近所に保育園がありまして…やっぱ送り迎えをしているのは女性(母親)が多いなぁと感じるんですけど、たまに男性(父親)が迎えに来たりすると、井戸端会議的なもので「〇〇ちゃんのお父さんはイクメンだ!」とか、そんな会話が聞こえてきます。
ひねくれ者の僕としては「イクメンってなんだよ」とか思ってしまうわけです。自分の子供を育ててるだけで褒められる時代かよと。奥さんが当たり前のようにやってることを、旦那がたまに変わっただけで絶賛かよと。
それと同時に、やっぱ男性は浮くなぁとも思います。夫婦共働きが増えてるんだから、もうちょい男性が積極的に育児をしている家庭が多くても良さそうなもんですけどね。僕の周りでは、それもなかなか数としては少なそうなイメージ。
本作はそんなひねくれ者の僕でも、最初から最後まで楽しんで読むことが出来た育児漫画です。というわけで、今回は「プロチチ(全4巻完結済み)」を紹介します。
プロチチ あらすじ
育児休暇明けで職場復帰する編集者である妻・徳田花歩(とくだ・かほ)。明るく元気な妻の代わりに0歳児の息子の世話を任された夫・徳田直(なお)は、ある事情から就職できず、男として自信を喪失していた――。息子と真正面から向き合い格闘する日々が始まり、直はこれまで感じた事のない『父親としての使命』に目覚めていく――。
プロチチの見所をチェック!!
父親がアスペルガー症候群で変わり者
アスペルガー症候群を変わり者って表現していいのかどうか微妙だけど、主に育児を担当することになるお父さんはアスペルガー症候群です。漫画を見てる限りでも、結構な変わり者。良い大学を出ていてそれなりの会社に就職したけど、仕事が出来なくて挫折。そして奥さんが産休後に働きに出ていて、専業主夫をしています。
この旦那さん、根はめちゃくちゃ良い人なんで、優しさもすっげー伝わってくるし、なんかしでかしても悪気が無いってのも分かる。でも、身近にいると腹立つんだろうなぁってシーンもいっぱいです。
漫画の登場人物なんて、大抵スーパーマンじゃないですか?でも、主人公であるお父さんを含め、本作にはその辺にいくらでも居そうな登場人物しか出てこないので、物語自体が身近に感じられるかと。
ありがちな「愛の表現」をしない
育児漫画だけに限らず、世の中には「赤ちゃんは可愛いもの」とか「親なら子供を愛して当然」という風潮があります。風潮っつーか本当にそうなんだろうけど。
でも蓋を開けてみりゃ、残念ながらそんな可愛い我が子を虐待をする親ってのも一定数は存在するし、どんなに人生経験を積んでても初めてお父さんをやる時は誰しもが初心者で、どうしたらいいか分からない瞬間なんて山ほどあると思う。
そんな中で、本作の主人公は我が子に対して「愛しているから」という表現を使っていません。愛って言葉を使っちゃうと、無償の愛っていう言葉があるように、イコールで「愛しているから当然」って言えちゃうので。
例えば上記のコマ画像にもある大雨の中、予防接種に息子を連れてきて、行きと帰りで息子を絶対に濡らさないって思うのは、親として当然と言えば当然の行為だと思います。
それを「息子の方が物理的に小さい→体温を奪われて病気になる可能性が高い」とし、だから自分が濡れても息子は絶対に濡らさないと表現しているんですね。そうすると「息子は温かいまま→安心して笑う→僕もそれを見て安心する」っていうアプローチです。愛だなんだっていうよりも俄然説得力があると思いませんか?
夫婦間での衝突
好きで好きで結婚した人たちが大半かとは思いますが、夫婦と言えども所詮は他人です。そりゃ毎日一緒に居たら、衝突する時もあるでしょ。よくテレビドラマなんかで見るのは、育児を全くしない父親に対して母親が詰め寄ると「仕事だからしょうがないだろ!俺の稼ぎで食ってるくせに!」というシーン。
本作は旦那さんが無職なので育児をしていますが、あるタイミングからパートに出ます。それと同時に「家事も分担するべきでは?」という至極真っ当な流れになるのですが、こういう感じのちょっとしたいざこざというか、衝突のシーンが少しあります。
もちろん腹が立つという感じではなく、夫婦がこれを読んだら「あるある!」って感じだろうし、最終的にはハッピーエンドというか、元鞘に収まるというか平和な感じ。衝突の最中に子供が原因で仲直りしたりするシーンは、子供のおかげで夫婦が成長できる実感なんかもあったりして、読んでいるこっちもほっこりできます。
プロチチ コミックス全4巻を読んだ感想・レビュー
僕は育児とか全然縁がないけど、育児漫画は割と好きでよく読みます。大抵は「あるある」の笑いを詰め込んでいるタイプの漫画が多いですよね。でも本作は、ぶっちゃけヒューマンドラマみたいな要素が強いんじゃないかと思う。育児に自信が持てない新婚夫婦とかにぜひ読んで欲しい。
主人公もちょっと変わり者だけど、いわゆる自己犠牲みたいな感じで育児をしてないんで、すごく説得力があります。「あー、そういう考え方もあるのか」って思うだけでも、実際の育児の引き出しの1つとして良いのではないかと。
全4巻の間に歩いたりするようにもなるし、保育園で傷を作ってきたりとか、子供の成長が見られて一喜一憂する様子も面白いです。決して育児を頑張ってない姿が素敵だと思いました。これから育児をする予定の人、育児に自信が持てないという人におすすめ。
あとがき
プロ父ってことね。