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「ハチミツとクローバー」を読んだ感想・レビュー

ハチミツとクローバー表紙
Ⓒハチミツとクローバー

アニメ化もされたし、ドラマ化もされたし、映画化もされました。本作を読んだとき、それらが当然のように達成されることは想像に容易く、多くの人に愛される作品になるだろうと思った人は少なくなかったはず。

最初から最後まで中だるみもないし、心に響くセリフ・場面が本当にたくさん詰め込まれている全10巻と言えるでしょう。まだ読んでいないという人はずるい!新鮮な気持ちでこの感動が味わえるということを羨ましく思います。

というわけで今回は、全てがドラマチックな恋愛・青春漫画「ハチミツとクローバー(全10巻完結済み)」を紹介します。

ハチミツとクローバーのあらすじ

6畳+台所3畳フロなしというアパートで貧乏ながら、結構楽しい生活を送る美大生・森田、真山、竹本の3人。そんな彼らが、少女のように小さく可憐な女の子・花本はぐみと出会い…!?

ハチミツとクローバーの見所をチェック!!

美大を舞台に繰り広げられる恋愛、青春物語

ハチミツとクローバー1
Ⓒハチミツとクローバー

本作の舞台は美術大学で、年齢も境遇も違う仲良しグループの恋愛・青春物語です。卒業制作に打ち込んだり、様々な事情から留年することになってしまったり、就職活動が上手くいかなかったり…。

割とどこの大学にもありそうな境遇が描かれていて、漫画だからと言って着飾られていない日常が描かれています。ままで等身大の美大生たちという感じ。だからこそ共感できるんじゃないかと思いました。「美大のことはよくわからん」という人も少なくないと思うけど、そんなの関係ありません。

ただの恋愛物語じゃなく、子供から大人になりかけている過程の青春という土台があって、そこに学校生活や自己投影や恋愛があるので、誰が読んでも楽しめる漫画だと思います。

人を好きになるのに理屈は要らない

ハチミツとクローバー2
Ⓒハチミツとクローバー

例えば小学生や中学生くらいの頃は、好きになる人に理由があるというケースが多いんじゃないかと思います。「優しいから」とか「可愛い/カッコイイ」とか、なんなら「運動神経が良いから」みたいな理由も少なくないでしょう。

それが高校生~大学生になると、ちょっと本能的になってくることってないですか?いわゆる「好きな理由が言語化できないけど、一緒にいたいと思うし一緒にいると心地良い」みたいなやつ。まさにそんな感じの恋愛観が楽しめます。

これがもうちょっと大人になっちゃうと「年収はいくら以上で~」とか「子供が好きな人」とか「煙草を吸わない人」とかになってくるんで、言葉を選ばずに言えば「恋愛が一番楽しくて、恋愛に対して一番夢を感じられた時期」と言っても過言ではないのでは?

いずれにしても本作のヒロイン、傍目から見て可愛いという感じではなく、主人公も「なんで好きになったのか分からない」という感じのスタートです。この感情がどう変わっていくのか、大きな見所と言えるでしょう。

登場人物がみんな主役級

ハチミツとクローバー3
Ⓒハチミツとクローバー

本作は基本的に「美大生の仲良しグループ」の全員が主役級です。一応、主人公の男の子と、その男の子が好意を抱いているヒロインの女の子が存在してますが、一般的な恋愛漫画とは一線を画している設定となっています。

というのは、これまでの恋愛漫画って主人公が女子だとしたら、ちょっと意地悪なんだけど気になる男子がいて、その他に「第二の男、第三の男、第二の女」が出揃ってわちゃわちゃする的な展開が多かったじゃないですか?で、最終的に主人公が第一の男と結ばれる的な。

恋愛漫画に対してそういう目で見ていると、本作を読んだ時の展開や結末には度肝を抜かれます。恋愛なんて最終的に蓋を開けてみなきゃ分からないわけで、そのリアルさを描いた漫画がここまで面白いのかと。僕の中では「ハチクロのおかげで恋愛漫画というジャンルの新しい扉が開いた」くらいに思ってます。

ハチミツとクローバー 全10巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

僕はあまり少女漫画を読んだことはないけど、今までに思っていた少女漫画という概念を見事に引っくり返されてしまうほどの衝撃を受けました。

恋愛漫画だと「誰と誰が最終的にくっ付くか」みたいなことがゴールだと思うじゃないですか?本作に関してはそれがゴールになってないです。付き合うか付き合わないとかどうでも良くて、人を好きになることの原点みたいなものが本気でぶつかってくるという感じ。

それでいて将来の進路を決めることへの葛藤とか迷いとかもあって、すごく良い経験ができている大学生活を羨ましく思います。大人の読者にとっては懐かしさや眩しさ、若い読者にとっては勇気や共感に繋がる恋愛漫画です。

あとがき

あげられるものなんて、心くらいしかないから…君に渡そうと思った。