今やカイジシリーズでは帝愛グループの面々がスピンオフ作品に登場していますが、それは本作の成功があったからと言っても過言ではありません。最初にこれを読んだとき、度肝を抜かれたのを覚えています。
ちょっとふざけている感がありながらも内容はめちゃくちゃ面白くて、一気に夢中にさせられました。というわけで今回は、会長と黒服の間で苦悩する利根川の姿を描いたギャグ漫画「中間管理録 トネガワ(全10巻完結済み)」を紹介します。
中間管理録 トネガワのあらすじ
「このマンガがすごい!2017」オトコ編1位!2018年7月アニメ化。「カイジ」シリーズの悪魔的スピンオフ。会長と黒服の間で苦悩する利根川を待っていたのは、受難・・!煩悩・・!そして絶望・・!
中間管理録 トネガワの見所をチェック!!
あの利根川の裏の一面
「賭博黙示録 カイジ」に登場した利根川と言えば、とにかく勝負強さを持っている強かな男という印象があり、最後にはカイジに負けて鉄板土下座をさせられたシーンが印象的です。憎らしい一面を持ちながらも、絶対的な会長の下で働かなきゃいけない気の毒な一面も持っていたわけですが…。
本作ではそんな利根川の気苦労が見える裏側にスポットが当てられています。これがカイジシリーズのファンからするとたまらない内容になっていて、まさにカイジ好きがカイジ本編を弄ろうと思ったらこうなるだろうなっていう王道の流れを汲んでいるんです。
利根川が所属している帝愛グループと言えば、ユニフォームが黒服にサングラスということで普通は区別が付きにくいと思うじゃないですか?カイジ本編ではそこには一切触れなかったけど、本当は利根川も困っていたみたいです。こういう些細なことが笑いにつながっているので見応えたっぷりと言えるでしょう。
割と共感できる「あるある」
本作が秀逸なのは、帝愛グループっていう一般企業とは大きくかけ離れている会社での出来事を、一般の読者にとってあるあると感じるくらいまで落とし込んで描き上げているということです。
例えば面接試験を受ける時なんかでも「服装は自由」みたいなことってあるじゃないですか?「本当に自由なの?それ」って言いたくなるようなやつ。これが本当に自由なのか、それとも「確かに自由だけどこっちはそれでもピシッとしてきた格好の奴を採用するだけなんで」みたいな話なのか。
もっと言えば上司が飲み会で言い出す無礼講みたいな話とか、割と僕らが読んでいて共感できる部分が掘り下げられているんですよね。これを見ているとあの利根川に親近感が湧いてしまって、思わず利根川に肩入れしたくなってしまうこと間違いなしです。
帝愛もなんだかんだで普通の会社!?
カイジの世界を知っていれば知っているほど、帝愛グループってのはとんでもない企業だっていうことを刷り込まれているはずなんだけど、本作を読んでいる限りだと「帝愛グループって言っても普通の会社と一緒じゃね?」みたいなことが少なくありません。
これこそ本作がスピンオフとして上手くやったなぁという点で、これを普通のサラリーマン系ギャグ漫画としてやっても十分に面白くなるはずなんです。十分にあるあるが備わっているし、サラリーマンの自虐的なことを所々に入れるだけで成立すると思います。
本作の場合はそこに「あの利根川が!?」っていう要素が加わるので、ぶっちゃけ面白くないわけがないっていうレベルなんですよね。もちろんこのメリットを得るにはカイジ本編を読んでいる必要があるんだけど、最悪カイジを読んでなくても普通のサラリーマン漫画として十分堪能できるはず。
中間管理録 トネガワ 全10巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
利根川ってすごく不思議なキャラで、卓越した頭脳を持っている的な話だったけどイカサマを使ってたし、すっげー嫌な奴だったけど会長にやらされてたってことが分かるとそこまで憎めなかったり…まぁスピンオフの主人公としては絶妙なチョイスだったと思います。
そして謎に包まれている帝愛の内部事情なんかも相まって、カイジファンとしてはめちゃくちゃ夢中になって読める全10巻でした。カイジに登場したゲーム、器具なんかをいじってみたり、カイジ読者の疑問を解決してくれたり…これ以上ないくらいのファンブックと言ってもいいかもしれません。
そして帝愛どうこうは関係なしに、絶対的な権力者の右腕でいることの気苦労みたいなのも十二分に伝わってくるんですよね。なのに平社員とも接しなければいけなかったり、平社員の失態は自分のものになってしまったりして、中間管理職の大変さ・気苦労みたいなものも痛感します。
とりあえずめちゃくちゃ面白いギャグマンガだと思いました。カイジファンには文句なしにおすすめだし、中年おじさんサラリーマンの悲哀みたいなものに興味がある人にもおすすめです。
あとがき
長嶋さんがジャイアンツの監督やってた時に、上原さんのことを二岡って呼んでたみたいな話。