とある知り合いのカップルがいて、なにやら喧嘩したらしく彼氏の方から愚痴みたいなのを聞かされて「相手の彼女ひでーなぁ」って思ったりすることは少なくないんだけど、実は彼女側から話を聞くと全く別の印象を持つことって少なくありません。
これに関しては人の感じ方による部分があるので、どちらかが嘘ってことは考えにくく、どちらも真実を言ってると思うんです。ただ「手が当たった」のか「殴られた」のか、そういう部分の食い違いが積もり積もってそうなっているってだけで。
一方で、痴漢冤罪みたいに「一方が明らかな悪意を持って相手を陥れようとする行為」も、たまにニュースで見たりするじゃないですか?本作はそんな実際にあった「でっちあげ」を漫画化したものです。というわけで今回は、実際にあった事件をモチーフにしたノンフィクション作品「でっちあげ(連載中)」を紹介します。
でっちあげ あらすじ
どこにでもあるような街の、どこにでもあるような学校。どこにでもいるような母親と、どこにでもいるような先生。どこにでもあるようなありふれた関係、のはずだった。悪夢の“家庭訪問”までは――。小さな街で起きた“体罰事件”は全国を駆け巡り、やがて裁判へと発展する。世論の見守る中、正義の鉄槌が下るはずが……。
でっちあげの見所をチェック!!
嘘みたいな本当の話
本作は実際にあった本当の話を題材にしているようです。「子供が暴力を振るわれている」ということで訴えられた先生が、実際は完全なるでっちあげで裁判を起こされてしまったという話(完全なでっちあげだったか誇張されていたのかはコミックス1巻時点では不明)。
裁判とか参加したこと無いけど、両者の言い分がまったく食い違ってる時の真偽の判断って難しいよね。これは自分がどっちの立場にもなり得るって思うから、余計にややこしく感じます。
完全なる冤罪で訴えられる光景も目に浮かぶし、本当に被害を受けて訴えたのに相手が全く認めないどころか「嘘をついています」くらいに言ってくるパターンも想像に容易く、世の中には色んな人がいるから猶更というか…。
どっち側の目線で読み進めるかによっても印象がだいぶ変わってくるというのが面白いです。最近はマスコミによる印象操作も明るみになってきているんで、片方だけの言い分を信じるのは危険ということを勉強する良い機会になりました。
先生が暴力を振るったというのが「嘘」だったら…
一昔前の教育現場では先生が生徒を叩いたりってことが普通にありました。僕が中学生の頃までは普通にあったし、教科書忘れたことを言わなかった生徒が蹴られたりとか、水を飲ませずにグラウンドを何十周もさせたりってことが珍しくなかったけどね。
一方で今は監視の目も厳しくなってきて、先生が生徒に暴力を振るうことは如何なる理由があっても許されないという風潮になっています。実際には無くなってはいないんだろうけど、減ってきていることは確実なわけで。
逆に生徒側が気に入らない先生に対してあれこれ仕掛ける的な話も聞くじゃないですか?本作では小学生の男の子だから、相手の先生を陥れようとしてそういうことをするかって部分は少し怪しいんだけど、そういう思い込みの怖さを思い知らされます。
被害者と加害者の意見が食い違った時に「被害者の方が本当のことを言ってそう」っていう思い込みを捨てて楽しむべき作品です。
でっちあげ 1巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
実話に基づいた話ってことで、ちょっと気になって調べてみました(とは言ってもWikipedia見るくらいだけど)。そこで思ったのは完全なるでっちあげとも言いにくいのかなぁという印象です。
これを見たら裁判って本当に難しいなぁと思わざるを得ないというか0か100かで判断するのって難しいなぁって思いました。ノンフィクションで「ネタバレやめろ」っていう人もいないと思うんで、一応Wikipediaの内容を以下に引用します。
例えば「血が混ざっている発言」については先生も認めていて、すべてがでっちあげというわけでもなさそうです。少なくとも子供が傷付くような発言や言動はあったという感じ。
あとランドセルをゴミ箱に入れたかどうかね。上に置いただけってのとゴミ箱の中に入れたってのとでは印象が180度変わると思うんだけど、先生も先生でゴミ箱の上に置くなよって思ったり思わなかったり。ちょっと考えりゃ分かりそうなもんだけど。
子供側からすれば「ちょっと大げさに喋っちゃった」って感じかも知れないし、それで失職するようなことがあれば先生側としてはたまったもんじゃないだろうし…。僕も嫌な上司から頭を5回叩かれたら「10回くらい叩かれた」くらいは言いそうな気もします。
いずれにしても難しい問題だなぁと思ったし、ただそれだけです。ちょっとダークな雰囲気のあるサスペンス作品が好きな人ならドンピシャの作品だと思います。
あとがき
変な奴に関わったら、自分がどっちの立場にもなり得るのが怖い。