あなたは幽霊を信じますか?僕は幽霊を見たことがないし、特に信じてもいないのですが「もしかしたら…」という否定できない部分に恐怖を感じています。
どっちかと言えば幽霊よりも人が怖い(ヒトコワ)エピソードがめちゃくちゃ怖い!そんな身の毛がよだつ恐怖体験、夏に読みたい怪談漫画などなど。このページでは「おすすめのホラー漫画、オカルト漫画」を紹介します。
後遺症ラジオ
表紙とタイトルを見ただけでも、ただならぬ気配を感じさせるホラー漫画。純粋な恐怖心とグロに頼らない気持ち悪さで言えば本作の雰囲気は文句なしに一級品だし、これを超えるホラー漫画なんてそうそう無いと思います。
ショートエピソード集みたいな感じなんだけど、所々で共通する物語かと思ったら「これさっきの!」みたいな見せ方も面白いし、急に出てくる見開きページの迫力ったらないです。
ちなみに作者の方は、本作を執筆しているときに病を患って休載している期間があります。そんないわくつきのホラー漫画、読む勇気があるという人だけぜひどうぞ。
あおのたつき
この世に未練を残して死んでしまった遊女の魂を成仏に導くという感じの物語。主人公は魂を鎮める役目の宮司と偶然迷い込んだ1人の童女です。この童女もまた現世に大きな未練を残して死んでしまったようで、多くの霊魂を沈めながら徐々に主人公の過去も明らかになっていく物語となっています。
物語の舞台が吉原なので華やかそうに見えて闇も深いというか、今の世の中からは想像も付かないほどの憎悪や残酷さがあったことは想像に容易いと言えるでしょう。でも物語全体が暗いかと言ったらそうでもなく、一定の爽やかな読了感が味わえるのも特徴です。
ダンダダン
「霊は信じているけど宇宙人は信じていない女子(霊媒師の孫)」と「宇宙人は信じているけど霊は信じていない男子」が、それぞれ自分の意見を撤回するところから始まるオカルト系バトル漫画です。
心霊現象に対する恐怖感っていう感じはないんだけど霊とのバトルはめちゃくちゃ熱いし、2人のタッグでどう強大な霊を打ち破っていくかみたいな部分に大きな見所があります。男主人公はターボババアに呪われた力、女主人公は霊媒師としての力で戦うんだけどめちゃくちゃ面白いです。
オカルト感とギャグ感を見事に両立させていて、もしかしたらラブコメ的な展開もあるんじゃないかと思わせる作風は、読んでいてあっちこっちに感情が揺さぶられるので不思議な気持ちになるかも。色んな要素があるけど中途半端っていう感じがない、高いポテンシャルを感じさせてくれる作品です。
蠱毒の家
ヘビ、ムカデ、ゲジ、カエルなどの百虫を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、勝ち残ったものが神霊となるためこれを祀る。この毒を採取して飲食物に混ぜ、人に害を加えたり、思い通りに福を得たり、富貴を図ったりする。人がこの毒に当たると、症状はさまざまであるが「一定期間のうちにその人は大抵死ぬ」
蠱毒 – Wikipedia
タイトルそのままって感じの分かりやすいストーリーではないものの、本作の核心部分に触れたときに「これを蠱毒の家と表現するのは面白い!」と感じました。根底に「虫」というテーマがあり、恐怖感と不気味さが絶妙にマッチしているホラーサスペンスです。
設定や序盤の伏線、物事の運び方が絶妙すぎて、序盤段階では「これが面白くならないわけがない!」という期待感に溢れています(これを書いているのが序盤のため、最終的にどうなるかはまだ不明)。有名小説の原作を少しアレンジしてみましたって言われても驚かない、それくらいのクオリティ。
死役所
死んだ人はみんな「死役所」と呼ばれる場所に行きつき、そこで手続きをするという世界観を再現しているオカルト漫画です。単に天国or地獄みたいな話だけじゃなく、生まれ変わるかどうかなどを含めて手続きをするという設定が面白いと思いました。
