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「ゼロセン」を読んだ感想・レビュー

ゼロセン
Ⓒゼロセン

教師を題材にした漫画の多くは「今時こんな教師いないだろ!」っていうのがテーマで、少なくとも生徒が憧れるような要素を持っているっていうのがデフォです。それがまさかこんなことになるとは…。

本作の主人公は今時というよりも「今までにもこんな教師いなかっただろ!」ってやつに違いありません。というわけで今回は、コールドスリープしていた軍人による下ネタ&ギャグの教師物語「ゼロセン(全8巻完結済み)」を紹介します。

ゼロセンのあらすじ

日の丸激震!軍人教師物語!!先の戦争が終わって60余年、──とある極寒の島で氷漬けの軍人・旭歳三が発見された!かつての部下にして大企業の会長の手により現代に蘇った旭は、腐敗しきった日本の若者に絶望する。戦火に散った仲間が残した祖国……このまま捨て置けん!教師となって、奴らの性根を叩き直してやる!「旭歳三、日本に代わってキサマらをしつけする!」ゼロセンに乗って、今、松本学園に着任す!

ゼロセンの見所をチェック!!

氷漬けの日本軍人が主人公

ゼロセン
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本作の主人公は戦争当時に大活躍していた日本軍人の一人で、いわばコールドスリープ状態だったものが数十年の時を経て復活するというもの。普通、これだとタイムスリップ状態というか浦島太郎状態みたいになって、ジェネレーションギャップを中心に展開されるかと思いきや、本作はちょっと違います。

軍人であることに重きが置かれていて、軟弱な姿勢や態度を一切許さないという鬼教師モノと言っていいでしょう。教師モノとは言っても一般的な教師漫画とも異なり、生徒一人一人に対してまるで親かのような介入ぶり。

パッと見の印象としては「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」という表現にピッタリかと思いました。元々は命を賭けて国のために戦っていた人間ですから、その厳しさは折り紙つき。まさに今までになかったタイプ、いや、魁男塾の下ネタ&ギャグ満載バージョンくらいの熱さと言っていいかも。

日本軍人 vs 現代ヤンキー

ゼロセン3
Ⓒゼロセン

教師を題材にした漫画作品は数多くありますが、ヤンキーが先生とか極道が先生などのインパクトを軽く凌駕している「軍人が先生」っていう設定は、もはや斬新すぎるくらい斬新です。しかもこれは元軍人っていうよりも、氷漬けになってたってことを考えたら現役の軍人って考えた方が適切だからね。

はっきり言って鬼軍曹みたいな人が担任教師になるんだから、不良として中途半端だと一気にやられちゃうでしょ。そもそもこの主人公は今でも零戦に乗って飛び回るようなイカれた教師なので、不良の頂点でもまぁ簡単にやられちゃうとは思うけど…。

ヤンキーたちにもプライドや根性があるわけで、ここでぶつかっていく両者の間に何が生まれるのか注目です。

下ネタ&ダジャレ多めのくだらない笑い

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本作は「カメレオン」や「ジゴロ次五郎」を描いている加瀬あつし氏です。加瀬氏の作品を読んだことがある人ならわかると思うけど、本作もまた下ネタとくだらないダジャレの組み合わせによる笑いが詰め込まれています。

最初はちょっと苦笑してしまうような感じなんだけど、ここまで畳み込まれてしまうと思わず笑ってしまうこと間違いなし。このブレない姿勢は僕を含め多くの読者が見習うべき部分かと。

しかも上手く軍人ネタに絡めてくるもんだから、途中には「何上手いこと言ってんの」って言いたくなるくらいのやつも出てきます。僕も最初は「くだらねー」って思ってたけど、途中からクセになってきました。このテクニックはマジですごいと思います。

ゼロセン 全8巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

零戦に乗った先生ってことでゼロセンっていう分かりやすいタイトルだけど、鬼のような先生とヤンキーの対立っていうよく見るタイプの作品です。それが派手な下ネタとダジャレでコーティングされていて、唯一無二の漫画作品に仕上がっています。

主人公のぶっ飛んでる感じもリアリティが無さすぎて面白いし、そこに屈してしまうというか絆みたいなものが芽生えていくヤンキーたちの様子もたまりません。先生も生徒もめちゃくちゃな奴ばかりで、コメディー要素とヤンキー要素のバランスも秀逸だと思いました。

何よりもこの下ネタとダジャレの手数よな。面白くないギャグを何回やったところで笑えないのは間違いないだろうから、もしかしたら本作のそれは緻密に計算された結果なのかも…知らんけど。

あとがき

「母艦、いや、股間の機密が丸見えではないかー」ってなに。