僕は体育の授業でやる柔道が死ぬほど嫌いだったんだけど、それを中和できたのは本作のおかげだと思っています。とにかく面白い柔道漫画で、本作を読んで柔道を始めたっていう読者もかなり多いんじゃないかと。
笑いあり涙ありというのが偽りなく、柔道にまったく興味がない人でも楽しめる作風に驚かされることでしょう。というわけで今回は、個人的に史上最強の柔道漫画だと思っている「柔道部物語(全11巻完結済み)」を紹介します。
柔道部物語 あらすじ
俺は三五十五(さんご・じゅうご)。高校に入学したばかりで何も知らない俺は、先輩たちの甘い言葉に乗せられて柔道部に入ることにした。ところが、入部したとたん、先輩たちの態度が豹変。シゴキはあるわ、坊主頭にさせられるわ、もちろん女の子との交流会なんて真っ赤なウソ。でも、一度やると決めた柔道だ。強くなってみせるぞ――!!
柔道部物語の見所をチェック!!
絵が綺麗で思わず見入ってしまう柔道漫画
表紙を見るとやたら太い眉毛の青年が目に付くので、絵のタッチに地雷っぽさを感じてしまう読者がいるかもしれないんだけど、それが杞憂だってくらいに絵はめちゃくちゃ上手いです。
柔道って相手のバランスを崩してから技を仕掛けるじゃないですか?本作の場合その一連の流れがしっかりと見えるくらいに丁寧に描かれていて、投げられている時の絵なんか脳内で再生されるほどのクオリティと言っても過言ではありません。
躍動感がハンパないから技が決まって一本勝ちした時の迫力も相当なものだし、これは柔道に興味がなくても感動するレベルと言っていいでしょう。現に僕もそうだったし。
柔道漫画なのに笑いのセンスが超高い
柔道漫画なのにって言ったらアレだけど、所々に男子運動部特有のノリもあれば計算された笑いなんかもあって、その辺のギャグ漫画よりも数段上の面白さだと思っています。
部活動あるあるなんかもあるし、これは柔道部じゃなくても共感できるようなネタだから多くの読者に刺さるんじゃないかと。そもそも物語の始まりが「吹奏楽部に入ろうと思ってたのに、たまたま見学に行った柔道部で嘘を吹き込まれて入部させられた」みたいになってる時点で、既に壮大なギャグ展開じゃないですか?
ストレスで円形脱毛症になったと思ったら「頭じゃなくて眉毛が」って高度すぎて笑えなかったです。というか本作の笑いのレベルは僕の語彙力では伝えきれないんで、笑いのレベルが高いスポーツ漫画が読みたいって思っている人には文句なしにおすすめしたい!
数々の強敵、魅力的なライバルたち
本作には同じ柔道部の部員もそうだし、ライバル校の部員にも個性の立ったキャラがたくさん登場します。たくさんとは言ってもここも見事なバランスで、能力の変なインフレとか起こしてないし、昔の強かったキャラが使い捨てになっていません。
で、軽くネタバレすると本作は一種の主人公TSUEEE漫画ではあるんだけど、その強さが絶対的なものではないので結構負けます。それも強敵に勝った後で気が抜けてザコに一瞬でやられたりもするんで、純粋なスポーツの楽しみ方でもある「どっちが勝つか負けるか」みたいなところでも楽しめるんですよね。
特に団体戦の大将戦なんか泣かされてしまうレベルで感動します。主人公以外が大将戦を務めて花道を飾る展開もあるし、逆に負けちゃうことも。嫌な奴も出てくるけど少年漫画特有の大げさな奴は出てこないし、自分の推しを見つけると更に楽しめるでしょう。
柔道部物語 全11巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
柔道とかスポーツに区切らず、僕にとって今まで読んだ漫画の中でも間違いなく上位の作品です。本作を面白くないっていう人の気持ちが分かりません。
笑いあり涙ありって言われると「どれも中途半端だからそうなるんじゃないの?」って言いたくなるんですが、本作に関してはマジのやつです。笑えるし泣けるし、全11巻っていう長すぎず短すぎずのボリュームも相まって、まさに捨てるところがない柔道漫画に仕上がっていると思いました。
キャラクター人気投票をやったら主人公が1位にはなるんだろうけど、それ以外で「誰に投票しようか悩む!」くらいに魅力的なキャラがたくさん登場するし、どっちが勝つんだろう的なドキドキ感も含め、史上屈指の漫画だと思います。よほど柔道が嫌いとかじゃなければ絶対に楽しめるのでぜひ。
女子柔道部物語もおすすめ
ストーリーが全然違うから続編っていうのもまたちょっと違うんですが、実在した女性柔道選手を題材にした「女子柔道部物語」が登場しました。柔道部物語のファンからすれば、小林まこと氏の柔道漫画がまた読めるってだけでも感動モノだと思います。
アトランタオリンピックの金メダリストである恵本裕子氏の活躍にスポットを当てた漫画のため、最終的には金メダリストになるってことが分かりきっている部分ではあるんだけど、素人同然で高校のときから柔道を始めて、その数年後に金メダリストになってるっていう流れは、もう完全に漫画を超えてると言っても過言じゃないです。
柔道部物語が好きだった人なら楽しめるんじゃないかと思うので、そういう人はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
あとがき
普通の人は足し算で成長するけど、本作の主人公は掛け算で成長する。