「君が死ぬ夏に」を読んだ感想・レビュー

タイトルと表紙を見た感じでは「もしかして不治の病に侵された女の子の物語かな？」なんて思ったりもしたけど、蓋を開けてみたら全然違ったっていうね。本作はミステリー要素に幽霊とタイムスリップの要素を詰め込んだ青春物語です。

…何を言ってるかわからねーと思うが、僕もよくわかってねーです。でもありのままに言うとこんな感じ。というわけで今回は、恋と時間をめぐる青春ミステリー「君が死ぬ夏に(全7巻完結済み)」を紹介します。

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君が死ぬ夏にあらすじ

夏、幽霊、キミへの想い。山野は恋する高校2年生。ある日突然、彼の前に想いを寄せる同級生の谷川さんが現れた。それも、幽霊になって。どうやら彼女はある事件に巻き込まれ、その末に死んでしまったらしい。谷川さんを死から救うため、山野は未来を変えようと奔走するが──。淡く儚い青春ミステリー。

君が死ぬ夏にの見所をチェック!!

自殺事件を「他殺なんじゃないか」と探り始める

本作は根底にあるジャンルはミステリーだと思うんだけど他にも幽霊と一緒に行動したり、タイムスリップしたり、好きな女の子が死なないように運命を変える的な要素もあって、一言で「ミステリー」と言っちゃうと色々誤解が生じてしまいそうな内容となっています。

そして大まかなあらすじとしては「少し前に別のクラスで自殺をした少女がいて、自殺ってことになってるけど実は他殺じゃんじゃないか？」という噂話に始まり、徐々にそれが真実味を帯びてくるという内容です。

それを推理力に定評のある主人公が少しずつ解き明かしていくという展開なんですが、自殺してしまった女の子の交友関係を探っていくうちに気になっていた女の子と接近するキッカケを手に入れたりします。言葉を選ばずに言うなら「他殺事件を捜査しながら、気になる女の子といちゃいちゃする」という感じの斬新な作品と言っていいでしょう(知らんけど)。

気になる女の子が幽霊(生霊？)になる展開

本作の特筆すべきポイントの1つが「主人公が気になっている女の子が幽霊になっている」という点です。そして現実世界のその子は生きていて、この幽霊は「10日以上1ヵ月未満の未来から来た」という設定があります。

これが「自殺した女の子の真相を知ってしまって殺されたのでは？」という流れになるっていうね。もちろんなんで死んでしまったかは覚えておらず、自分を殺した相手のことは全く記憶にないし、なんなら殺されたかどうかも分からないという状況。

一応、幽霊の方は髪を切っている(髪を切った後で殺された？)という設定になっているから、実物との区別は付くようになっていて、実物は谷川さんと呼んで幽霊の方を沙希ちゃんと呼ぶことにはなっているものの、この2人が一緒になるとまぁ見分けるのが難しいです。ゲスいことを言えば「可愛い顔が2つ並んで楽しい」です。

時間の前後を行き来する主人公と幽霊

本作の目的は「谷川さんが死なないようにする」ということです。恐らく自殺したと言われている多クラスの子は実は殺されていて、その犯人が谷川さんも殺してしまうんだろうという前提で物語は進んでいくわけですが…。

主人公たちのアドバンテージは「未来から来た幽霊(沙希)の存在」です。彼女が知っていること・知らないことから彼女が死んでしまった日を逆算し、それに合わせて実物である谷口さんの動向を調べたり、場合によっては強引に未来を変えにいったりします。

もう未来から来た幽霊っていうのがチートすぎるし、そもそも自分が好きな女の子の幽霊と共同生活っていうだけでも大きな見応えがあるんじゃないかと思うんだけど、なにより「谷口さんを守ることができるのか」と「谷口さんを守れたとして沙希はどうなってしまうのか」みたいな部分も大きな見所です。

君が死ぬ夏にコミックス全7巻を読んだ感想・レビュー

まぁ幽霊の概念だったり、タイムスリップ的な要素が出てくる漫画をどこまで真剣に読むかって話ですが、まず気になったのは「この世界の警察は無能」という点です。本作の基本設定である自殺してしまった女子っていうのが最後の最後まで引っ掛かります。こじつけでもなんでもいいから、警察がそれを自殺と判断せざるを得なかった背景みたいなものを描いて欲しかったなぁ。

あとストーリーが進行していくうえで時間を巻き戻したりっていう展開があるんだけど、これが桁違いにご都合主義でミステリーと合ってないような気がしました。誰かが死んでも時間が巻き戻るっていうのは、なんか「ゲーム実況とかで延々とリセットするのを見せられている感じ」に近いように思います。

…とまぁ批判から入りましたが、最終的にこの物語がどうなるかって部分はすごく気になったし、全7巻を一気読みしました。ミステリーじゃなくてあくまで青春ミステリー(オカルト的な要素あり)という入り口から入れば楽しめるんじゃないかと思います。恋愛要素は見ごたえがあると思ったし、絵も上手で、爽やかな青春物語みたいな要素が楽しめる全7巻です。