「ピンポン」を読んだ感想・レビュー

ピンポン表紙
Ⓒピンポン

卓球が好きな人にこんな事を言ったら怒られちゃうとは思うんだけど、どうしても「卓球=地味なスポーツ」という印象を持っていました。英語で言えばテーブルテニスだし、テニスが本家みたいになってるし。

そんな僕でも幼い頃に本作に出会っていれば、卓球をやっていたかもしれません。まぁ当時の僕が、本作の繊細な心理描写とかを理解できればの話ですが。ちなみに僕が思う卓球漫画のナンバー1は本作だし、全スポーツ漫画の中でも相当上位になるほど本作が大好き。

というわけで今回は、ほとばしる熱量と青春がコラボする卓球漫画「ピンポン(全5巻完結済み)」を紹介します。

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ピンポン あらすじ

月本(通称・スマイル)と星野(通称・ペコ)とは幼馴染み。小学生時代に駅前の卓球場タムラでラケットを握っていた頃からの仲だ。天才肌の星野はいつも好き勝手やり放題。今日も部活をさぼっていた。先輩たちに「星野を部活に連れてこい」と命令される月本だったが・・・

ピンポンの見所をチェック!!

独特な世界観にグイグイと引き込まれる

ピンポン1
Ⓒピンポン

本作が持つ雰囲気はとにかく独特で、これは僕の語彙力では表現しがたいものがあるんだけど、まず第一に「やたら血の味という表現が出てくる卓球漫画ってある!?」という衝撃です。格闘漫画とかヤンキー漫画ならまだしも、卓球漫画でそれは完全に想定外。

で、こんな感じの独特な表現が割と多く出てきて、おそらく読み手によって景色が変わるんだと思います。そういう意味ではとにかく深い作品です。

ライバルがガンガン出てくる感じでもないし、必殺があるわけでもないし、卓球部が廃部に追い込まれるようなシチュエーションもない。試合中に名台詞を吐きまくるような感じはおろか、ただピンポン球を打ち返し続けるだけの無言のシーンに、まさかここまで魅了されるとは夢にも思いませんでした。

才能に対する憧れや嫉妬

ピンポン2
Ⓒピンポン

本作は幼少の頃からの幼なじみが同じ卓球部で卓球をプレイするという設定になっていて、そこに至るまでの幼少期の回想なんかも多々出てきますが、舞台そのものは高校卓球界です。

で、小学校~中学校くらいであれば「少しでも小さい頃からプレイしている奴が強い」みたいな部分があるじゃないですか?でも年齢を重ねると共に少しずつ才能のある奴だけが残るようになってきて、中には「死ぬほど練習してるのに勝てない相手がいる」という理由で競技そのものを諦める人間もいるわけです。

でも才能がある人間にもそれなりの悩みがあって、決して順風満帆に駆け上がってきたわけではないという…。才能ももちろんそうですが、当然のように努力できるということも重要だし、ライバルの存在や練習の環境なんかも関係してくるわけで、その不公平さみたいなものが割と辛辣に表現されているような気がしました。

少なくとも本作は「努力は裏切らない」とか「諦めなければ最後に夢は叶う」という類の作品ではないので、そういう意味でも衝撃的です。

バトル漫画かと思うほどの圧倒的な迫力

ピンポン3
Ⓒピンポン

ストーリーももちろんそうなんだけど、ぱっと見の絵のタッチも非常に独特で、中には「ちょっと苦手な感じの絵だな」って感じる人も少なくないんじゃないかと思います。…が、もし絵の雰囲気だけで本作を敬遠しているなら物凄く勿体ないことだと思うし、個人的には「今読んでも逆に古臭さを感じない絵」という印象です。僕も最初はあんまり好きなタイプの絵じゃなかったんですけどね。

でも読み始めたら一気に夢中にさせられてしまったうえに、何なら「すげー迫力!」という印象に変わっていったので、本作が持っているポテンシャルは相当なものだと思います。ぶっちゃけセリフのない淡々と競技をしているシーンに心を奪われたのは本作とスラムダンクくらいかも。

ピンポン コミックス全5巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

僕の中で好きなスポーツ漫画のランキングを組んだら絶対にトップクラスに評価する作品です。無駄なところがないくらいに洗練されているし、競技中の熱さも相当高く、青春時代の複雑な心理描写も見事だと思います。

ことごとく前例が見当たらない見せ方をしているというのもポイントで、球技の漫画を描こうと思ったら最後に主人公が勝つパターンが王道です。負け知らずのライバルがいるんだとすれば、最後の試合でライバル相手に逆転させれば嫌でも盛り上がると思うんだけど、本作はそういうレベルで描かれていません。

なんて言うんだろう…ムラっ気のある強さの不安定な感じが面白いというか、結果が見えない感じって言うのかな。最初から最後まで「どうせ主人公が勝つんでしょ?」みたいな視線を向けることが一切ないし、純粋にどういう結果になるのかを楽しみにしながら読めるって相当すごいと思う。二人の主人公の設定も見事で、ダブルスじゃないのにどっちも主役っていうのも面白かったです。

史上最強級に面白い漫画だと思ってるので、今まで本作に触れたことがないという人には絶対におすすめ。全5巻サクッと一気読み可能です。

あとがき

私はここまでだ、ヒーロー……。

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