自分が死んだ後の世界の様子を知ることもできるので、ここに様々な人間ドラマ的な見所がたくさん用意されています。例えばいじめを苦に自殺してしまった人間が自分の死後の世界を覗いてみたところ、親が自分をいじめていた相手に対して制裁を加えていた…みたいなシーンを死後の世界で見たりすることも。
何かを考えさせられる系のエピソードがある一方で、単純に胸糞が悪いだけっていうエピソードもあるのでこの辺は注意が必要です。2019年に松岡昌宏さん(TOKIO)の主演で実写ドラマ化されています。
関連記事「死役所」を読んだ感想・レビュー
裏バイト:逃亡禁止
裏バイトにスポットを当てたホラー漫画です。「実話に基づいて…」っていう感じではなく、ぶっちゃけ裏バイトっていう設定にリアリティも感じないんだけど、恐怖心を煽る表現が巧みでめちゃくちゃ怖いです。
「ちょっと怪しげだけど時給の良いアルバイトがある→お金は良かったけど怖い思いをした」みたいなことをオムニバス形式で繰り返す感じの作風で、色んな角度から襲ってくる恐怖が堪能できるホラー漫画と言っていいでしょう。
主人公の二人の女子がなんで裏バイトに手を染めてまでお金を欲しているのかっていう部分にも理由がありそうなので、オムニバスの中にも太いストーリーが派生されることが予想され、今後ますます面白くなりそうだっていうのが序盤の時点で感じられる作品です。
夜人
幽霊が見える女子中学生と、ふとしたことがきっかけで夜になると幽体離脱できるようになった男子中学生二人の物語です。男子中学生らしくエロ目的であれこれやってたら、幽霊が見える主人公に見つかってしまうっていう展開がわかりみ。
でもストーリー自体にギャグ要素は一切なく、幽体離脱に対する興味と恐怖で埋め尽くされています。非現実的なのにどこかあるあるも感じるし、この物語がどのように進んでいくのかが序盤から気になって仕方ない感じです。
もし幽霊が見えて自分の部屋に気持ち悪い感じの地縛霊がいたらしんどいなぁ。
関連記事「夜人」を読んだ感想・レビュー
ゴールデンゴールド
福の神によって島全体を包んでいる空気感が一気に変わった様子を描いた作品です。最初は不気味な置物だったんだけど、主人公が綺麗にして祠に設置した瞬間から生命を帯びたようになり共同生活をする流れに。
これが疫病神とかならアレだけど完全に福の神のそれで、自分の家(正確には親せきの家だけど)でやっている民宿にお客さんが来るようになったり、何なら島のコンビニ1号店になったり…。とにかく金回りが良くなります。
ここだけ聞けば良い話のようにも思えるじゃないですか?でも物語序盤から、このままでは終わらない感がすごいです。幸せになった分、後で突き落とされるような雰囲気があってめちゃくちゃ不気味な世界観が病みつきになるでしょう。
空腹なぼくら
ゾンビが蔓延する世界でのパニックホラーなんですが、注目してほしいのは「主人公がゾンビ側に立ちながらも人間としての感情を失っていない」という点です。つまりゾンビ側からは敵と認識されておらず、人間側からはその相手次第という絶妙な存在感なんですよね。
食べなくても平気っちゃ平気だけど人間が食べたい…。でも人間が食べ過ぎて枯渇しても困るっていうことで、男女の生き残りを探して子供を増やしてから食糧として利用するシステムを構築しようとするっていう感じの物語です。
なかなか生存者が見つけられない中、ブ男を1人確保している状況で遂に見つけた女が元カノだったという斬新な設定に度肝を抜かれました。「食糧のために自分がかつて愛した相手とどう接していくのか」みたいな心理描写にも見応えがあるパニックホラーです。
