昔、夏休みは海に行って小さい蟹やらヤドカリやらを乱獲していました。あとは砂浜ではまぐりを掘ったり…。今だと場合によっては密漁扱いになるのかもしれないけど。
そんな思い出がある人は少なくないと思います。そういう人におすすめしたいのが本作です。というわけで今回は、干潟に特化した生物系物語「ガタガール(全2巻完結済み)」を紹介します。
ガタガール あらすじ
姉から誘われた「干潟観察会」。干潟では、身近な生物と、かわいい女の子との出会いが待っていた!? 干潟を舞台に送る、生物部青春グラフィティ!
ガタガールの見所をチェック!!
干潟に特化した漫画
本作のタイトルにある「ガタガール」というのは「潟ガール」という意味であり、干潟を舞台に描かれている漫画です。釣り漫画なら海釣りやら渓流釣りやら色んな種類があるし、何なら海を舞台にした青春漫画も少なくないのに対し、干潟をテーマに描かれている漫画は超珍しいのでは?
ちなみに干潟とは、潮の満ち引きで海になったり陸になったりする土地のことで、ムツゴロウが生息している土地みたいなやつのことです。完全に乾ききることがなく、海面から露出していても泥みたいな感じのとこ。ちなみにWikipediaでは以下のように紹介されています。
海岸部に発達する砂や泥により形成された低湿地が、ある程度以上の面積で維持されている、朔望平均満潮面と朔望平均干潮面との潮間帯。潮汐による海水面の上下変動があるので、時間によって陸地と海面下になることを繰り返す地形である。砂浜と比べ、波浪の影響が少なく、勾配が緩やかで、土砂粒径が小さく、生物相が多様な平坦地形である。
ちょっとした雑学を楽しく紹介
干潟に生息している生き物たちの雑学を楽しく学べるのも、本作のおすすめしたいポイントの1つです。例えばタラバガニとズワイガニの違いとか、アサリとハマグリの違いとか…あとは天然記念物と絶滅危惧種の違いとかですね。知ってそうで意外と答えられない、まさに絶妙なラインじゃないかと思いました。
生き物に関する雑学は、知らない人が聞くと思わず「へぇ」と言わされてしまうものが多く、知ってて人生の役に立つかって言われたら微妙だけど、何より面白いじゃないですか?まったくの無駄じゃなく、漫画を読んで楽しんでいるうえに知識が得られるみたいなメリットは非常に大きいと思います。
ちなみに釣りをやる人なら普通に知ってるだろうけど、海とかで許可を取らずに生き物を取る行為は「密漁」に当たる可能性があるので注意(本作でも軽く触れられています)。
部活動を通じて描かれる学園要素もてんこ盛り
本作は生物部に入部することになった主人公と、タイプの異なる3人の部員たちが織り成すコメディーチックな日常が描かれています。そのうちの1人に対して主人公が好意を持っていることもあり、少しラブコメっぽい展開も魅力的です。
ギャグ要素も割と強く、まるではしゃいでいる子供たちを遠くから眺めているかのような楽しさがあります。読者によってはノスタルジーな雰囲気を感じるという人も少なくないでしょう。個人的には「自由研究ってこういうこと」って思う理想形のように感じたので、小学生だった頃の自分に読ませたい漫画だと思いました。「まじめに遊べ」って多分こういうことです。
ガタガール コミックス全2巻を読んだ感想・レビュー
冒頭から「干潟にテーマを絞って、そんなにネタが続くかなぁ」と思っていましたが、全2巻で完結です。1巻は完全な干潟関連ストーリーなのに2巻なると一気にラブコメ色が強くなったので、もしかするとネタ切れによる打ち切りだったのかもしれません。
それでも干潟に関する漫画を描こうと思った思い切りの良さは凄いと思うし、存在自体が非常にレアな作品なので刺さる人にはたまらない漫画だと思います。個人的には幼少の頃はおじいちゃん家の田舎の海で毎日遊んでいたので、そういう懐かしさも思い出せる作品でした。
潮干狩りに行った思い出とかがある読者ならすごく楽しめるはず。ちなみに続編として「ガタガールsp. 阿比留中生物部活動レポート(全3巻完結済み)」へと続きます。
あとがき
コアなテーマの漫画が増えてきて喜ばしい限り。