誰からも愛される人がいないように、どんな名作漫画にも一定数のアンチがいます。それでも多くの人から評価されている漫画は面白いことが多いし、あまりにもレビューで酷評されている漫画は面白くないことが多いのも事実です。
そこで今回はKindleレビューで酷評されている作品をあえて読んでみようと思います。僕の目に付いた低評価の作品ということになるけど、実際に読んでみて簡単に紹介してみるので良ければ参考にしてみてください。
Kindleレビューには「点数自体は悪くないのに実際のレビューを読んでみると酷評ばかり」というケースも多いため、あくまで僕自身が低評価だと感じた作品に絞っています。
賭博堕天録カイジ 24億脱出編
なんか「賭博堕天録カイジ ○○編」みたいな感じで3本も4本も継続してるから、厳密に言えば本作だけの評価は正当ではないんだけど、今作は結構…いや、かなり酷いです(レビュー自体は酷評だらけだけど、なぜか星はそこまででもない)。ドラゴンボールでいうところの「フリーザ編が終わって人造人間編に入ったのに、なぜかフリーザ編でのあれこれを単行本1巻で丸々語る」っていうね。それもう人造人間編じゃなくてフリーザ編でやってくれよって感じ。
賭博堕天録自体は十七歩っていう麻雀を題材にしていて、すごく見応えのある駆け引きがあって、麻雀好きなら楽しめたと思います。でもその後はカイジが主人公じゃなくなるし、更には後付けのイカサマで勝敗が決する(ギャンブルの駆け引きが無い)戦いになるし…。
挙句の果てに「前作で勝ち得たお金を無事に持って帰れるか!?」みたいなので新シリーズ。カイジが好きで読んできた人が低評価を下すのもわかるような気がします。カイジ、昔はメチャクチャ面白かったんだけどなぁ…。
ジャンク・ランク・ファミリー
不良漫画を描く天才・高橋ヒロシ氏が描いている世紀末物語というか、ヒャッハー的な作品。水とか食料を求めて人々が殺し合うっていう残酷な背景もありつつ、ゾンビみたいなものもいたりして、サバイバル感がハンパ無いです。
「こういう荒んだ時代でも、人と人との友情というか仁義みたいなものを描いていくのかな?」って期待して読んでいる読者が多いんじゃないかと思うんだけど、個人的にはどっちつかずのように思いました。
高橋ヒロシ氏が描く他のヤンキー漫画は登場人物に魅力があるし、熱量もハンパ無いんですけどね。やっぱ世紀末だと友情みたいなのが成立しにくくて、ちょっと違和感を感じちゃうのかも。
圧勝
ジャンル的にはキャンパスライフを元に描かれるラブサスペンスとのことですが、事前知識も無しに読むと「ナニコレ感」がハンパ無い。
よくある感じの「冴えなかった男子高校生が大学デビューするような話」「好きな女の子に対してどう接していいか分からない、男子大学生の成長を見守る面白さ」「少女漫画の逆パターン」みたいな魅力かと思ったら、あまりにもベクトルが違い過ぎて困惑しました。
なんだろう。「通学途中に曲がり角でぶつかった女子がいて、こっちが色々意識してたらその女子が何かしらの痴話喧嘩みたいなのに巻き込まれて死んでしまった」みたいな展開って言うんでしょうか。読者を驚かせるという意味では圧勝。
渋谷金魚(全11巻)
若者の街として有名な副都心の1つでもある渋谷が、狂暴な金魚たちによって覆いつくされてしまい、そこから殺戮の日々が始まるというもの。いわゆるデスゲーム&サバイバルもので、それが人間vs人間とか人間vsゾンビじゃなくて、人間vs金魚っていうだけの話なんだけど、個人的には「なんでkindleレビューがここまで低いのかが分からない」ってくらい、普通に楽しめてますが何か?
