっていう人が一定数いる以上、そこまで住みにくい場所でもないのかなーなんて思ったりします。
いずれにしても本作では、どこにでもいそうな少年が再犯をしてしまうまでのプロセスに触れられていて、ぶっちゃけ僕自身も環境次第ではいくらでもそっち側に行ってしまいそうな気がしました。自分は大丈夫って思えない部分がすごくダークで見応えたっぷりです。
ケーキの切れない非行少年たち 1巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
あからさまな不良とはまた違う非行少年にスポットが当たっていて、ケーキが切れないっていうのもそうだけど知能に関係しているってのがすごく興味深かったです。個人的には「知能が高くない=感性が鈍くてあまり怒ったりしない」っていう方向に行くんじゃないかと思っていたので、ちょっと意外な気がしました。
とは言えケーキの三等分の話なんかは、やっぱ家族で誕生日を祝ったりとか友達と遊んでいておやつを食べるっていう機会も勉強だったんだなぁって思ったし、そういう触れ合いがないと非行少年になってしまう可能性が高くなるっていうのも何となくだけど分かるような気がします。
今後はいろんなタイプの非行少年や非行少女にスポットが当てられていくはず。どんなパターンがあるのか今から楽しみです。
あとがき
まぁそこまできっちり等分されても引いたりしそうだけどなぁ。