恋愛漫画は女子のものだと思っている人も少なくないと思いますが、男性にこそ読んでほしいと思える恋愛漫画も存在します。それに恋をしたことがないという人はいないと思うので、登場人物たちに感情移入したり共感することで楽しめるはず。
というわけで今回は、男性読者でも楽しめる恋愛漫画をまとめてみました。恋の甘さ、切なさを味わいたいという方はぜひ参考にしてみてください。
九龍ジェネリックロマンス
香港のスラム街・九龍で展開される恋愛模様を描いた作品で、九龍の古き良き雰囲気がたまりません。ノスタルジーな雰囲気が強く、どこか懐かしさを感じるような心地良さがあります。
これぞ大人の恋愛という感じで、ドキドキするというよりも「感情を揺さぶられる」という表現に近いイメージです。ちょっと謎めいた設定もあって、ドラマのような目の離せない恋愛ストーリーが堪能できます。
眉月じゅん氏ならではの文学的な表現に、何度も唸らされました。「結婚して何年も経ってる」とか「恋なんてもう何年もしてない」みたいな人こそ楽しめそう。
ワンナイト・モーニング
ワンナイト要素を多分に含んでいるグルメラブストーリー。各エピソードで何かしらの食べ物がテーマになっていて、その思い出に浸りつつ進行されていく物語です。
ワンナイトとは言うものの行きずりの恋という意味合いは薄く、どちらかと言えば「初めて共にした夜」とか「特別な一夜」みたいな意味合いが強いように感じます。色んなエピソードが収録されているオムニバス形式になっているので、様々な恋愛模様が楽しめるのが〇。
ほろ苦く、甘酸っぱい感じの恋愛が多く、まさに大人向けの恋愛漫画という感じ。大人の読者ならどこか懐かしさを感じてしまうようなエピソードも少なくないので、爽やかな読了感やエモさに浸りたい人におすすめです。
来世は他人がいい
関西ヤクザの娘と関東ヤクザの息子が結婚を前提とした付き合いをすることになり、娘(主人公)がとんでもない理由でフラれるんだけど、それを後悔させるために始まった復讐の恋愛物語。
こんなにキュンキュンしない恋愛漫画って無いと思うし、体売って金作ってこいって言われて内臓売ってくる女がどこにおんねんと。実際にあったら引くけど、エンタメとしてこれに興味が湧かない読者っているんだろうか…。
「来世は他人がいい」っていうタイトルも然り、最終的にこの恋がどう転ぶのかが気になる恋愛漫画です。Sっ気ある女性に惹かれるという人には鉄板。
往生際の意味を知れ!
7年前に別れたきり一度も連絡を取ったことがなく、それでも当時の好きな気持ちは無くなるどころか増え続け、合コンで好きな異性のタイプを聞かれては元カノと答えるくらいの病的な主人公。
そんな主人公の前に久々に現れたかと思ったら、なんと「精子が欲しい」と言ってきた元カノ。この2人を取り巻くアンモラルな恋愛ストーリーです。
普通は「今でも忘れられない」とか「今からでも遅くないからやり直したい」じゃないの?「本当は結婚したいけど、それを頼むのはムシが良すぎるからせめて精子だけでも…」的な話なの?
そんな数々の疑問が少しずつ晴れていき、元カノの目的が明らかになっていくのと同時に何とも言えない気持ちになっていきます。「こういう恋愛観もあるのか」っていう新たな扉が開く感じがたまらない!
