殺し屋系の漫画を読んでると、ちょっとギャグテイストにされていたら「おいおい、人を殺すのにそんなんでいいのかよ…」とか思ってました。でもよくよく考えたら、殺し屋にとっては人を殺すことが日常的なことであって、もう感覚的に麻痺しているのかもわかりませんね。
そんな殺し屋の姿を描いた作品で、キャラ設定が非常に珍しい作品があるんです。爺さんとか見た目は若者の青年なのに中身が子供とか…。
というわけで今回は、掴み所のない男たちが殺し屋として活躍する様子を描いた「スモーキング(全5巻完結済み)」を紹介します。
※コミックス1巻のみ、軽いネタバレがあります。
スモーキング あらすじ
- 依頼された殺しのターゲットは始末した証拠にその彫り物だけを剥いでくる…通称、剥ぎ師。
- 元・地下格闘技界のチャンピオンで腕っぷしが強い…通称、潰師。
- 殺しの案件に必要な道具を調達する役目を負い、ミニガンの調達もお手の物…通称、物足師。
- クロロホルムで侵入先のターゲットを眠らせたり酸で相手を焼いたりする…通称、薬罪師。
普段はホームレスをしているが、本当の悪を叩く4人の男たち。彼らは同業者の中でも姿を掴むことができず、裏の世界では「スモーキング」と呼ばれていた。
スモーキングの見所をチェック!!
どちらかと言うとダークファンタジー寄りの作品
kindleの評価でも低評価になっている人の意見として多く見られたのが「現実的でない」という点。個人的には「殺し屋の姿を描いている時点でリアリティもクソもないだろ」って思うんだけど、確かにリアリティはあまり感じられない作風です。
例えば、報酬を受け取った帰りにヤクザに襲撃されるシーンがあります。そこでは車の中に積んでたミニガンで応戦するからね。ミニガンって見たことないけど、拳銃なんかよりよっぽどうるさいんじゃないの?てか、反動とかすごいんじゃないの?
そういうこともあって、どっちかっていうとダークファンタジー寄りの作品だと思います。でも、リアルな殺し屋ってたぶん仕事ぶりが地味だと思うし、これくらいエンター性が高い方がいいと思うんだけどなぁ。
因果応報の流れが好きな人が好む展開
本作に登場する殺し屋は「金さえ貰えれば誰でも始末する」って感じじゃなくて、本当の悪人しかターゲットにしないというポリシーのようなものを持っています。
ゆえに、始末するまでの一連の流れが描かれている相手は、総じて「人間的なクズ」であることが多く、読者のほとんどの人が読後にちょっとスッキリできるような作風になってるんですよね。
「どんな悪人でも救われるべきだ」という人には合わないかもしれないけど、かたき討ちの話が好きな人とか「目には目を歯には歯を」って考えの人は、たちまち好きになる世界観と言っていいでしょう。
銃や刃物で始末して終わりという単純な作業じゃない
一味に物足師や薬罪師という人間がいる以上、単に銃で撃って終わりって展開にはなりません。例えば上記画像ではスプレー(何かしらの薬剤)を使っています。
このようにありとあらゆる手段を用いてターゲットを捕獲し、あとは背中の彫り物を剥いで完了って流れが多いです。ここまでガスマスクを被ってるシーンが多い殺し屋漫画も初めて見た。
ホームレスや遭難者を装ってターゲットに近付いたり、あるいは捕まった仲間を助けるために運送業者を装って馳せ参じるシーンなんかは胸熱です。
スモーキング コミックス全5巻を読んだ感想・レビュー
基本的にはエピソード毎に登場する悪役が変わるので、すごくテンポ良く読めたという感じ。難癖を付けるなら代わり映えしないとも思いました。何かしらの悪人が出てきて、それを主人公たちが退治するって流れなんだけど、大体が先手を取られるんですよね。それを仲間が後から出てきて助け出すっていう…。
最初は「遅れてやってきたヒーロー」っつーか、CM後に強くなるヒーローみたいな感じで良かったのに、あまりにもその展開が多くなると「これ、主人公が強いんじゃなくて相手弱いんじゃね?」って思ったり思わなかったり。最初はすごく面白いと思って読んでたけど、途中から「またこの展開?」って思ってしまう部分はありました。
それでも主人公たちそれぞれにちゃんとした役割があって、誰もがアサシンスキルを持っているような超人じゃないって部分は、他の殺し屋系漫画と比べても斬新だったんじゃないかなって思います。ヤクザたちの抗争を描いた作品、裏社会を描いた作品、悪人を懲らしめる因果応報系の作品が好きだという人におすすめです。
あとがき
剥ぎ師とか超怖ぇ…。
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