高校野球部の監督を主人公に据えて、甲子園を目指すっていうタイプの野球漫画は数多くあります。そこで切り口を変えて斬新な設定の高校野球漫画も出揃ってきたわけですが、本作もかなり面白い着眼点の作品です。
職業としての高校野球監督に注目し、OBや父兄たちのノイズなんかも見事に描き上げているんですよね。というわけで今回は、高校野球の伝統・しがらみ等に目を背けていない野球漫画「ナツカツ 職業・高校野球監督(全7巻完結済み)」を紹介します。
ナツカツ 職業・高校野球監督 あらすじ
汗と涙と感動と……!! 高校野球のイメージといえば、やっぱコレ!! でも、それってあくまで高校野球の主役である球児達のお話。監督ともなると、地縁や血縁、OB会に父母会と、とかく“しがらみ”がついて回る。そんな、“高校野球の監督”を職業に選んだ男の、熱く、切なく、そしてとってもサラリーマンな、まったく新しい高校野球漫画が今、始まる!!
ナツカツ 職業・高校野球監督の見所をチェック!!
ちょっとドライな野球部監督
高校野球といえばめちゃくちゃ熱くなる夏の風物詩という感じですが、本作の主人公はそんな高校野球部の監督です。とは言っても「絶対に甲子園に行くぞ!」っていう感じではなく、ベスト16で大満足しつつ頭の中では「キャプテン選びに失敗したなー」とか思っちゃうようなやつ。
一生懸命やった結果がベスト16で選手たちも悔いを残していないなら、それはそれで美しい夏の終わりだと思うんだけど、それに対して建前で健闘を讃えていながら本音の部分で腐している感じがするんですよね。
高校野球漫画というよりもビジネスとしての高校野球監督、それも専任監督ではなくて高校の教師兼野球部監督の姿を描いた作品です。ちょっとドライな作風のまま最後までいくのか、それとも少しずつ監督の姿勢も変わっていくのかに注目!
現場に口出しをするOBや父兄たち
僕はそこまでスポーツに対して熱中しないからアレだけど、プロ野球やプロサッカーを見ていても「監督の采配ミスを指摘する人」っていうのは大勢いるじゃないですか?「代打で〇〇は失敗」とか「あそこで△△をなんで降板させないの!?」とか。
まぁネットニュースで言っているってだけなら特に大きな問題でもないし、本人の耳にも届かないことが多いから個人的には好きにやればいいと思ってるんだけど、高校野球の場合だとOBや父兄が監督に向かって講釈を垂れるっていうケースは珍しくないんじゃないかと思いました。
まぁ名将と呼ばれるような超ベテランの監督には言えないにしても、自分より年下でしかも教師兼監督っていう立場の人間に対してはめちゃくちゃ言うOBもいるだろうなぁっていうわかりみがすごいです。
伝統を重んじるということ
あんまりこういう言葉は使いたくないけど、いわゆる「老害」がいつまでもいることで、新しい風が入ってこない現状…みたいな古いしたきりに悩まされている人は多いんじゃないかと思います。これは高校野球に限らず、学校でも会社でも何でもそう。
OBを監督にするっていう伝統を守ることができれば、例え万年一回戦敗退だとしても問題ないと考える人もいます。こういう人にとってはこの伝統を壊してまで甲子園を目指そうなんて微塵も思っていないし、実際に甲子園を目指してプレーしている現役選手のことなんか微塵も感じていません。
この状況をどうやって打破し、甲子園を目指せるチーム作りをしていくのかっていう部分に大きな見所があると言っていいでしょう。
ナツカツ 職業・高校野球監督 1巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
みんなが想像するような高校野球の熱さ・眩しさが影を潜めていて、高校野球の嫌な部分だけを見させられたコミックス1巻という感じでした。主人公にも野球好きという部分しか魅力が感じられず、少なくとも自分が高校球児だった時に「この監督の下で野球がしたい」と思えるような人物ではありません。
これがどう変わっていくかっていうのも大きな見所だし、実際に甲子園に行けるのかどうかっていう部分も気になります。これに関しては少なくとも主人公が大きく変わらないと無理じゃないかなーって思うけど。
あとはOBとのしがらみや伝統というノイズもしっかりと描かれていて、あまり例を見ないタイプの高校野球漫画と言っていいでしょう。切り口が斬新なので、ありきたりじゃない高校野球の漫画が読みたいという人におすすめです。
あとがき
寄付金とかもあるからOBがデカい顔するのも分かるけどね。