「男子トイレで待ち合わせ水あさと短編集」を読んだ感想・レビュー

小学校の時に異性に追い掛け回される展開があったら、必ずと言っていいほどトイレに逃げ込むっていう流れがありました。そういうノリがあったせいか、仮に誰にも見られていないとしても異性のトイレに入るなんて考えられません。

ぶっちゃけ僕の場合は共同トイレも入りにくいし、普通のお家で男女分かれてるケースにおいて男子側が埋まってて女子側を使っていいって言われても躊躇するくらいのなので、本作の設定はマジで信じられない！

というわけで今回は、男子トイレを使う女子の話を含んだ短編集「男子トイレで待ち合わせ水あさと短編集(全1巻完結済み)」を紹介します。

本短編集に収録されている「男子トイレで待ち合わせ」についてのみネタバレありです。

ポチップ

男子トイレで待ち合わせあらすじ

「デンキ街の本屋さん」の水あさとが描く、はっちゃけたアレなコメディ短編集。校内の寂れたトイレ個室で隣り合わせた女子と男子を描く表題作「男子トイレで待ち合わせ」ほか、デンキ街番外・みかん編など大収録。

以上の6編が収録された短編集です。作者の水あさと氏は「阿波連さんははかれない」や「男三女四」などが有名。

本作はスタート時点から突っ込みどころが満載なんだけど、変わり者の女子生徒が昼休みの落ち着ける場所に男子トイレを選んだという物語です。なんで男子トイレなのかっていうと「女子トイレが使えなかったから」っていう理由みたい。

っていうか、なぜ女子トイレが使えないからって男子トイレを選んだのかとか、本来なら女子トイレが使えない時点でトイレで昼休みを過ごすっていう展開はなくなると思うんですよね。もうこの時点で既に色々と突っ込みたくなります。

そして絶対に目撃されちゃいけないていう状況で、隣の個室を利用している男子生徒と遭遇してしまうという展開です。こっちの男子生徒もまた変わり者で、この2人の絶妙な掛け合いがコメディーチックな面白い空気を作り出してくれます。この世界観は他の漫画では感じられないやーつ。

「トイレで大をしたら紙がなかった」みたいなことは、別に女子が男子トイレを使用しているっていう特殊な展開がなくたって十分に想定できる出来事です。というかトイレあるあるでしょ。

でも誰もいないっていう状況なら隣の個室にトイレットペーパーを拝借しに行けばいいんだけど、隣の個室に男子が入っているという状況で、その紙を分けてもらうってなかなかしんどいですよね。特に女子からそれを言い出すっていうのは相当にきついんじゃないかと思います。

断腸の思いで紙を貸してもらえるようにお願いしてみたら、それが音姫で聞こえなかったからもう一回言わされるとか地獄でしょ。これは軽くボケた内容をもう一度聞き返されるのと同じくらいの苦痛です。こんな感じの軽い下ネタと緩い笑いが大きな見所となっています。

「お前もかーい！」って思わず突っ込みたくなる瞬間です。本作は割とシュールに近い空気感の中でボケ倒していくタイプなので、読んでいるこっちがツッコミを入れるような感じになります。

下ネタっちゃ下ネタなんだけどエロではないし、むしろあるある要素が強くて親しみやすい下ネタと言ってもいいのではないでしょうか。「トイレで紙がない→隣の人に借りようとする→隣も紙がない」みたいなのは想定される範囲内の話だし、すごく分かりやすい展開でもあるわけで。

ちなみに本短編集には「男子トイレで待ち合わせ」以外にも5つのエピソードがあって、どれもがこんな感じでライトな下ネタを軸としたあるあるネタがベースになっているような気がしました。どれも突っ込み所が満載で独特な世界観が面白いです。

やっぱ表題になっている「男子トイレで待ち合わせ」は抜群に面白かったです。女子が男子トイレを使用しているっていうぶっ飛んだ設定こそあれど、内容は容易に想像できる感じだし、突っ込み所も多々用意されてるし…めちゃくちゃ楽しめました。

あとは個人的にインモートも面白かったです。どっちも下ネタを全面的に押し出している内容なんだけど、僕にとっては下ネタに対する嫌悪感よりもあるあるが勝ったなぁという感じ。笑いの種類的には完全に下ネタではあるものの、そこまで下ネタが好きなじゃないって人でも笑えるくらいマイルドなやつだと思います。

一言で言うなら「非常に目の付け所が良いエピソードが集まった短編集」です。サクッと笑いたい人におすすめ。

トイレで大をした後に紙がないことに気付く絶望感よ。

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