自分が住んでいる世界とは遠いようで、その実かなり近かったりもするアンダーグラウンドな裏社会。できることなら今までもこれからも関わりたくはないけど、その実態には興味がありませんか?
というわけで今回は、怖いもの見たさが上手く刺激される面白くておすすめの裏社会・闇社会・アンダーグラウンドな世界を描いた漫画を紹介します。
九条の大罪
救いようのない悪人を助ける弁護士で、一般的に「悪徳弁護士」と呼ばれてしまうような人物が主人公の物語です。世間一般的な弁護士のイメージがどういうものなのかは分からないけど、少なくとも本作を読んで「弁護士になるっ!」っていう子供はいないと思います。
飲酒運転をして人を轢いて逃げてしまった人物に対し、酒を抜いてからの自主を勧めるっていう部分もそうだし、なんなら「轢いた相手は死んでた方がいい」と言い切ってしまうあたり、頭のねじが何本かぶっ飛んでいる感じがしました。
ある意味、依頼人の利益を100%追うという意味ではプロ意識の塊です。被害者目線になると胸糞悪くなる感があるけど、思わず「へぇー」って言わされてしまうようなネタのオンパレードに唸らされてしまうこと間違いなし!
ギフト±
裏社会で行われている臓器売買の現場を描いた作品。主人公が陰のある過去を持っていそうな女子高生って部分もミステリアスだし、借金のカタに内臓を取られるという感じじゃなくて、変に義賊っぽい感じになってるから逆に怖い。
人間を解体するって表現を使っているだけあって、内容はかなりグロいです。グロ耐性が無いとしんどいと思うけど、実際に起きてそうなリアリティもあって面白い作品だと思います。
満州アヘンスクワッド
昭和の満州を舞台に描かれている、一種のアヘン戦争みたいな物語。関東軍、青幇、そして主人公一派という3つの勢力が、アヘンを使って経済的な実験争いをしていきます。
とにかく悪い日本人と中国人が登場する中で、被害者は地元民ということで「今でも似たような光景を目にしたり、耳にするよなぁ」という部分があって、何かを思わずにはいられないです。そしてアヘンの怖さが身に染みるほど分かります。
自分の家族を守るため、必要なお金を手にするためにアヘンに手を染めた主人公。この主人公の運命がどう変わっていくのか、序盤から楽しみで仕方ない作品です。
チカーノKEI~米国極悪刑務所を生き抜いた日本人~
日本でヤクザをやっていた男が、とあるキッカケでアメリカの刑務所に収監されてしまった物語。本作の主人公は実在する人物で多少デフォルメされている感こそあるものの、基本的には実話に基づいているようです。
極悪人ばかりが収監されているというアメリカの刑務所を舞台にしているため、部族間での抗争や刑務所内なのに殺し合いが起こったりなど過激な内容が描かれています。
喧嘩に明け暮れているという部分もあったり、仲間の仇を取りに行ったりという展開はまさにヤンキー漫画の延長上にあると言っていいかと。ヤンキー漫画、不良マンガが好きな人にもおすすめです。
闇金ウシジマくん(全46巻)
もはや説明も要らないくらいの大ヒット作、闇金融の経営にスポットを当てた作品です。一般人には縁がない、でも日本のどこかでは実際に起きている日常みたいな雰囲気がすごくて、怖いもの見たさという意味では抜群に興味を惹かれます。
闇金の噂としては「臓器を売る」って感じのが有名で確かに恐怖は感じるんだけど、リアリティがないというか「その内臓は誰が買うの?」みたいな疑問も残るじゃないですか?本作にはそういうのが一切なくて「あー、お金の回収ってこうやるのかぁ」っていう説得力しかないです。
僕が学生の頃は消費者金融にお金を借りてパチンコをやってる人とか結構いたけど、そういう人に本作を読ませていれば何人かは思い止まったんじゃないかと思います。というか本作を読んで、まだ闇金からお金を借りようとしている人がいたら信じられんってくらいに衝撃的な作品。
マトリズム(全10巻)
芸能人とかでも逮捕される人が徐々に増えてきているように思うのが薬物関係です。そんな薬物犯罪を取り締まる麻薬取締官の姿を描いたのが本作。
普通にネットで買った人もいれば友人が売っていたから買ったって人もいて、薬物って案外手に入りやすいのかなぁと(都会だと買おうと思ったら買えるのかな?)。個人的には「この薬物はこういう人が手を出す傾向にある」とか、薬物の怖さをもっと掘り下げて描いてくれると嬉しかったけど。
薬物関連の話は掘り下げすぎると真似する人が出てくるからなのか、ニュースなんかでもあまり詳しく報道されません。そういう隠された部分を覗きたいっていう人には、まさに打ってつけのアンダーグラウンドな漫画です。
ギャングース(全16巻)
犯罪者をタタく窃盗団を描いた作品。どっちかっていうとルパンとか五右衛門みたいな義賊感が強いです(見た目的には全然そんな感じはしません)。
笑い多めのコメディータッチで進行しているせいかスリルはあまり無いけど、実際に起きた犯罪の手口をネタにしているらしく、どのような手口の犯罪が横行しているかという勉強になります。
実際にこの手口を使うことは無くても予防の知識にはなるし、中には「うまいことやるなぁ」と感心させられるような手口すらあるので、自分の知らない世界を覗きたいという欲求は十分に満たしてくれるんじゃないかと。
クロサギ(全20巻)
詐欺師に対して詐欺をするという詐欺師が主人公の漫画。世の中のありとあらゆる詐欺の手法が詰め込まれています。