ハチミツとクローバー(全10巻)
美大の仲良しグループに巻き起こる恋愛模様を描いた青春漫画。子供から大人に変わる時期を眩しいくらい見事に描きあげていて、甘さやほろ苦さを巧みに表現しています。
恋愛漫画のエンディングとして「恋が実って付き合うことになる」っていうのと「恋に破れたけど後悔はない」っていう、二つに一つだと思っていた考えをアップデートしてくれた作品です。
恋愛と愛情って違うのかなーとか、叶わない恋に意味ってあるのかなー的な答えが詰まっているような気がします。タイトルにもちゃんと意味があって、捨てる部分のない全10巻です。
珈琲をしづかに(全5巻)
高校生男子が近所の喫茶店を営む女店主に一目惚れしてしまったという内容の恋愛物語。目一杯背伸びして注文する1杯500円程度のコーヒーは、彼にとって決して安いものではないんだけど、それ以上にプライスレスな癒しを得られています。
「早く大人になりたくて飲むコーヒーは苦いものの、この恋は甘いものになるのか!?」みたいな楽しみもあるし、大人の男性読者から見ると少なからず共感できる部分もあるはず。まさに大人の階段をのぼっている最中と呼べるような繊細な雰囲気が秀逸です。
ロッタレイン(全3巻)
育ててくれた母親が亡くなり、彼女も失い、仕事もクビになったところから始まる物語で、ちょっと特質なのが「14年前に自分を捨てた父親のところに行くことになる」という点です。
父親は浮気相手との間に一人の連れ子と一人の息子がいて四人家族で幸せに暮らしており、そこにアラサーの主人公が加わるという流れ。傍目に見ていても複雑だし、この先もっと複雑になっていきます。
簡単に言えばアラサー男と女子中学生の恋愛ってことになるんだけど、血の繋がりがないとは言えきょうだいだし、当人たちの気持ち以外にもノイズが大きすぎて、とにかく先の展開が気になる恋愛漫画です。純愛っていう純愛でもないような気がするんだけど、少なくとも「JCいいなぁー」とか茶化す気にはならない。
死ぬほど君の処女が欲しい(全7巻)
タイトルの通り、女性経験が妻一人の主人公が妻の処女が欲しいと願ってやまない物語です。そしてその熱量は時空をも飛び越えるっていう展開を迎えます。簡単に言えば「妻の過去に干渉して、なんとか処女を自分のものにしよう」みたいな感じ。
入口の段階では多くの男性読者がある程度は共感できるんじゃないかと思うんだけど、徐々に狂気じみていく感じがたまらなく面白いです。何回もタイムリープして過去をやり直す度に妻が別の女性に変わったり、妻に刺されてしまう未来に変わったり…。
それでも愛する妻の処女が欲しいという一心で突き進む主人公の姿は、多くの読者の心を惹きつけることでしょう。むしろ感動すらあると思ってます。最低で最高に美しい純愛青春物語というキャッチコピーに偽りなし!
恋は雨上がりのように(全10巻)
清楚系女子高生がバイト先の冴えないオッサン店長に恋をする様子を描いた作品。「若い女の子と付き合いたいけど、オッサンだし出会いもない」みたいな人にとっては、まさに救世主的な夢のような恋愛漫画です。
普通、恋愛漫画を読むときって主人公などの登場人物に感情移入したり、自己投影して楽しむケースが多いんじゃないかと思いますが、本作に関しては「女子高生の恋の行方をただただ見守りたい」という感じ。
恋ってつくづく理屈じゃないんだと再認識させられました。大人の男性読者にこそ刺さる純愛漫画と言っていいでしょう。
おやすみカラスまた来てね。(全7巻)
ちょっとオカルトチックな出会いから、バーのマスターをすることになった若年男性の恋愛物語です。俗に言う「ヒモ、無職、ニート」みたいな状態から、彼女に捨てられてようやく重い腰を上げるって感じの流れになっています。
元彼女は出会ったときは年下で、別れる頃には遥かに年上になっていたっていうのが何とも言えません。この辺の雑な感じに妙なリアリティを感じるし、彼女とよりを戻したがっている反面、別の女にうつつを抜かしたりなどのだめんず要素が変にリアルです。
一見するとどうしようもない主人公がどのように成長していくのかが大きな見所で、大人の読者こそが楽しめる作風の恋愛漫画と言えるでしょう。
I”s(全9巻)
高校生男子の脳内が巧く再現されている恋愛漫画で、登場する女の子がみんな可愛い。主人公は少し陰キャ属性で不器用な男子の典型的な例なんだけど、ほぼ芸能人みたいなヒロインと紆余曲折ありながらも、少しずつ距離を詰めていく様子に見応えたっぷりです。
時折エロい妄想が出てくるっていうのも健全な男子の証拠だし、下ネタが嫌いな男子読者でもそこまで嫌悪感は抱かないと思います。だって登場する女の子が可愛いし…。
「これぞ青春時代!」というような熱量のあるストーリーで、個人的には「これを読むと恋をしたくなる」という筆頭。現在進行形で片想いをしている人、恋をしていた頃の何でも楽しかったあの時間を思い出したいという人はぜひ。
富士山さんは思春期(全8巻)
よくある感じの恋愛漫画なんだけど、主人公たちが中学生で女の子の身長が181センチあるという点で斬新な恋愛物語です。自分よりも背の高い女の子はナシだと思っている男性読者にこそ読んでみてほしい!