デスゲーム作品自体が流行り過ぎちゃって、もう出尽くした感があるからアレだけど、どんなに狂暴になっているとは言っても、金魚としての特徴を残してる部分とか、あまりに強大な敵すぎるっていうパワーバランスじゃないのも好きだけどなぁ…。とりあえずグロいのが平気な人なら、世間的な評価は低いみたいだけど読んでみて欲しいです。
イキガミ(全10巻)
国の政策で小学校入学時に予防接種が義務付けられており、それによって「1/1000の確率で、18歳~24歳の間に死んでしまう人が出る」という世界の物語。
本来なら普通に明日を過ごせる若者が、国のルールによって「明日、あなたは死にます」と宣告される残酷さ、不条理さが描かれています。良い話ばかりじゃないので、ヒューマンドラマとして非常に見応えがあると思うんだけど…。評価を見てみると「こんな設定あり得ない!」という意見が多く、少しリアルに寄せてある作品なだけに現実世界とのギャップが受け入れられない読者が多いようです。
確かに強引な部分はあるけど個人的には許容範囲だと思っていて、あまり難しく捉えず普通に楽しむことができました。「もし明日世界が終わるとしたら?」みたいな妄想をしたことがある人、あまり難しく考えずに作品に没頭できる人なら楽しめると思う。
殺さざる者、生くべからず(全3巻)
簡単に言うと医者が精神鑑定の最中にテロリストと中身が入れ替わってしまうという話。本作はちょっと趣旨が違って「面白くないから打ち切りになった」というタイプではなく、「打ち切りになったから面白くない」という感じの雰囲気を感じる作品です。
僕も数多くの漫画を読んできたので「自分は面白いと感じたけど周りの人はそうじゃなかったんだろうなぁ」って感じる作品もかなり読んできたし、それ以外にも「連載する雑誌が合わなかったのかなぁ」とか「題材が一般ウケしなかったのかも」とか色んな可能性を考えることがあります。
しかし本作は何が原因で打ち切りになったかが本当に見えてこないし、打ち切りになったことで結末を放り投げてるからこその低評価です。ちょっと特殊な例だけど、結末の描かれていないサスペンスほど面白くないものもないので当ブログではおすすめしていません。
天獄の島(全3巻)
死刑制度が廃止されて、死刑囚が島流しの刑に処されるようになった日本が舞台の物語。自分の家族を殺して島流しになった男を追い、自らも島流しに遭うことを選んだ男が主人公です。
犯罪者の巣窟となりながらも、明らかなヒャッハーでもない世界が構築されていたのは面白いと思ったし、正直言って「ここまで評価が低い意味がわからない」って感じのサスペンス作品でした。
続編も出てるし、この評価は不当なんじゃないかと思っています。Kindle Unlimited登録者なら無料で全巻読めるので、騙されたと思って読んでみてほしい…。
総合時間事業会社 代表取締役社長専属秘書 田中誠司(全3巻)
20年後の未来から秘書兼ボディーガードがやってきて、ライバル会社の暗殺部隊から将来の社長を守るというバトルSF。設定だけを聞くとめちゃくちゃ面白そうなんだけど、やっぱタイムスリップ系のストーリーを作るなら、そのタイムスリップがどういうルールなのかを明示する必要があると思いました。
例えば「タイムマシーンを作った人物がいて、その人物がタイムマシーンを作る前に暗殺すれば、タイムマシーンは作られなかったということになるのか」みたいな部分は、割と明確にしておかなきゃいけない部分だと思うんです。それがないと「なんでこの社長が暗殺されるの?」ってなっちゃう。
あとはタイトルもそうだし必殺技もそうだけど、人気が出る作品って分かりやすい部分は分かりやすいように作られているというか、計算されて生み出されてるってのが痛いほど伝わってきます。そういう意味では「かめはめ波」って偉大。
夜になると僕は(全4巻)
「夢の中で自由に動き回って人を殺せる」という能力を持つ少年が、かつて姉を殺した3人の犯人に復讐をしようと動き出すクライムサスペンスです。姉を殺しておきながら少年法にがっつり守られて大した償いもしておらず、更には社会復帰しても反省の色を見せていない等の煽りもばっちり。
でも序盤から最後まで突っ込みどころが満載で、読みながらも思わず「うそーん!」って言いたくなる場面が結構あります。例を挙げると「警察が主人公の夢の中で人を殺せるっていう事実を受け入れるのが早すぎる」とか。
そういう突っ込みどころが多いせいで都合の良い展開に見えてしまう部分があっての低評価と思われます。個人的にも突っ込みどころは多かったけど、僕としては割と楽しめるサスペンス漫画でした。
青春相関図(全3巻)
個人的には1巻の星2.7でも高いって感じたくらいなんですが、文字で読めるレビューの評価が軒並み低く、なぜか点数は意外と高いっていう…。低評価のレビューが多いから面白いって書きにくくて、評価だけ高評価してるってパターンかな。
彼女が屋上から飛び降りた事件をきっかけに、彼女を追い込んだ人物をクラスから探し出すという感じのミステリーです。…が、クラス全体が登場人物になってる的なこともあって名前と顔を覚えるのが辛い!同じクラス単位でもデスゲームなら減っていくからいいんだけど、ミステリーでこれはきつい。