主人公は詐欺の被害者の為にお金を取り返すということをしているため、一見すると正義感が強そうな気もするんだけど、実はそんなことはなくて「自分の家族を崩壊させた詐欺師を探しているだけ」という部分にもダーク感があってたまりません。
世の中で起きた詐欺の手法を聞いてると「そんなの引っ掛かる奴いんのかよ!」って思う人もいるでしょう。でも中にはすっげー巧妙な手口もあるから、騙されやすいって自覚のある人はこれを読んで勉強した方がいい。
クロサギ(全20巻)→新クロサギ(全18巻)→新クロサギ完結編(全4巻)
裁判長!ここは懲役4年でどうすか(全13巻)
色んな事件の裁判を傍聴した様子を漫画にした作品。痴漢、ストーカー、事故、薬物…かなり幅広く取り扱われています。中には事件の詳細をドキュメンタリーチックに仕上げている事件もあって、かなり胸糞悪くなってしまうこと必至です。
犯罪行為が明るみになって終わりというわけではなく、犯罪者が裁判にかけられてどのくらいの量刑が与えられるかまでがワンセット。個人的には「これだけの犯罪をしておいて、たったこれだけで出てこれんの!?」って衝撃ばかりだけど、このあたりの罪と刑の驚くべきバランスを知ることができるっていう部分が本作の醍醐味です。
所々に不快感スレスレの表現があって、例えば「欲求不満の男がなんで触る方じゃなくて見せる方で捕まる!?」みたいな表現があったりするので、ここに不快感を感じてしまうと微妙かも。個人的には冗談の範疇と受け取ることができたけど。
P.I.P.-プリズナー・イン・プノンペン-(全1巻)
カンボジアの首都・プノンペンで謂れのない罪を着せられ、そのまま刑務所に収監されてしまった日本人の物語です。金さえあれば何とかなるっていう希望が残されながらも、その金を手に入れる手段がないっていう絶望が大きくて、読んでいて「何とかならないだろうか…」っていうハラハラ感がたまりません。
もともと日本からある程度のお金を持って旅行しに行ってるわけですから、当時は物価の安かったカンボジアでなら十分すぎるほどのお金があったのにも関わらず、一文無しにまで追い込まれてしまうっていう絶望感がリアルです。
まさに地獄の沙汰も金次第っていう感じのダークさが感じられるアングラ漫画と言っていいでしょう。色んな部分に皮肉も効いていて、そこまで胸糞悪くもならずにサクッと読み終えられるって部分もおすすめポイントです。
うなぎ鬼(全3巻)
借金苦の果てにヤクザに拾われ、その流れから裏家業をすることになった男の話。図体はデカいのに臆病者というギャップ、そして気が弱いのに裏家業ってギャップがたまらないです。
タイトルにもあるように本作の鍵はうなぎが握っていて、物語の冒頭で「うなぎはタンパク質ならなんでも食べる」という伏線が張られます。それでいて中身を見るなと言われた50~60kgのコンテナを運ぶという…。想像通りなのか、想像を裏切ってくるのか。そういう意味でも面白いサスペンス作品です。
途中で進路が一気にガラっと変わる瞬間があるんだけど、もうそこからはノンストップ。全3巻で緩急もあるし、怖いもの見たさが刺激されるサスペンス漫画と言っていいでしょう。
バウンスアウト(全5巻)
六本木フラワー事件をモチーフに描かれているifの物語。六本木フラワー事件ってのはクラブで飲んでいた男性が目出し帽を被った集団の男たちに金属バットで惨殺された事件です。海老蔵事件で話題になった関東連合が絡んでいて、人違いで殺人に発展してしまったとか何とか。
本作ではその事件の犯人と顔を合わせた主人公が後にセキュリティとなり、想像以上に大きな抗争に巻き込まれている様子が描かれています。主人公が少年院あがりながらも真っ直ぐで、復讐に燃えているはぐれ者って感じが魅力的。
ストーカー浄化団(全6巻)
ストーカー被害に遭っている女性を助けるための自警団(?)のような存在を描いた作品。ストーカー事件の解決に発生した費用や報酬は、被害女性ではなく、相手ストーカーから取り立てるような流れになっているので、健全な組織とは言い難く、どちらかと言えばダークヒーローみたいな感じ。
ストーカーにも色々あって、何も「気になった相手を付け回すだけがストーカーじゃない」っていう部分まで掘り下げているので、なかなか語られることの少ない「ストーカーとは何ぞや?」みたいな、怖いもの見たさが刺激されます。悪いことをして天罰が下るという因果応報の流れも爽快感があってGOOD。
ピンサロスナイパー(全3巻)
昼はOL、夜はピンサロ嬢、そして裏の顔はスナイパー(殺し屋)という3つの顔を持つ女が主人公のハードボイルドアクション。昼は地味系女子なんだけど、夜の世界と裏の顔は美女設定です。
ピンサロに来店したお客さんにサービスをしつつターゲットの状況を聞く感じなんだけど、確かにターゲットはクソ野郎なのに「性的なサービスを受けながらどれだけターゲットがクソ野郎かを語られても響いてこない」っていうのがすごく斬新だと思いました。
ターゲットの本性の語りの部分もサクッとしてるし、因果応報系の漫画でありながらも「そこまで胸糞悪い感じに煽ってこない」ということもあり、誰でも気軽に楽しめる殺し屋漫画と言えるでしょう。妖艶な雰囲気を持つ女性主人公に惹かれる人には文句なしにおすすめ。
あとがき
自分が住んでいる世界と紙一重のようなような気がして怖すぎる。