どんなに良い先生だったとしても、学校の先生だったら仕事上のことだからっていう感があるじゃないですか?これがボランティア的なことだった場合、メリットが見えないので「なんで?」っていう疑問が捨てきれません。
本作の主人公は先生という肩書きではあるものの、問題を抱えている子供たちを見守る存在の先生です。もはやここまでくると損得勘定では動いていないんでしょう。というわけで今回は、全国が涙した感動ドキュメント「夜回り先生(全9巻完結済み)」を紹介します。
夜回り先生 あらすじ
不登校、ドラッグ、リストカット…。闇に飲み込まれていく子供たちを、哀しい目で、優しい目で、見守り続ける教師がいる。全国が涙した感動ドキュメント、ここに初の完全漫画化!病気の母親を支えようと、コンビニで捨てる弁当や、余った給食をもらって回っていたマサシ少年。健気でマジメだった少年は、いつしか隣に住んでいた暴走族のお兄ちゃんの真似事をし始めて、マジメにドラッグを使い、マジメに壊れていった。そんな少年を夜の公園で見かけた夜回り先生は、ラーメン屋のバイトを紹介するなどして、必死に彼を立ち直らせるべく向かい合う…
夜回り先生の見所をチェック!!
問題を抱えている子供たちが主役
本作の主人公は子供を支える立場にある教師ですが、物語の主役は問題を抱えている子供たちです。非行に走ってしまう子供だったり、いじめに遭っている子供だったり…。場合によってはヤクザと関係を持っているとか、薬物にのめり込んでしまっている等のヘビーな事情を抱えている子供も登場します。
こういう子供たちの問題を解決すべく、色々と面倒を見てくれるのが主人公の夜回り先生です。本作は夜回り先生が問題を抱えている子供たちと体当たりでぶつかり、見守る様子を描いたドキュメント作品となっています。
基本的には学校の管轄外で起きている社会問題をテーマにしていて、まさに人生の先生とも呼べる主人公。そんな夜回り先生が子供たちを非行から立ち直らせたり、子供たちの悩みを解決していく様子は大きな見所です。
目を背けたくなるような不幸な展開が多い
本作は終始シリアスな展開で進むので、読みながらとても暗い気持ちになります。もちろんエピソードによっては「救われて良かった」って思えるものもあるんだけど、基本的には良い結果に辿り着くまでにどん底の心境になるし、最終的に救われないパターンも少なくないのでしんどいです。
特にいじめや虐待をテーマにしているエピソードの場合、かなり胸糞悪い展開が待っていることも多く、この辺のダークな雰囲気を受け付けないという人にはおすすめできません。全体的にハードな内容が続くので、こういう展開が好きな人や平気な人でもなければ精神を浪費することになると思います。
だからこそって言ったらアレだけど、救われる展開や夜回り先生の行動が報われる展開がくると一気に跳ねるんですよね。シリアスな展開の中に見える光…みたいな展開が好きな人にはおすすめです。
夜回り先生も万能ではない
漫画の主人公になるような教師・先生はスーパーマンが多く、ありとあらゆる力を使って不良を更生させたり、いじめを解決したりするじゃないですか?でも本作で描かれている夜回り先生にそのような力はありません。
言葉を選ばずに言えば「ただ話を聞くだけ、ただ寄り添うだけ」です。もちろん人情深い部分はあるんだけど聖人君主じゃないっていうのがすごく伝わってくるし、別に特別な存在じゃないんですよね。
例えば薬物に悩んでいる非行少年がいたとして、付きっ切りで相談に乗ってあげたりしてる時にその少年が「ダルクに行こうかな」みたいなことを言っただけでヘソを曲げたりします。「俺じゃダメなんだな」とか言って。
個人的にはこういう人間臭さも本作の魅力だと思っていて、非常に生々しいドキュメンタリー展開を盛り上げる要素と言っても過言ではありません。
夜回り先生 全9巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
かなりダークで暗い話が続く作品です。まさに非行少年とか虐待を受けている子供にスポットを当てている作品で、社会問題を真っ向から受け止めている漫画だと思います。
そして夜回り先生のような存在がいることによって救われる子供も多く、周りの大人たちの行動次第でいくらでも不幸な少年・少女を減らせるんだろうなと痛感しました。微力ではあるんだけど、なかなかここまでやってくれる他人っていないですからね。
シリアスな展開が続く割に、因果応報系の漫画のようにスッキリする瞬間もないので、読者を選ぶ作品であることは間違いないです。ドキュメンタリーが好きな人、非行少年などの社会問題を真っ向から見つめたい人には文句なしにおすすめします。
あとがき
暗い雰囲気の中のドラマ。