初めて本作を読んだときに度肝を抜かれました。そして読めば読むほど引き込まれる大きな魅力に驚愕したものです。端的に言えば人間とチンパンジーの間に出来た子供が主人公の漫画なんだけど、とにかく奥が深すぎるくらいに深い！
ぶっちゃけ漫画の中にも色々種類があって、テーマだけで言うなら本作は『漫画が好きだという人たちが口を揃えて「これが名作!!」と騒ぎそうな漫画』っていう印象があるんだけど、そういう穿った見方をしてしまう僕も一気に夢中になってしまいました。これはもう序盤から超大作になりそうな空気感がハンパないです。
というわけで今回は、ヒューマンじゃなくてノンヒューマンドラマ「ダーウィン事変(連載中)」を紹介します。
ダーウィン事変のあらすじ
テロ組織「動物解放同盟（ALA）」が生物科学研究所を襲撃した際、妊娠しているメスのチンパンジーが保護された。彼女から生まれたのは、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーだった。チャーリーは人間の両親のもとで15年育てられ、高校に入学することに。そこでチャーリーは、頭脳明晰だが「陰キャ」と揶揄されるルーシーと出会う。「テロ」「炎上」「差別」……ヒトが抱える問題に、「ヒト以外」のチャーリーが、ルーシーとともに向き合うヒューマン＆ノン・ヒューマンドラマ。
ダーウィン事変の見所をチェック!!
主人公は人間とチンパンジーのハイブリッド
陰謀論や都市伝説なんかでは異種配合の噂が囁かれていたりもしますが、本作の主人公・チャーリーは人間とチンパンジーのハイブリッドです。…チワワとプードルを掛け合わせてチワプーとかそういうレベルじゃありません。
まず主人公の存在そのものに「人道的にそれってどうなの？」っていう大前提があるうえに、舞台がアメリカで人種問題やら差別意識やらがてんこ盛りで、とにかく複雑なストーリーとなっています。もうね、序盤の序盤でがっちり心を掴まれてもう読むのを止められないくらいに夢中にさせられました。
チャーリーはチンパンジーよりも遥かに人っぽくて、というか人よりも種族としては優秀と言っていいかと。チンパンジーよりも身体能力が高く、人間よりも賢いっていう感じ。見た目以外は完全に人っぽいんだけど、人としては何かが欠落しているというか何というか…とにかく10ページも読めば一気に引き込まれること間違いなし。
人と同じように暮らすヒューマンジー
主人公のチャーリーは普通に高校に通うことになります。まぁいくらチンパンジーじゃなくて人間の要素を持っているとは言っても見た目はチンパンジー要素が強めですから、そりゃ学校中の注目の的になるわけで。
好奇の目にさらされることもあれば、興味本位でちやほやされることもあり、女子人気に対してのやっかみがあったかと思えば、ヴィーガンであることが問題に発展したりと話題に事は欠きません。
ぶっちゃけ人間×チンパンジーの日常的な高校生活っていうテーマでも十分面白かったと思うんです。でも本作はそんな単純な物語ではなく、人種問題や差別意識なんかにも斬り込んでいる壮大なテーマになっています。
ハッキリ言って読者が100人いたら100通りの感じ方や感想が生まれるんじゃないかってくらい、それはそれは複雑なストーリーです。複雑って言っても理解できないとかそういう意味じゃなく、「どっちが正義でどっちが悪かとは一括りにできない」みたいな感じで単純じゃないって意味です。この読み応えがたまらん。
テーマが壮大すぎて物語の行く末がまったく予想できない
本作のジャンルは作者のうめざわしゅん氏による問題提起だったり、ヒューマンドラマ的な要素が強いと思うんだけど、バトルアクション要素も強めでサスペンス的な要素も孕んでいると思いました。
なぜ主人公のチャーリーが生まれたのか、そしてチャーリーを利用しようと目論む組織の存在など、ぶっちゃけ「コレ」という明確なテーマは序盤で語られていません。どんな方向に進むかがまったく予想できないという意味で、この漫画作品のポテンシャルはマジで計り知れません。
身体能力がハンパなく高いということもあり、拳銃を持った警官数人程度ならチャーリーの相手にならないからね。単純なバトルシーンも迫力があって面白いし、チャーリーの人間っぽい部分とそうでない部分のコントラストも見応えばっちりです。
ダーウィン事変の序盤を読んだ感想・レビュー
連載開始当初から「この漫画はやばい！」と方々で言われていたこともあり、まぁ控えめに言ってもめちゃくちゃ面白いです。それこそヒューマンドラマが好きな人には文句なしにおすすめだし、動物漫画が好きな人や深いテーマの漫画が好きな人にもおすすめ。
テーマが複雑すぎて作品概要を説明するのも難しいんだけど、とりあえず「人間とチンパンジーの間に出来た子供が活躍する話」って聞いてピンと来たら、試し読みしてみるといいです。最初の10ページも読めば先が気になってしまうくらいに面白いと思いました。
あとは動物解放同盟っていう団体が登場したり、ヴィーガンについてスポットが当てられていたり…。アフリカ系の人種やら白人やら、それはそれは世界各地でデモが起こっているようなテーマがごった煮のようになってるんだよね。僕自身、難しい話はあんまり好きじゃないけど、この手の難しさは興味をそそられる面白さでした。多くの漫画好きにおすすめしたい作品です。
あとがき
人間なのってどんな感じ？
