まんまタイトル通り、宇宙人の兄弟が東京で生活する様子を描いた漫画です。地球の文化や風習について、実際に触れてみて手探り状態のまま生活しているということもあり、色んな部分で挙動不審なことをしている不気味さ、面白さがあります。
勉強とかでも「知識がなさすぎて、何が分からないのかが分からない」っていう状況になったことってありませんか?それの実生活バージョンみたいな感じです。
というわけで今回は、不思議な宇宙人兄弟の日常生活を描いた「トーキョーエイリアンブラザーズ(全3巻完結済み)」を紹介します。
トーキョーエイリアンブラザーズ あらすじ
ある夜、未明。東京の空に、隕石が光を放ち落下する。そんなことを知ってか知らずか、同じ空の下、悠々自適に暮らす主人公がいた。どこか抜けてて、だけどイケてる大学生、彼の名は田中冬ノ介。
ナンパで出会った女の子と早速ホテルへ繰り出す冬ノ介。そこに突如現れたのは―――どうみても「地球外生物」!!その生き物は冬ノ介をこう呼んだ。曰く、「弟よ」……
彼らの目的は「地球移住計画」。計画発動に向けて、未知なる生物「人間」を学ばねばなりません。さあ、この星に暮らすすべての人類へ捧ぐ、世界一ユカイで宇宙一ポップな、宇宙人兄弟のトーキョー探訪記、開幕です!
トーキョーエイリアンブラザーズの見所をチェック!!
地球の習慣を全く知らない宇宙人の物語
地球のことをあまり理解しておらず、奇怪な行動を取っても「それの何がおかしいのかが分からない」という不思議な魅力に溢れています。確かに「弟から兄ちゃんと呼びかけるのは普通で、その逆はあまり見ない」というのは、そういう文化が無ければ不思議なんでしょうね。こんな感じで「言われれば確かに…」みたいなことが結構多いです。
「Why Japanese people!!」じゃないけど、宇宙人から見て地球人のおかしなところを観察していく系の、突っ込まないでひたすらノリ続けるシュールな漫画なのかなぁ…と思いきや、キッチンハイターや消毒用エタノールを飲んだり、塩で身体が溶けてしまったり。
色んな部分で規格外な、ゆるい雰囲気の漫画です。地球の文化に触れて、行き当たりばったりでやりくりする宇宙人の姿は最高!
高低差が激しすぎて困惑してしまうような加速感
人間の感情を知らない宇宙人が主役なので、もちろん彼らも地球の文化や風習に戸惑ってるだろうけど、その様子を見せられる僕らも戸惑ってしまうんですよね。まず「バスローブのまま外に出かけることに対してツッコミが入らない」という状況は、ボケてるのにそれをスルーされ続けていて引っ込みつかなくなった芸人さんのような哀愁を感じます。
で、それに気付いたおばちゃんが服をくれるんだけど、そのお礼に犬をあげようとして怒られるっていうね。なんだろう、子供のような純粋さゆえの残酷さって言うのかな。服のお礼に犬をあげようとして「人間って物々交換好きじゃねーのかよ!」ですから。彼らが無知なことを知ってるからまだアレだけど、完全に笑えないやつです。
ほんでその次のページでは、大阪のおばちゃんあるあるでトップに出てきそうな服を着てるもんだから、もう高低差ありすぎて変な感情になります。ツッコミも無いので「これは笑っていいのかな?」みたいな変な感じ。でも、こういうちょっと不気味な雰囲気も本作の大きな魅力だと思います。
宇宙人兄弟の成長や変化に注目
見た目こそ青年ですが、中身は完全に子供な2人。もちろん人間を知らないから仕方ないっていう前提があって、そんな2人が少しずつ地球に馴染んでいく雰囲気は大きな見所と言っていいでしょう。まるで「赤ちゃんや幼稚園児が、親に怒られたりしながら少しずつ社会を学習していく感じ」のようです。
個人的に最も注目したいのが「心境の変化」で、当初は服のお礼に犬をあげようとしていた兄弟が、今後の生活において「服のお礼に犬をあげることの何が間違いだったのか」みたいなことに気付いていく展開があれば、最高に胸熱なんじゃないかと。
トーキョーエイリアンブラザーズ コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
コテコテのギャグ漫画って感じでもないし、宇宙が絡んでるのにSF感もあまりなく…。ぶっちゃけ「この漫画のジャンル何?」っていうのが正直なところです。
ギャグというよりはコメディーかな。一見するとボケのような行動でも、本人たちはいたってマジメだし、ツッコミもありません。それが少しシュールに映ってるのが面白かったり、ちょっと怖かったり。
終始ゆるい雰囲気で進むので、今の時代にマッチしている漫画じゃないかと思います。個人的には「ぺこぱの漫才に近い空気」を感じました。
ゆるい雰囲気が好きな人、宇宙人が地球に来る系の不思議な物語が好きな人におすすめです。アニメもあるので、活字よりも映像と音声で楽しみたいという人はこちらもおすすめ。
あとがき
ある種、宇宙兄弟。