あと復讐劇なのに結末が結構あり得ないと思いました。1巻時点での主人公の怒りが風化しているというか、ドロドロのまま突っ切ってくれたらまだ良かったんだけど…。逆に読んでみてほしい作品です。
ランカーズハイ(全6巻)
一見すると高評価が並んでいるように見えますが、レビューの詳細を見ていくと酷評ばかりが目につきます。一時期からレビューなしの高評価が急増したのかも。
喧嘩無敗の高校生が主人公で、その強さは腕っぷしの強さだけではなく頭のキレの良さにも大きく起因しているという「頭脳戦・心理戦にも重きを置いてるバトル漫画」ってところでしょうか。
主人公は父親の借金を返すために、アンダーグラウンドな格闘技の世界に足を踏み入れることになり、そこではルール無用なだけでなく、負け=死とされてるっていうバトル漫画好きには心躍る展開。
設定だけ聞いたら面白そうだけど、事故の後遺症かなんかで5分以上の運動ができないっていう枷があって、いざ試合となったら最終的には目つぶしか金的で勝つっていう…ウルトラマン設定を持つ割りには悪どいなぁと。ダークヒーローっぽさもないし。
僕としては頭脳戦を用いた格闘技って設定が面白そうだっただけに残念でした。絵は上手いし、頭脳を使った格闘技ってとこをアピールしないで、主人公をダークヒーローっぽくしてたら面白かったんじゃないかと。
栄冠は俺に輝く(全5巻)
高校野球の超名門校で、1軍・2軍・希望組というカースト制もしっかり確立している魔法系野球漫画。希望組はいわば奴隷のような扱いで、2軍の憂さ晴らしみたいな存在なんだけど、徐々に下克上をして上り詰めていく様子が描かれています。
ぶっちゃけ「甲子園に出たとして、同じ学校内の1軍が甲子園優勝で、2軍が準優勝じゃね?」ってくらいに能力のインフレが起こってるし、学校OBで現プロの選手が現役の3年生に負けてたりするから、ちょっと辻褄を見失ってしまう感がありました。
物語も全般的に駆け足で進んでいくんだけど、その割にキラキラ苗字の登場人物が多くて、読み切った後に「あいつ、必要だった?」って思うキャラクターも多数。
ボール・ミーツ・ガール(全3巻)
甲子園を諦めきれない野球少女が、甲子園のグラウンドに立つまでのプロセスを描いた野球漫画。高校に野球部がない状態から始まって、3巻目のラストには甲子園に行くので驚くほど急ピッチです。
まず僕は初めて読んだときに「野球できるほど部員いた!?」と思ったくらいだったし、女子が甲子園のグラウンドに立つ方法といい、弱小野球部が地区予選を勝ち抜くための秘策といい、まぁ色々すごい漫画でした。野球せんとアルバイトとかしてるからね。
評価するとすれば物珍しさや斬新な切り口になるでしょう。真面目に見ちゃうと色々と目についちゃうので、高校野球の皮を被ったエンターテイメント作品として見るのが吉。
ガットショット(全4巻)
とある学校のポーカー部の物語。一見すると取り柄の無さそうな眼鏡少女が主人公なんだけど、「転校を繰り返すうちに周りの顔色を伺うようになり、それがポーカーの武器になる」というアプローチです。
日本ポーカー協会が監修しているのに、ポーカー好きな読者からの酷評が目立ちました。僕はポーカーをそんなに知らないせいか、割と楽しめたんですけどね。全4巻で打ち切り。最後の駆け足はビックリするほどで、もうちょっと読みたかった感は強めです。
めしぬま。
レビューで低評価のほとんどが「食べてる顔が気持ち悪い」という意見で埋め尽くされているグルメ漫画。笑顔と幸せそうにしている顔が不細工な人っていないと思ってたんだけどなぁ…。僕としてもこの顔はあまり得意じゃないんだけど、1番受け付けないのは作中で女性キャラが主人公の顔を「可愛い」と表現している点だと思います。
「あ、作者の人はこれを可愛いと思って描いてるのかな?」って距離感ができてしまったと言うか。でも登場する料理は庶民的で、それを幸せそうに食べているという意味では、読み応えもあるんじゃないかと。
「飯沼=めしぬま」って表現も面白い。個人的には、皆さんが気持ち悪いって言ってるのも理解できるけど、そこまで悪くないんじゃないかなって思ってる作品。
王様ゲーム(全5巻)
学校のクラス単位で王様ゲームをすることになり、かなりきつめの命令が出されます。従わなければ死ぬこともあるというハイリスクな王様ゲームの話です。命令は個人個人の携帯電話にメールで送られてくるんだけど、王様の招待や何の目的でこれをやっているのかが不明という流れ。
最初はちょっとエロ要素もありつつ、主人公の同年代くらいの読者に対する掴みは抜群だったんじゃないかと思いました。で、普通なら王様がクラスの誰かっていう結末に向かって、いわば人狼ゲームみたいな展開がなされていくんじゃないかって思ってたんだけど…。
結末があまりにもお粗末で、ぶっちゃけ夢オチとなんら変わらないって感じすらしました。
あとがき
たまに「届くのが遅かったから☆1個」とか書いてる人もいるから「Amazonの評価なんかアテにしてない」って人もいるけど、やっぱ消費者の目線って割と正しいことが多いと思う。
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