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「スマイリング!~晴れやかなロード~」を読んだ感想・レビュー

スマイリング!~晴れやかなロード~表紙
Ⓒスマイリング!~晴れやかなロード~表紙

自転車を題材にした漫画は増えてきたと思うし、今は自転車人気みたいなのも好調じゃないかと思います。一時期に比べて健康志向の人が自転車に乗るっていうケースも増えてきたのではないでしょうか。

一方で、少年たちが挑戦するにはお金が掛かってしまう競技でもあるような気がするんだけど、本作はそんな逆境も跳ね返す熱量のある自転車漫画です。というわけで今回は、夢に向かって奔る少年と夢を取り戻そうとする自転車屋のおっちゃんが起こす奇蹟の物語「スマイリング!~晴れやかなロード~(全3巻完結済み)」を紹介します。

本記事には物語序盤の若干のネタバレを含みます。

スマイリング!~晴れやかなロード~のあらすじ

ロードバイクに憧れ、函館市内の中学に通う関口俊太、14歳。だが、父は失踪し、母との貧しい生活を送る俊太は仲間とのロードバイクの練習にママチャリで参加し「はみ出し者」扱いだった…。そんな折、自転車屋のおっちゃん・岩熊と出会い、岩熊の温かくてデッカい心に触れることで、俊太の14歳の夏が「ツール・ド・函館」に向かって動き出していく……。夢に向かって奔る少年と夢を取り戻そうとする自転車屋のおっちゃん。二人が起こす“奇蹟の夏物語”……。

スマイリング!~晴れやかなロード~の見所をチェック!!

複雑な家庭環境で育っている少年が主人公

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Ⓒスマイリング!~晴れやかなロード~

本作の主人公は中学生の少年で、仲間たちのロードバイクの練習にママチャリで参加しているという…序盤からちょっと訳アリな感が漂っています。とは言っても単純に「自転車が好きだけどロードバイクを買うお金がない」っていう話なんだけど、そのせいでクラスの子からからかわれたりしているんですよね。

ちなみに主人公が乗っている自転車は過去に父親が買ってくれた物で、それをすごく大事にしているっていうのは素敵に感じました。ただ、いくら自転車が好きで自転車乗りとしての才能があったとしても、さすがにロードバイク相手にママチャリで付いていくのは難しいじゃないですか?

そんな少年が逆境を跳ねのけて「ツール・ド・函館」に向かって動き出していくという物語です。「馬鹿にしてきたクラスメイトたちの上に行けるのか!?」みたいな部分は大きな見所と言っていいでしょう。

自転車愛に溢れている物語

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Ⓒスマイリング!~晴れやかなロード~

主人公はあることがきっかけで近所の自転車屋のおっちゃんと仲良くなります。まぁこの自転車屋こそが、かつて父親が自転車を購入したお店なんだけど、このおっちゃんとの出会いがこの先の運命を劇的に変えることになるんです。

というのも主人公には父親がいなくて母親も一見するとろくでもない大人だからなのか、この自転車屋のおっちゃんがめちゃくちゃ際立っていてまさに父親みたいにすら見えてくるんですよね。もっと言えばこのおっちゃんがそこまで目をかけてくれる要素こそが、僕らが応援したくなる原動力というか本作の魅力と言っていいと思いました。

主人公の人柄の良さ、そしてそれを支えてくれる人たちの温かさに溢れている自転車漫画と言っていいでしょう。

自転車のおっちゃんによる粋な演出と挑戦の行く末

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Ⓒスマイリング!~晴れやかなロード~

自分がもしこの自転車屋のおっちゃんだったら、せいぜい「主人公が物欲しそうに見ていたクロスバイクをプレゼントしてあげる」くらいのことしか出来なかったと思います。

でも自転車を愛している人からすれば今乗っている自転車は特別な存在なわけで、主人公にとってのそれは父親が買ってくれた物っていう思い入れもあるわけです。その自転車をレースで戦えるような仕様に仕上げてくれるなんて、この段階でめちゃくちゃ感動してしまいました。

このマシンに乗って 「ツール・ド・函館」 に出場する主人公が、どんな結果を残すのかっていう部分も見所だし、それ以上のドラマにも期待してOKです。

スマイリング!~晴れやかなロード~ 全3巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

色んな要素がギュッと詰まっていて、王道のスポーツ漫画っていう流れを汲みながらも自転車特有の要素をしっかりと取り入れている全3巻でした。予想外って言ったらアレだけど、めちゃくちゃ感動しました。

恵まれない環境から少しずつ環境を改善していって、逆境を跳ね返していくという典型的なやつなんだけど、その根底にあるのが家庭環境とかクラスメイトによる嘲笑とかなので、読んでいるこっちが「主人公がんばれ!」になっちゃってそれ以外の感情が出てこないんです。

悔しさとか見返してやりたいっていう感情が原動力なので熱さもあるし、自転車愛みたいなのも感じられるし、とにかく応援したくなる自転車漫画と言っていいでしょう。全3巻でサクッと読めるし、終わり方も綺麗だったと思います。

あとがき

「ツール・ド・函館」 優勝するから!!