野球漫画と一口に言ってもキャプテン目線やエース目線などが多種多様にあって、プロ野球なのか高校野球なのか、はたまたメジャーリーグなのか等、多様化しています。甲子園もいいんだけど、年齢を重ねるにつれて「甲子園モノは眩しすぎるなぁ」と思ったりもして、個人的にはNPB漫画が見たいと思うことがあるんですよね。
例えば「グラゼニ」なんかは新しい視点で描かれていた野球漫画として非常に面白かったと思うんだけど、視点の新しさという意味では本作も負けていません。というわけで今回は、とある球団のファンを描いた野球観戦漫画「矢野七菜子、白球を追う。(全2巻完結済み)」を紹介します。
矢野七菜子、白球を追う。 あらすじ
矢野七菜子、24歳、OL。どんなに残業しても、どれだけ同僚に誘われても、仕事が終わった彼女には向かわねばならないところがあった――。それは野球場!試合に一喜一憂しながら、時に笑い、時に涙する野球から目を離さない彼女から、目が離せない!おひとり様女子の全力野球観戦記!
矢野七菜子、白球を追う。の見所をチェック!!
本当に野球が大好きなOLの日常
一時期「カープ女子」なんて言葉が流行ったくらいなので、その当時は「仕事終わり→球場に直行」なんてファンも多かったんだろうと思います。もちろん初心者あっての繁栄ですから、にわかファンを馬鹿にする意図は一切ないものの、流行を度外視して「好きだから球場に行って応援する」というファンの姿には一種のカッコ良さを感じました。
残業終わり、同僚からの食事の誘いを断って球場に直行。恐らくこれが彼女のルーティーンなんでしょう。彼女の人生を謳歌している感じ、仕事のストレスを趣味でしっかりと解消できている感は羨ましくもあり、非常に生き生きとしていて輝かしく見えます。
多数登場する野球観戦あるある
僕自身、数えるくらいしか球場にてプロ野球観戦をしたことがないんでアレなんですが、そんな僕でも「あるある」と思ったり、あるいは「こういうのあるだろうなぁ…」とニヤけてしまう場面が結構ありました。
例えば野球観戦中、応援しているチームが劇的な逆転をした時に近くの席の人と妙な連帯感が生まれたりね。あれってどうなんでしょう、やっぱベテランのファンの方も後々冷静になって恥ずかしいって思ったりするんだろうか。
サッカーW杯なんかでも渋谷のスクランブル交差点でハイタッチしてる若者とかいるじゃないですか?あれもやっぱ家帰ってから「なにやってんだろう…」って後悔したりするのかな。
いずれにしても想像に容易い部分であるあるが用意されているので、野球ファンは共感できる部分が多いだろうし、球場にそんなに行ったことがないという人でも分かる部分が多いです。球場に行ってみたい人、もっぱらテレビ観戦だという人にもおすすめ。
注目チームは〇〇、しかしどの球団のファンでも楽しめる
本作は「斜浜ブルースターズ」のファンであるOLの姿を描いた作品です。日本のプロ野球について少しでも興味がある人であれば「あぁ、あの球団のことか」とすぐにピンとくるはず。登場する選手も筒六など実在する選手を文字っている感じなので、ファンならそういう部分でもニヤニヤできるかと。
個人的にはこの球団が最近のペナントレースでどのあたりにいるのかとか全然知らないし、マシンガン打線と呼ばれていた90年代のイメージが強すぎるんだけど、それでも全然楽しめました。
巨人ファンだから、阪神ファンだから…と言わずに、野球観戦が好きなら読んでみて欲しいです。とある球団を上げて、とある球団を下げるという表現はないのでご安心を。
矢野七菜子、白球を追う。 全巻を読んだ感想・レビュー
実は僕の知り合いにも見た感じは野球に興味とか無さそうなのに某球団の大ファンで、足繁く球場に通っているという女性がいますが完全に本作の主人公とダブったよね。
個人的には野球観戦と競馬場ってオッサンのイメージがあったけど、意外とそうでもないっていう。あとは本作の主人公みたいに「マナー良く楽しんでいるファンばかりだったらなぁ」って思いました。
「阪神ファンだらけの所に放り込まれた巨人ファン」みたいな、それこそ漫画っぽい展開はあまりなく、むしろリアル志向が強くて共感できるタイプの漫画です。終始平和でパンチには欠けるけど、野球ファンが1日の終わりに眺めたり、ちょっとした空き時間に読むのにはピッタリの作品だと思います。
全2巻であっという間に終わってしまうのが残念でした。欲を言えば「内野席と外野席の違い」とか「球場ごとの特徴、球場付近の名所」とかをホーム目線からだけでなくビジター目線とかで掘り下げても面白かったと思うんだけどなぁ…。
あとがき
久々に野球観戦に行ってみようかなって思えた。
多くのドラマに泣いた人は数知れず!面白くておすすめの野球漫画を紹介する