中学生の思春期真っ只中っていう描写がめちゃくちゃ眩しくて、ここを経験している読者には漏れなく刺さると思います。辛いこともあったけどすべてが新鮮に思えた青春時代が、ギュッと凝縮されている全8巻と言えるでしょう。
主人公の二人がそこまで美男美女っていう感じじゃないのも感情移入しやすい要素の一つ。誰しもコンプレックスの一つや二つはあると思うんで、それに立ち向かうような姿も美しく感じられる恋愛漫画です。
にこたま(全5巻)
交際期間9年にもなるカップルが「彼のワンナイトラブ→浮気相手が妊娠」という超絶コンボによって、今まで関係を清算するかどうかっていう感じの恋愛日常漫画です。キュンとするような恋愛要素とは対極の位置にある本作ですが、それゆえに大人の読者におすすめ。
せめて浮気相手が大声を上げてくれればいいものの、向こうは「勝手に産むので気にしないでください」みたいな感じだし、彼女も特に怒ったりするわけでもないので、余計に男の優柔不断さが目に付くような感じ。
結末には賛否あるようですが、すごくリアリティのある結末だったと思います。ハッピーでもなく、そこまでドロドロなわけでもなく…色んな面ですっげーリアル。
惡の華(全11巻)
一応純愛ストーリーと紹介されることが多い作品なんだけど、純愛にしちゃあ歪んでいるというか変態の皮をかぶった純愛というイメージが的確かも。好きな女子の体育着を盗んでしまい、それを別のクラスメートに目撃されてしまい、弱みを握られてしまうという感じのスタートです。
普通ならその弱みをチラつかせて、相手をおもちゃにして遊ぶとかお金を巻き上げるとかになると思うんだけど、その盗んだ体育着を着るように命じたりするので、ちょっと意味が分からないってなってしまう人も出てくるはず。
それを踏まえても本作は次の展開が気になって仕方がありません。世の中には色んな人がいるから、こういう形の純愛もあるのかもしれないですね。…いや、ないよこれは。
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あせとせっけん(全11巻)
極めて異色な恋愛漫画で、ぶっちゃけ読者をめちゃくちゃ選ぶと思います。においにコンプレックスを抱えている主人公と、においフェチの男性社員による社内恋愛を描いた作品です。
大人の恋愛っていうことで展開も早いし、せっけん開発のためという大義名分を背負った状態での公私混同には、感じ方によって読者の中でも意見が分かれるかと思います。セクハラ紙一重って感じではあるんだけど、こんな恋愛漫画は他にありません。
恋愛漫画にリアリティを求めるのではなく、セオリー通りじゃない恋愛ストーリーが楽しみたいという人におすすめです。
週刊少年ガール(全3巻)
恋愛ショートストーリーをぎっしり詰め込んだ全3巻。で、毎回のエピソードのヒロインや登場人物が変わるので、本当に新鮮な気持ちでサクサク読めるタイプの作品です。
そして何と言っても、ちょっとSFチックで不思議な設定があるというのが本作の醍醐味となっています。例えば上記画像でいえばお腹に漫画が浮かんでくるヒロインが登場するし、こんな感じの「なにその設定?」っていう部分がたまりません。
普通に考えたらこういうのって恋愛ストーリーの邪魔になるはずなんだけど、全然邪魔になってないどころかむしろ生きている感がすごい。あとたまに「斜め上を行かれた!」って展開もあるから注意してください。
うどんの女(全1巻)
大学の学食でうどんを作るおばちゃんと、そこで毎日のようにうどんを食べる男子学生の恋愛ストーリーです。年の差恋愛っていう設定自体は少なくないと思うんだけど、男子学生と学食のおばちゃんっていう設定は珍しいのでは?
本来の恋愛漫画は一方的な目線(主人公側)から描かれていることが多いので、ちょっとした会話や態度から「脈ありかな?」って考えたりするのが楽しかったりするんだけど、本作は双方の目線から描かれているので、お互いが好意を持っている状態が筒抜けになってます。
でもそれが新たな面白さに繋がっていると言っても過言じゃない!1巻完結でサクッと読めるし、軽い下ネタはあるけど爽やかさも兼ね備えている大人向けの恋愛漫画です。
あとがき
恋は下心。