戦争は正義と悪が戦っているものだと思っていたのに、いつの間にか「互いの正義がぶつかっている(そして勝者が正しくなる)」という認識に変わっていました。
日本ではテロも紛争もほとんどないけど、割と身近な国々で民族問題が取りざたされるケースが多くなってきたように思います。お互いに正義があるんだとしたら一筋縄ではいかないだろうけど、仮にどちらかが明らかに間違ったことをしているんだとしたら、それは我々も声を上げるべきかと。
声を上げるためには物事の本質を自分の目で見たり、調べたりしなければなりません。本作はそのキッカケとしては十分すぎる作品です。というわけで今回は、世界各国の問題に切り込んだ「紛争でしたら八田まで(連載中)」を紹介します。
紛争でしたら八田まで あらすじ
イギリスに本社がある企業に地政学リスクコンサルタントとして勤める八田百合。彼女の仕事は、地政学に基づいた知性と、ちょっとの荒技で世界中の事件を解決すること。そんな彼女に依頼を出してきたのは、ミャンマーにある日本の企業だった…。
紛争でしたら八田までの見所をチェック!!
民族紛争や差別意識などのデリケートな問題に対して軽快に触れている
僕は海外旅行をしたことがないもんで、日本人も海外で差別の対象になることがあるなんて考えたことがなかったし、何なら黒人差別についても過去に解決しているもんだと思ってたくらいです。
でも世の中には差別問題なんて五万とあって、日本だってお隣の国とは仲が悪いわけで…。日本にいたらなかなか分からないけど、他民族が当たり前のように暮らしている国においては、やれ黒人だったから撃たれた等の人種問題が大きく報道されて僕らの耳にも入ってきます。
それこそイギリスって国を知らない人はいないものの、少し掘り下げて「じゃあウェールズは?アイルランドは?イギリスとイングランドって違うの?」みたいになってくると、完璧に理解している人ばかりじゃないはず。
特に授業で学んだってわけじゃなく、みんな大人になっていく過程で少しずつ学んできたって感じな人も多いから、間違った知識を付けてきた人もいるのでは?というか思想に大きく関わってくることだから、教科書や授業を通じて教えるってことが難しいのかも。
そういうデリケートな問題に対して、警戒に切り込んでいるのが本作です。どっちが良い・悪いではなく、人種問題や地域紛争などに目を向けるキッカケになると思います。
平和ボケしている人こそ読みたいテーマがてんこ盛り
世界情勢に耳を傾けていると、何やら中東の方では頻繁に戦争をしているイメージがありませんか?日本にいると全くと言っていいほど分からないけど、世界のどこかでは必ず争いが起こっていると言っても過言ではありません。
それこそ某国も我が国の領土を脅かしているし、それに対して「遺憾です」なんて言ってられるのも今のうちかも。これについては自分の国のことだから関心があるという人も少なくないだろうけど、世界に目を向けると色んな国の思惑があったりして真実には辿り着きにくいのも事実。
例えば戦争なんて誰も望んでいないと思える一方で、戦争をけしかけている国もあるじゃないですか?A国ではジェノサイドを認定する一方で、B国はそれを支援したりしているわけです。
根底に何があるのかを知ろうと思ったら詳しい人に聞くのが手っ取り早いけど、思想が絡む問題なんで教えてくれる人の思想に大きく影響されてしまいます。だから真実を知ろうと思ったら、自分で調べるのが1番。
別に「世の中で何が起こってても興味がない」って人ならアレだけど、いずれ日本が当事者になる可能性もあるわけだし、どの国がどういう思惑で動いているのかってことくらいは漠然とでいいから理解しておく必要があるかと。難しい話だけど、本作は世界情勢について興味を持つキッカケとして最適な漫画作品だと思います。
紛争でしたら八田まで コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
争いごとや差別問題に切り込んでいるので、単純に「面白い」って言ったら語弊があるかもしれませんが、表紙絵を見て想像してしまうような軟派な雰囲気の作品ではなく、割と重いテーマに軽快に切り込んでいく感じの漫画です。
日本にいると軍隊がどういうものかってのも理解しがたいし、まして国軍の名を背負っている軍事力が一般市民を攻撃する意味が分からないじゃないですか?でもそれは世界どころかアジア大陸でも起こっているわけです。
日本は海に囲まれている島国だから、多民族国家とはそもそもが違います。だから「日本代表にこの人がいるのって?」みたいなことが起こるし、サッカーにしろテニスにしろラグビーにしろ、毎回取り上げられているのも事実です。
しかし日本でも移民を受け入れるだの何だのって話題が挙がっているので、良いこともあるだろうけど悪いことが起こる可能性も十分にあることは理解しておきたいし、その時は紛争の当事者になることだって十分にあり得ます。
「危機感を持つことは悪いことじゃない、でも何だかよく分からない」っていう僕みたいな人には最適な漫画だと感じました。それに他国の紛争をまるで他人事だと思ってるけど、実は根底には日本が絡んでいる問題もあったりするので(良いか悪いかは別にして)、それを知っておくだけでも勉強になると思います。
あとがき
なぜ紛争が起こるのか、難しいテーマだけど案外「なんだ、そういうことか」という簡単な話だったりもします(だけど解決するのは難しいっていう)。