表紙を見ただけなら絶対に手に取らない系の漫画なんだけど「女が生まれなくなった世界で、男の一部が女にさせられる」的な設定を聞かされたら一気に興味が湧きました。
都市伝説ではどっちかっつーとY染色体の方がアレでアレだから、むしろ男が生まれなくなるんじゃねーか説みたいなのを聞いたことがあるんだけど、女が男になるよりは男が女になる方がなまめかしい(生やすよりは切る方が楽だし)。
というわけで今回は、男が正真正銘の女に変えられてしまう世界の物語「バランスポリシー(全2巻)」を紹介します。
バランスポリシー あらすじ
日本の人口は4000万人となり、この年に産まれた赤ん坊の数は遂に1万を切る。そのうち女児の数は2割にも満たない。
本作は、子供の出生率低下に伴う少子化問題に加え、特に女児が生まれなくなったという世界の物語である。政府は緊急対策として、男性でも出産できるように「適合者の女性化」を推し進めるようになった。
これによって適合者と判断された男子は、改造されることで女子として生まれ変わり、女子として生きていくこととなる。
バランスポリシーの登場人物
真臣
健二の友人。健二が女になって現れたことに対して戸惑い、どう接していいのかわからなくなることがある。
健二
正臣の友人。適合者と判断され、女の子へと改造された。女の子として生きて行かなければならない覚悟を背負いながらも、決して弱みを見せるようなことはしない芯の強さがある。
正臣にはこれまでと同じように接してもらえるよう願ったり、ずっと好きだった正臣のお姉ちゃんと接するときには動揺を隠しきれないなど、葛藤している様子が伺える。
バランスポリシーの見所をチェック!!
「急に女として生きなきゃいけなくなった」という場合の心境
例えば僕自身が適合者と判断されて「お前、明日から女な!」って言われるのもキツイけど、すっげー仲の良い友達が急に女になったとしても相当気まずい。
だってスラムダンクのゴリに似てるからって理由でゴリって呼ばれてる親友が、急に石原さとみになったらどう接していいかわからなくなるでしょ?…いや、それなら別に中身はゴリでも関係ねぇってなるか。ちょっと面影残されてるとキツイけど(いやいや、そういう問題じゃなくて)。
こういう政策が今の日本にないから受け入れにくいって考えるだけで、それが当たり前の世界になっているのであれば何てことないような気もしなくもないし。
まぁ自分が女にされるのもキツイし、自分の友達が女になるのもキツイし…。でも何よりキツイのは、元々男だったと知らずに付き合ったコが男だったってパターンかな。いや、それは気付いてないから問題ないか。
てか、気付いても好きだったら問題ないか。つーか石原さとみだったら問題ないな。石原さとみが男でも全くもって問題ないな、うん。
周りが変わってしまうことに対する葛藤
例えば自分が急に女の子になったとして、周りの友達とかに急に気を遣われるのも気持ち悪いし、だぶん「やめてくれー」ってなる。
「健二も本当はどうしていいかわからない部分があるんじゃないかなー」とか考え始めたら、いくら考察してもキリが無いくらい深い物語ですね。「50文字以内で簡潔に述べよ」とか言われても絶対無理。
そして周りが変わっているのと同時に、自分の外見は変わってるんだけど中身が全く変わってないって部分も複雑だと思う。「石原さとみ可愛いなー」って感情は変わらないわけで、でも石原さとみとは同性ってことになるわけで。
男だったら、どんなにイケメンとされている男相手でもキスしろって言われたらキツイじゃないですか?女相手だったら自分の理想より低いラインの相手でも全然できるけど、男相手で自分より明らかにイケメンだったとしてもキツイじゃないですか?
例えば嵐の松潤とキスしろて言われてもキツイじゃないですか?いや、キツくもないか。うん、全然できるな。
改造された者のその後
改造された後で地元に残ったとして、周りの人間はみんな健二が男だっていうことを知っているわけで、よほどのことが無い限りは健二を恋愛対象として意識する男ってそう居ないんじゃないかと思うんですよ。
ただ、別の地域に行ったとしましょう。見た目が完全に女の子で過去を知らない人ばかりの土地に行けば、そこでは完全に女の子として扱われるでしょうし、あとは自分の気持ちが割り切れるかどうかって話になると思います。
そして、やはり本作最大の見所は「女になった健二がどういう運命を辿るか」という部分です。具体的に「健二は素敵な旦那さんと出会って2人の子を産み、幸せになりましたとさ」的なエンディングを迎えたわけではありませんが、読み手の想像力を刺激するイイ終わり方だったように思います。
バランスポリシー コミックス全2巻を読んだ感想・レビュー
やっぱ「自分の身近なところで同じ出来事が起こったら?」という、IFの世界観を楽しめる部分がすごく面白い作品です。
僕自身はゲイとかレズとかの人に対して特に何も思わないけど、とりあえず「自分がそうなることはないなぁ」っていうタイプで、仮に綺麗な女の人を見たとしてもその人が男だって聞いたら恋愛対象には見れないタイプです。
ただし順序が逆で、好きになってから男だと気付くパターンだと、男だからと言って嫌いにはなれないかなぁ(←何を言ってるんだ)。
読み手側の恋愛観っていうか、性別に対する考え方によってモロに捉え方が変わる作品なので、同じ人間でも時間が経ってから読むとまた違った感想になるんじゃないかと思います。全2巻という読みやすいボリュームなので、興味のある人はぜひ。
あとがき
大西賢示がはるな愛になるのとはワケが違う。