今はもう漫画を買うなら電子書籍一択で、よほど気に入った作品は紙でも持っておきたいっていうスタンスになったので、古書店や古本屋にはめっきり行かなくなりました。これも時代の流れですかね。
僕が中学生くらいの頃は電子書籍なんか無かったので、古本屋に行っては状態の良い漫画を探して買ったり、場合によっては「〇〇で買ってゲオに持っていけば利益が…」みたいなこともしたような、しなかったような。
いずれにしても古書店と言われれば、古き良き~というイメージが万人に根付いているのではないかと。というわけで今回は、古書店を舞台に繰り広げられる色褪せない日常「百木田家の古書暮らし(連載中)」を紹介します。
百木田家の古書暮らしのあらすじ
世界一の古書店街・神田神保町。祖父の遺した古本屋を引き継ぐため、その街で暮らすことになった百木田(からきだ)三姉妹。古本の香りに包まれながら三姉妹は色褪せない日常を紡いでいく――。
百木田家の古書暮らしの見所をチェック!!
祖父から受け継いだ古書店の物語
僕が住んでいる地域にも古書店がいくつかあったんですが、ここ10年間で壊滅的な状況になってしまいました。本作の舞台でもある神保町にはまだまだ古書店が多いのかもしれないけど、いずれにしても老人が残した遺産を若い人たちが引き継ぐという形になってます。
古書店の何が面白いかって、経営者もすべての分野の書物の価値は測れていないという点です。たまに何でもない古本屋で、滅多にお目にかかれないようなお宝に出会ったりするからね。これはその辺の全国展開されているような古本屋では、まず味わえない展開と言っていいでしょう。
そういう本と人との出会いを楽しむっていうのも乙だし、祖父が残したこのお店を祖父の記憶と共にそのままの形で残すのか、それとも主人公たちが自分たちの色を付けていくのか。ここは非常に楽しみなポイントの一つです。
初恋の相手が近寄ってくる理由
かつて初恋にも似た感情を持っていた相手。その相手が同業者として再び現れるっていう展開があるなら、それはもう完全に恋愛のフラグが立ちそうなもんですが、本作の序盤の流れを見ると「そんなに単純な話でもなさそう」という感じがします。
そもそも初恋かどうかも怪しく、その辺が明確にされてないっていうのも良いし、相手がしてくれる親切のすべてに裏があるっていう設定も良き。笑顔で近付いてきては手を差し伸べてくれるから、普通に考えたらめちゃくちゃ愛想が良くて頼りになるご近所さん(兼同業者)って感じなんだけど、序盤でかなり重要な楔が打ち込まれてるっていうね。
単純に考えると「主人公たちの古書店の倉庫にはある本が眠っていて、その本には徳川埋蔵金の所在が記されている」的な感じ。まぁそんなに分かりやすい展開じゃないだろうけど、わくわくする展開であることは間違いありません。
三姉妹それぞれに用意されている人間ドラマ
主人公は三姉妹で、それぞれに人間ドラマが用意されています。社会人から学生まで年齢幅も設けられているので、それぞれの境遇のコントラストも面白いです。
あとはちょこちょこ過去の話を振ってくるので、今後明かされていくってことを考えたらこれも非常に楽しみなポイントの一つ。「もしかしてバツ付いてる?まさかトランスジェンダーってやつですか?」みたいな、次から次に気になる部分が出てくるので、序盤からグイグイ引き込まれること間違いなし。
学生には学生の、社会人には社会人の、そして古書店店主には古書店店主の悩みがあって、それらとどう向き合っていくのかという人間ドラマにも注目です。
百木田家の古書暮らし コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
古書店っていうことで好きな人は好き、そうじゃない人はさほど興味がないっていう尖ったテーマではありますが、割と万人受けするテイストじゃないかと思います。
美人三姉妹が主人公、そして何かしらの思惑を持って近付いてくる同業者、そして「なぜ祖父がこの古書店を守ろうとしたのか」等など。気になるポイントがいくつも用意されていて、ぶっちゃけ古書店に興味がなくても全然楽しめるでしょう。
冬目景氏の作品は心理描写が巧みで、ボリューム的にも読みやすい作品が多く、読了感が良いものばかりなので本作にも期待しています。
あとがき
神保町とか行ったことないけど、古本屋とカレー屋が多いイメージ。