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「刃牙道」を読んだ感想・レビュー

刃牙道
Ⓒ刃牙道

マイク・タイソンってめちゃくちゃ強かったじゃないですか?でも現代のボクサーと比較するのは間違ってると思うんです。例えばタイソン・フューリーと比較するにしても、マイク・タイソンには「当時にあれをやったことがすごい」っていう要素があるから、どう考えたってフェアじゃないはず。

で、これならまだここ数十年の話だからまだいいとして、これが数百年前と比較するってなった時に「過去の人が強すぎる」っていうのは賛否が分かれる部分じゃないかと。というわけで今回は、刃牙の世界に蘇った宮本武蔵と展開されるバトル漫画「刃牙道(全22巻完結済み)」を紹介します。

刃牙道のあらすじ

地上最強の生物である父・範馬勇次郎との史上最大の親子喧嘩を終え、範馬刃牙は今…!?一方、強き者に焦がれる徳川翁は“神に背く”空前の大実験を執り行う!!シリーズ第四章、ついに開幕!!今、強さの歴史が変わるッッ!!

刃牙道の見所をチェック!!

退屈な日常からの脱却

刃牙道1
Ⓒ刃牙道

本作にはやたらと欠伸をするシーンが出てきます。というのは、前作の「範馬刃牙」にて恐竜がいた時代の野生人と戦うっていう非日常的な展開があって、新たなことが起こる前の前触れって意味なんだと思うんだけど、ぶっちゃけ本作もどこかで見たことがあるようなシーンが続くんですよね。

ちょっとキツい物言いをするなら読んでるこっちも欠伸をしたくなるというか…どうしてもマンネリ化が否めません。もちろん文句を言いながらも読んでしまうという意味では、本作はかなりの境地に到達してるっていう見方もできるんだけど、ハッキリ言ってこのあたりでシリーズを見限る読者も多いんじゃないかと思いました。

今後、刃牙シリーズを読み続けるかどうかっていうターニングポイントとしても、本作は見所と言えるでしょう。

かの有名な宮本武蔵が現代に参上

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Ⓒ刃牙道

で、マンネリを脱却するために選ばれたのが、かの有名な剣豪・宮本武蔵です。本作は宮本武蔵が現代に蘇って、刃牙たちと戦っていくという展開になっています。

まぁ単純に考えて「宮本武蔵と今の剣豪が戦ったら?」みたいな話ってワクワクするんじゃないかと思うんだけど、これが刃牙たちが相手ってなるとなぁ…この辺は賛否が分かれそうなところ。ちなみに宮本武蔵は現実離れした強さになっていて、宮本武蔵であるようで全然別人だっていうのも注目ポイントです。

アメリカ軍と同等の戦力を持つ範馬勇次郎が一目を置くような存在っていうことだし、烈海王が「関ヶ原レベル」と評されてしまうほどなので、ちょっとパワーバランスが分からなくなってくる部分も色んな意味で面白い要素と言えるでしょう。

刃牙 vs 宮本武蔵

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Ⓒ刃牙道

本作の一番の見所は「刃牙と宮本武蔵が戦ったら?」というもの。これにはワクワクするっていう読者もかなり多いんじゃないかと思います。宮本武蔵って言っても刃牙の世界用にチューンアップされた宮本武蔵なので。

何よりこれまで何でもありのルール無用のデスマッチ的な感じだったところに、刀を武器に戦うキャラが出てきたっていうのも面白いと思いました。これまでは「ルールがない=総合格闘技よりもストリートに近い最強を決める戦い」って感じだったのが、そこから更に上の「実戦」にスポットが当てられているという感じ。

もはや人間味がなくなるほど強くなってしまった刃牙。前作で勇次郎にカタチ上とは言え勝っておきながら、まさかあっさり負けるなんてことはないと思うのが普通の読者の感性だとは思うけど、果たして宮本武蔵に勝つことはできるのでしょうか。

刃牙道 全22巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

個人的にはすごく不満に思いながら、読むのを止めたいと思ってて止められなかったって感じの全22巻でした。ぶっちゃけ前作のピクルが宮本武蔵になっただけで、本質はほとんど変わっていません。

現代ボクシングなんかでも過去のすごい選手と現在のすごい選手を比較するっていうのあるじゃないですか?個人的には過去があって今があるって思ってるんで、よほどのことがなければ現在の選手の方がすごいと思ってるんです。それにもしこれを比較したいなら「過去の選手の素質に現代の科学的な要素をプラスして考えるべき」とも思っています。

つまり宮本武蔵を再現するなら、宮本武蔵に現代のトレーニングを経験させるってことが重要だと思ったので、それをしていない素の宮本武蔵が凄ければ凄いほど、人間は進化していない(むしろ退化してるんじゃね?)って感じになっちゃうんじゃないかっていうのがずっと引っかかってしまいました。

全22巻っていうのはシリーズ作の中では短く終わったほうだけど、相変わらず話の展開がスローでコマ割りも大きいのであっという間に読み終わってしまいます。僕は次回作も読むことになるだろうけど、本作はおすすめしないです(自分が読んでおいて矛盾するようですが)。

あとがき

過去の偉人を現代ベースで凄すぎるくらいに表現するのは、新記録がずっと出てないみたいな話になって逆に冷めちゃう。