プロ野球名鑑なんかを眺めていると、今ではめちゃくちゃ活躍している超一流選手がドラフト下位で指名されているケースも珍しくないってことに気付きます。例えば安打数の世界記録を持っているイチロー氏は、今はなきオリックスブルーウェーブに4位指名でプロ入りしました。
こんなん後の活躍を知っていたら絶対1位で指名するべきだったし、指名しなかった球団のスカウトの目は節穴だし、4位で競合することなく拾ったオリックスのスカウトはやべーくらい優秀って話です。
そんなワクワク感と一緒にスカウトの目線が楽しめる漫画がこちら。というわけで今回は、ダイヤの原石を発掘するプロ野球スカウトマンの物語「ドラフトキング(連載中)」を紹介します。
ドラフトキング あらすじ
全てのプロ野球選手が通るプロ野球の入り口、ドラフト。その陰には、高校野球、大学野球、社会人野球、独立リーグ…全ての野球選手の中から隠れた才能を見出し、プロへと送り込むスカウトマン達の活躍がある!! 並外れた眼力を持つスカウトマン郷原が見出した選手とは…!? その年のNo.1選手、ドラフトキングの獲得を目指すプロ野球スカウト譚開幕!!
ドラフトキングの見所をチェック!!
プロ野球のスカウトマンが主役
毎年11月になるとプロ野球ドラフト会議が注目されます。そこで目ぼしい選手をチェックする「スカウトマン」が主役の漫画と言えば、これまでに無かったジャンルと言ってもいいのでは?
夏は甲子園があるので高校球児が注目を集めますが、スカウトの対象は大学野球や社会人野球にまでも広がるので、いかに掘り出し物を見つけ出すかという部分にスカウトの手腕が問われていると言っていいでしょう。
でも普段から具体的にどういうことをしてるのかって分からないじゃないですか?それが本作を読むと分かるんです。誰もが認める優秀な選手を見つけ出すのはそこまで難しくないようにも思えますが、他球団が目を付けない優秀な選手はどうやって発掘されるのか…必見の価値ありです。
単純に良い選手を挙げるだけじゃない裏の駆け引き
例えば1985年の清原和博氏、1992年の松井秀喜氏、1998年の松坂大輔氏、2004年のダルビッシュ有投手なんかは、素人目にも活躍するのが分かりきっている部分があったと言えます。本来のスカウトはこういう選手をピックアップするばかりが仕事ではありません。
例を挙げるなら1978年の落合氏はドラフト3位でした。後に三冠王を3回も取り、超一流のバッターになる選手がドラフト1位じゃなかったんです。そして1991年のイチロー氏はドラフト4位で、これもまたドラフト1位ではありません。これらの例はスカウトの手腕を認めざるを得ないでしょう。
全員が全員じゃないにしても、大体甲子園でめちゃくちゃ活躍した選手を取っておけば失敗しないことが多いじゃないですか?でもそれはどの球団も同じようなことを考えるので、いかに「他球団が注目していない優秀な選手を見つけるか」という着眼が非常に興味深い漫画だと思います。
あと「高校野球は投手として活躍したけど、プロでは打者として頑張ってもらいたい」みたいな打診をして上手くいくケースもあるんですが、これは完全にスカウトがプロだってことを知らしめるやつと言っていいはず。
ドラフト前の交渉術
ドラフトはいわばチキンレースみたいな部分もあって、なるべく上位で指名されたい選手側と、出来ることなら下位で指名したい球団側の駆け引きも大きな見所です。
現在日本のプロ野球球団は12球団あるわけですが、ぶっちゃけ「ここの球団の方がお給料が良い」みたいな事情もあるじゃないですか?もちろん給料が良い人気球団は、それだけレギュラー争いもきつくなるんで一概にどうこうは言えないけど…。
あとは「昔から憧れの球団で…」みたいなこともあるし、中には「実家が東京だから関東の球団しか考えていない」みたいなこともあるでしょう。ごくまれに「〇〇以外から指名されたら拒否します」って選手もいますよね。そういう選手たちに気持ち良く入団してもらうにはどうすればいいか、そして他球団と競合せずに上手く指名する方法はないか等、スカウトの交渉術にも見所たっぷりです。
ドラフトキング コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
毎年夏になると甲子園を見ていて「この選手はプロに行っても活躍するだろうなぁ」っていう選手を見ると、自分とは全く関係ないところの話なのにワクワクしてしまうものです。そういう楽しみが詰まった野球漫画だと思いました。
僕の知り合いにも実は高卒でドラフト1位指名を受けてプロ入りした選手がいるんだけど、彼がいた高校は甲子園にも出られなかったのに、普段の練習を見にスカウトが来てたからね。その時は「あいつすげーなー」だったけど、今思えば完全に「こんなド田舎の弱小高校のエース見に来るなんてプロのスカウトすげー!」が正解だったと思います(ただし活躍したかって聞かれると微妙で、球団側としてはハズレだったんじゃないかと)。
とりあえずスカウト目線の野球漫画は今までになかったと思うんで、今後の展開にも大きく期待しています。野球好きな人、プロ野球の裏側が見たい人なんかには特におすすめです。
あとがき
僕も大谷翔平選手が活躍するのは分かってた。
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