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「罪と罰」を読んだ感想・レビュー

罪と罰表紙
Ⓒ罪と罰

個人的には「罪と罰」って言われたらドストエフスキーよりも先に椎名林檎さんが出てきちゃうんだけど、まぁ簡単に言えば天才なら人を殺してもいいかどうかって物語です。

デスノートなんかでも根底にはこういう思想があったんじゃないかと思うんだけど、まぁ賛否の巻き起こりそうなテーマであることは間違いないでしょう。しかも本作は現代の日本に舞台を移して漫画化されてるのでめちゃくちゃ読みやすい!

というわけで今回は、現代の少年少女たちの抱える闇に迫る問題作「罪と罰(全10巻完結済み)」を紹介します。

罪と罰のあらすじ

“ひきこもり”と援交女子高生。接点のないはずの両者が出会ったとき、ある「計画」が動き出した……!ドストエフスキーの名作を原案に、現代の少年少女たちの抱える闇に迫る問題作。主人公・裁(たち)弥勒(みろく)は、将来を嘱望されて上京するも、大学にもバイトにも行かず部屋にこもる日々……。肥大する自尊心と、過敏な劣等感を持て余す弥勒の脳裏に、ある恐るべき「計画」が宿る!!

罪と罰の見所をチェック!!

ドストエフスキーの「罪と罰」が原案

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Ⓒ罪と罰

本作はロシアの作家・ドストエフスキーの代表作「罪と罰」にアレンジを加えて漫画化した作品だそうです。ちなみにオリジナルは1866年のロシアを舞台にした作品で、これが現代日本に舞台を移して取っ付きやすく描かれています。

僕は原作小説を読んだことがないからアレだけど、所々に文学的な表現があったりして元々が小説だっていう雰囲気が残っていたり、ちょっと哲学的な話になったりするものの全体的に読みやすい漫画だと思いました。

ちなみに本作の大きなテーマは「選ばれた非凡人は新たな世の中の成長のためなら社会道徳を踏み外す権利を持つ」というもの。そもそもこれが成立するかどうかもあるし、そして自分は非凡人かどうかみたいな部分の葛藤が大きな見所です。

社会に存在する害虫なら駆除しても良い?

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Ⓒ罪と罰

普通の人はそもそも殺人を犯したいっていう衝動に駆られること自体がないと思うんだけど、仮にあったとしても自分とか自分の大切な人に危害を加えるとか、邪魔な存在に対して殺意を抱くと思うんです。

これが社会に害を及ぼしているという理由で殺意を抱くのは、割とイカれた発想なんじゃないかと。例えば結構ひどいいじめに遭っている子がいたとして、腹が立つとか胸糞が悪いとかそういう感情を抱くことはあっても、じゃあいじめっ子を殺してやろうとはならないでしょ。

本作は明確な理由もなく殺人事件を起こす主人公の様子が描かれています。この主人公の中には確固たる動機があったのかもしれないけど、個人的には「こういう人をサイコパスって言うのかな」くらいに思いました。

「社会に必要のない人間は駆除してもいい」みたいなことを思う人は少なくないだろうし、それをSNSなんかで発言して炎上している人も少なくないけど、本作の主人公もそういう思想で揺れ動くので先の読めない展開に見所がたっぷりです。

罪に対する罰を受けられるかどうか

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Ⓒ罪と罰

本作を簡単に言えば「人を殺してしまって、その殺人事件の犯人として捕まるかどうか」って話です。殺人事件を起こしてすぐに出頭すれば捕まるだろうけど、衝動的にやってしまった殺人なんかだったら逃げられるなら逃げたいって考える人が多いような気がします。

まぁ逃げたいと思っていても日本の警察はそんなに甘くないわけで、プロでもなければ何かしらの手がかりから自分のところに辿り着くことを想像しないわけがありません。逮捕される不安感から何も手につかないし、警察から電話が来ただけでも心臓が飛び出そう。その間ずっと夢にみたりして、普通の人なら「罪を償いたい」って思うはず。

そこで揺れ動く感情に大きな見所が用意されています。そして場合によってはイレギュラーによって「出頭することが難しい」みたいなことも起こったりするので、最終的に主人公がどこに行き着くのかっていう部分は本作最大の見所と言っていいでしょう。

罪と罰 全10巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

名前は何度も聞いたことがあった「罪と罰」ですが、漫画になっていてだいぶ読みやすいと思いました。現代の日本が舞台になっているということで相当なアレンジが入ってるとは思うんだけど、最初から最後まですごく面白かったです。

個人的には殺したいって思った相手は何人かいたけど、そいつを殺したことで自分が捕まるのが嫌で殺人の衝動は抑えられてきました。それだけ僕は警察に逮捕されるってことを恐れてるんだけど、本作でもこの「捕まりたくない」っていう感情がめちゃくちゃリアルだったんですよね。

で、人を殺しておいて逃げ続けるのも一つの才能なんじゃないかと思います。普通の人だったら良心の呵責に多分耐えられないんじゃないかと思います。状況や周りの人間の存在によって、少しずつ揺れ動く感情みたいな部分が見応えたっぷりの全10巻と言っていいでしょう。

ちょっと胸糞悪いシーンが多いからダークな雰囲気のある漫画が大丈夫って人にはおすすめです。

あとがき

自分なら間違いなく逃げるのを諦めて自首すると思いました。というか衝動的に殺人を犯すイメージが湧かないけど。