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「ONE OUTS(ワンナウツ)」を読んだ感想・レビュー

ONE OUTS表紙

 

野球に限らずスポーツ全般は、基本的には頭を使わないと勝つのが難しい(センスだけで勝ち続けることはできない)んじゃないかと思うんですが、もちろん頭脳戦だけでは勝てません。当然、身体能力もめちゃくちゃ重要になってきます。

本作はプロ野球界において卓越した頭脳だけで勝ち続ける投手の姿が描かれていて、更に特殊な契約である点が大きな見所と言っていいでしょう。というわけで今回は、1アウトで500万円貰えるプロ野球投手の物語「ONE OUTS(全20巻完結済み)」を紹介します。

 

 

ONE OUTS(ワンナウツ) あらすじ

“優勝に必要な何かが足りない” その“何か”を捜して、沖縄で自主トレに励む“不運の天才打者”児島弘道。そこで彼は一人の男と出会う。120km/hそこそこの直球だけで、賭野球“ワンナウト”で無敗を誇る男。彼は名乗る。渡久地東亜と…。

 

ONE OUTS(ワンナウツ)の見所をチェック!!

従来の野球漫画の常識とは角度の違う天才ピッチャー

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一般的な野球漫画の天才投手といえば、160キロを超えるような剛速球とか七色の変化球を武器に戦うことが多いし、それだけ読者に分かりやすい武器が用意されていることがほとんどです。

しかし本作の主人公には、そのような分かりやすい武器がありません。強いて言えば「相手の心理を読む力」という感じ。相手がストレートを待っているなら変化球を、相手が変化球を待っているならストレートを投げることが可能という、ある意味チート級の能力を持っています。

とは言っても野球に関してはド素人なわけで、コントロールは抜群に良くてもプロの世界では「ハエが止まりそうな球速の球」しか投げられません。この強いんだか弱いんだか分からない能力の危うさみたいなものが、より一層勝負のスリルを引き立ててくれます。

 

ワンナウト五百万円、1失点マイナス五千万円という特殊な契約

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本作の主人公は賭博野球で活躍していたところを現役選手に目を付けられ、ヘッドハンティングのような形でプロ野球球団に入団します。そして「1アウト取るごとに+500万円、1失点するごとに-5000万円」という契約でプロ入りすることに。

プロ野球を見ている人なら分かると思いますが、この契約は投手としてかなり不利なように思える内容と言えます。完封すれば1試合27アウトで1億3500万円なので2失点までならセーフ、3失点で赤字です。これはトップクラスの投手でようやく黒字というレベル。

ましてプロとしての実績がゼロの主人公ですから、オーナーも「下手すりゃ球団の方が儲かる」くらいの感じで主人公を獲得するという流れです。自信満々の主人公ですからそれなりの結果は残すんでしょうが、果たしてどうやってプロの打者を抑えていくのか必見です。

 

年俸に比例して悪魔のようになっていくオーナー

ONE OUTS3

 

主人公の調子が良くなるにつれて球団としての順位は上がっていくものの、年俸としての出費が高くなりすぎてしまって頭を悩ませている球団オーナー。「チームには勝ってほしいけどアイツはボコボコに打たれてほしい」と願うようになります。

そしてことごとく年俸を積み上げていく主人公に対して、いよいよ妨害行為を始めることになるんです。失点しやすい場面で登板させたり、休養なしで登板させたり…。本来なら選手の味方であるはずの球団オーナーが、金が絡んで悪魔のようになっていく姿はめちゃくちゃ面白い!これは本来の野球漫画では絶対に楽しめない要素と言えるでしょう。

そして主人公も野球の技術的な部分だけでは抑えるのも難しくなってくるので、遂に「野球のルールの盲点を突く」みたいなこともし始めます。この辺は日常的に野球を見ているだけでは知らなかったりする部分もあるので、すごく新鮮で楽しめるのではないかと。

 

ONE OUTS(ワンナウツ)コミックス全20巻を読んだ感想・レビュー

最初から最後まで一貫して綺麗な物語だったと思います。まさに心理戦×野球を見事に描き上げているという感じ。序盤のうちは「随分と簡単に完全試合するやんけ!」みたいな過剰表現が目に付く部分もあるんだけど、その調子で最後までいくことはないし、途中からめちゃくちゃ面白くなってきます。

あとは「1アウト取るごとに+500万円、1失点するごとに-5000万円」っていう一見すると分かりやすいように思えるこのルールに、幾つもの搦め手が存在するという点です。普通なら「どうやって点を取られないようにするか」ってことばかりを考えてしまうところ、本作では「点は取られてもいいから、いかに金を稼ぐか」に終始していて、柔軟さの重要性みたいなところを痛感させられました。

物語のエンディングも文句なしです。一風変わった野球漫画としては最高レベルにおすすめしたい作品だし、別に野球が好きじゃなくても心理戦が好きなら絶対に楽しめると思います。

 

あとがき

現実世界にワンナウツ契約でプラスになる投手が果たして何人いることやら。

 

 

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