昔は140km/hを超える球を投げるピッチャーってそんなにいなかったような気がするんだけど、最近は高校生でも150km/h以上の球をバンバン投げるじゃないですか?これってどういうことですか?
スピードガンの性質が変わったって可能性もあるし、もしかしたらスポーツ科学の発展で技術が大幅に伸びたってこともあるかもしれないけど…。いずれにしても「実際の速度はそうでもないけど体感速度は速くて、まるで手元で伸びてくるような球」っていうのもあるみたいだし。
本作はそんな不思議なフォーシームを投げるベテラン投手の物語です。というわけで今回は、破天荒なベテラン投手がメジャーに行って伝説的な活躍をする野球漫画「フォーシーム(全19巻完結済み)」を紹介します。
フォーシームのあらすじ
かつての豪速球投手・逢坂猛史36歳!!王様気質で暴れん坊でバツイチで、峠を過ぎたと揶揄される先発投手!!日本中が注目する大一番のマウンドで、交代を告げられた逢坂は、なんと自軍の監督をネックハンギング!!至極当然どこからも見放される逢坂が、次なる戦場と定めたのは、なんとメジャーリーグだったから球界騒然ッ!!
ちなみに本作は全19巻で一旦完結していて、続編「フォーシームNEXT」へと続きます。
フォーシームの見所をチェック!!
破天荒なベテラン投手が主人公
本作はクライマックスシリーズに行けるかどうかっていう瀬戸際から始まる野球漫画です。両チームの先発投手の説明があるんだけど、真っ先に若き新鋭の方が主人公かと思ったら逆にベテランの方だったっていうね。
この主人公も若い頃はメジャー行きの話が出たくらいの実績を持っているピッチャーで、今でこそ36歳になって衰えてきたような感があるものの中4日で大一番に登板させられるあたり、監督からの信頼は絶大と言えるでしょう。
そんな監督に対して暴行を働くという日本ではあまり見ない感じの暴挙に出て、そのままマウンドを降ろされてしまうという感じ。現実にこれが起こるとして年齢の近い選手と監督なら見えなくもないけど、ベテラン監督に対してやっちゃうとなると相当やばい気がしませんか?
こんな感じで普通の物差しでは測ることができない、破天荒な主人公の数々の行動に見所がたっぷりです。
メジャーリーグを目指して海を渡る
普通、試合中に監督に暴行を働くってことは傷害罪になるんじゃないかと思うんだけど、そういう方向に事態が進むということはなく…。ただし日本球界や台湾への移籍については手回しがされ、野球を続けることが叶わないという状況になってしまいます。
そこで主人公が取った選択が「メジャーリーグ」です。当然ながら36歳で近年の成績もそこそこという主人公に対して、好意的に手を挙げてくれる球団はありません。そこに何とかしがみついてアメリカで野球ができることにはなるんだけど、飛行機が苦手なこととかアメリカと日本の違いに戸惑う部分が印象的でした。
日本のように投げ込みがないっていうのは、若い選手ならそういう違いにも柔軟に対応できるかもしれないけど、ベテラン選手が今まで当たり前のようにやってきたことを急に変えろって言われてもねえ…。
練習の違い、文化の違い、言葉の違い…。色んな違いを持ち前の破天荒な性格で吹き飛ばしていく、主人公の豪快な感じは大きな見所と言えるでしょう。
メジャーの手厚い洗礼
元々、欲しくて取った選手っていうことでもないので、主人公は割と雑に扱われることになります。最初は遊びの延長みたいな感じで「オープン戦を無失点で抑えたらシーズンで使ってやる」みたいな感じだったのが、途中から監督を含めた首脳陣によって「失点させてやる」くらいの感じになるんですよね。
野球には失点と自責点があって、中継ぎ投手の場合はランナーを背負った状態で登板することもあるので、普通は自責点で考えるのがセオリーだと思うんだけど、ここについても「無失点っていう約束だ」みたいな感じになって、ノーアウト満塁で登板させられたりします。
これはさすがに「ONE OUTS」を思い出しました。しかも年俸の契約内容・インセンティブについてもワンナウツを彷彿とさせるものだったので、ちょっと面白い契約内容でプロとして戦っていくっていう内容に興味があるならおすすめします。
で、まぁ冷静に考えて「ここで失点→クビ」っていう展開はないので何とかして抑えるか、もしくは失点しても救済の道が残されているかってことになるんだけど、ここも見応えたっぷりです。守備の選手たちが失点を防ぐためのシフトを敷いてくれるのもすごく良い。
フォーシーム 序盤を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
数字上の球速はそんなに速くないんだけど、バッターの体感はかなり速く感じるフォーシームが武器っていうのも面白いし、顔に似合わず針の穴を通すようなコントロールがあるっていうのも面白い。
日本球界を追われてメジャーに行って活躍するっていう展開は「そんなに上手くいくかなぁ」って言いたくなる部分もあったけど、日本では先発としてやっていて、それがリリーフ・クローザーに転向して開花するっていうのが上手くフォローになっているように思いました。
破天荒で人としてはあんまり好きになれない主人公だけど、ピンチに陥っても何かやってくれるっていう期待感は抜群です。内容的にも割とリアル志向だし、メジャーで日本人が活躍するっていう漫画なので「必殺技とかが出てこない野球漫画が読みたい」っていう人には文句なしにおすすめします。
あとがき
得意球がフォーシームっていうのもいいね。