最初は単純に「異世界系のグルメ漫画かな?」って思ったんです。ちょっと毒って漢字が気になったけど、ドラクエで言うところのバブルスライムっているじゃないですか?そういう毒持ちモンスターをうまく調理して食べるまでを描いた作品かなーなんて思ってたんです。
まぁそれはそれで面白そうってのはさておき、本作もインパクトとかアイディアでは負けてない。むしろこれからグングン人気を伸ばしていくんじゃないかと思いました。
というわけで今回は、生贄女子が魔物側から断られてしまうという展開のハチャメチャなギャグ漫画「毒贄クッキング(全4巻完結済み)」を紹介します。
毒贄クッキング あらすじ
「この村を救いたければ、生贄を差し出せ!」。ロールプレイングゲームやファンタジー作品が好きな人は、このようなシーンを一度は目にしたことがあるだろう。村には狂暴な魔物が住んでおり、伝説によるとその魔物を怒らせると村が滅んでしまうという。
そしてその魔物から村を守るためには「生贄」を差し出さなくてはならない。かねてから村では若くて美しい娘を生贄として差し出し、それによって魔物の機嫌を伺いつつ村の平和を保ってきた。
そして大抵の物語では村長の娘が生贄の順番となったときに勇者一行が村へ到着し、その魔物を退治することで平和をもたらしてくれることが多い。しかし本作にそのような展開は待っていない。だが生贄がみすみす食べられてしまうこともない。
これは生贄として差し出された村娘があまりにもの臭さによって魔物側から拒否されてしまった、悲しくも笑いを禁じ得ないギャグストーリーである。
毒贄クッキングの登場人物
ペポパ
村唯一の生娘にして、本作の主人公。父親が残した借金を返せなくなり、借金を帳消しにするという条件で生贄となった。「エルフの一滴」と呼ばれるお酒を売って生計を立てていたが、その製造過程で「村の特産である毒銀杏に足を漬け込み発酵させる」という工程があり、そのせいで足が臭い。
あまりにもの臭さに魔物にも拒否されてしまったが、自分が借金を返せないとその借金のしわ寄せが妹にいってしまうため、何とか魔物に食べてもらおうと必死になっている。
ギャザ男
村の近くに棲み着いた伝説の魔物。夜な夜な村を襲うため、村人たちは生贄を差し出すことで鎮めようとしたが、生贄として差し出されたペポパがあまりにも臭かったため、食べられなかった。
伝説の魔物というわりには厄介さを微塵も感じさせず、住処でゲームをしたりダイエットをしていたりなど、可愛らしい一面が多い。
毒贄クッキングの見所をチェック!!
村娘の蔑んだ感じが新しい
いや、なんとなくね。なんとなくですよ?元々、ちゃんとしたRPGをやってた頃から「この娘はちょっと…」みたいな感じで、魔物側からチェンジ的な要望がでたことってなかったんだろうかって疑問はぶっちゃけありましたよ。
今の日本みたいに少子高齢化が進んでいる村だったら当然若い娘がどんどん減っていくわけで…。そうなったら「何歳まで娘として見てもらえるのか?」とか、そういう疑問もありましたよ。
本作はそういう疑問をドストレートに表現してくれました。「足が臭いから嫌です」って言われてしまった娘の立場は!?しかも借金を帳消しにするために娘側が一生懸命に食べられにいくってのも斬新。
なんて言うんだろう、自分も嫌なのに相手に拒否されてしまった感じ。街でお世辞にも可愛いとは言えない女子が「松潤?あー、私はないな」って言ってるあの感じ。松潤側も当然嫌だけど、なんか「こんな奴に嫌がられていることが嫌」みたいな感じ。そんな新しい感じ。
大きくベクトルを履き違えたグルメ漫画のよう
ちょっと材料のあたりに違和感は感じるけど、一見すると異世界モノのグルメ漫画です。恐らくちゃんとやれば立派なグルメ漫画になったと思うんだけど、きっと作者がその道を選ばなかっただけに違いない。ギャグとしてしっかり成立しているので、これはこれで大いにアリだと思います。
そもそもエルフの足を入れて発酵させるってお酒がある時点で、グルメ漫画としては致命的なんだけどね。そんなことどうでもいいって思わせてくれるくらい、初期設定がぶっ飛んでいて面白いギャグ漫画です。
ギャザ男にマスコット的可愛らしさを感じる
一応、夜な夜な暴れる伝説の魔物っていう設定のギャザ男なんだけど、とにかく憎めない。そして尋常じゃなく可愛らしい。
家では煎餅片手にロールプレイングゲームで遊んでたりするんだけど、ちゃっかり主人公に「ぎゃざお」って名付けてるからね。しかも濁点が1マス消費するこの感じ、ファミコンで遊んだことのある読者には堪らないんじゃないかと思います。
他にもランニングマシーンでダイエットをしていたり、カップ麺の蓋を割りばしでしっかりと開かないようにしていたり…。伝説の魔物にしては可愛すぎる一面に注目です。
毒贄クッキング コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
魔物側から断られて、生贄が逆に必死になるって展開は、ギャグ漫画として普通に面白いです。それでいて主人公の生娘が見た目はグラマラスで可愛らしいのに「足が臭い」っていう致命的な弱点を持っているって部分にもそそられるし、なんなら「普通に魔物倒せるんじゃね?」ってくらい強いっていうようなツッコミ所も多くて面白い。
あとは魔物が可愛い。とにかく可愛い。ちょっとしたマスコットみたい。多分あれだな、うまいことアニメ化とかしたら、キャラクターグッズで一山当てようって考えだな。
とりあえず前提は「生贄を差し出さなきゃいけない負の螺旋」みたいなシリアスさがあるけど、全然シリアスじゃないし、今度そっち方向に向かうってことも恐らくないと思うので、アホらしいファンタジー要素のあるギャグ漫画が読みたいっていうなら間違いないです。
あとがき
「吉岡里帆さんの足が臭かったらどうだろう?」とか考えたけど、逆に興奮しかしなかった。