社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。
深夜のオフィスに出現する幽霊が幼女タイプで全然怖くない、むしろ可愛すぎるっていう感じのオカルト漫画です。というか「可愛い」以外の評価がいらないんじゃないかってくらいのやつ。
幼女幽霊はあの手この手で社畜を帰らせようとして、社畜を応援したり社畜の仕事を手伝ったりするんだけど、それが裏目裏目になってしまって社畜が「むしろ帰りたくない!」って思ってしまうっていうね。そんな感じのポンコツぶりが堪能できます。
恐怖を感じるタイプのオカルト漫画じゃないけど、こういう幽霊ならいつでもウェルカムって思える雰囲気が最高です。幽霊に癒しをもらいたい人におすすめ。
ガンニバル(全13巻)
田舎に転勤してきた警察官と、閉鎖的な村人たちを巡る狂気の物語。田舎には少なからずも余所者を歓迎しない空気感がありますが、その最たる例…というか行き過ぎた例という感じ。
前任の警察官が精神崩壊を起こして行方不明になっていたり、村には人を食うという噂があったり…雰囲気的な気持ち悪さと物理的な気持ち悪さが両立している、不思議な世界観を持っているサスペンス・ホラーと言えるでしょう。
閉鎖的な村社会という舞台もそうだし、村人たちの危険な香りも恐怖を煽るポイントの1つです。「俺の注いだ酒が飲めないのか!」みたいなのも嫌だけど、人を食った可能性の高い熊を食べろって言われるのも相当にきつい。
メイコの遊び場(全3巻)
特殊な能力を持った少女が主人公で、この少女は左眼の能力を使ってターゲットを自分の世界に引きずり込むことができます。その世界では自分が神となり、自由自在に何でも出来る無敵状態に。
設定としては「メイコの父親がヤクザから1人あたり5000円で暗殺家業を引き受けている」みたいな感じ。メイコはこれが悪いことだと思っていないようで、粛々とターゲットを抹殺していきます。
夢の世界でターゲットを抹殺する方法が、ただグロいだけじゃなくて「友達と遊んだ内容が反映される」というのが、新感覚過ぎてめちゃくちゃ怖い!子供って残酷な面を持っているし、罪悪感よりも好奇心が勝つような感じが遺憾なく発揮されてます。すごく良質なホラー漫画です。
寄生列島(全5巻)
引っ越した先の離島で地獄みたいな展開に巻き込まれるという感じのホラーサスペンスです。元々、村に残っている風習自体が気持ち悪いものなんだけど、それ以上に「倫理観を失わせる寄生虫」の存在がめちゃくちゃでかい!
脱出不可能な離島で殺人、放火みたいな犯罪が蔓延したり、主人公が女子高生ということもあって暴漢に襲われたりします。まともな村人がいるのかいないのかも微妙で、正常に見える人こそ怪しいという人間不信に陥るほどの狂気も大きな見所と言っていいでしょう。
まともっぽい人たちも少しずつ狂い始め、間違った正義を振りかざし始めたり…。この物語がどのような結末を迎えるのか、序盤からめちゃくちゃ気になるホラー漫画です。
アウターゾーン(全10巻)
エピソード毎に物語が分かれていて、ショートエピソード集みたいな感じの構成なので、テンポ良く楽しめるオカルト漫画です。…が、次のページをめくるのを躊躇うくらいに恐怖感が強いです。
実に多様なエピソードがあって、呪いのアイテム的な分かりやすいホラーもあれば、人間の業の深さみたいなものにスポットを当てているホラーも。二転三転して意外な結末になるというケースも珍しくありません。
個人的には幼少期に本作を読んでトラウマになったので苦手意識がハンパないんだけど、大人になってから読むと残酷なだけじゃなくて、人の善悪みたいな部分に切り込んでいる良質なホラー漫画だと思いました。このミステリアスな雰囲気は唯一無二。
冥婚の契(全4巻)
若くして未婚のまま亡くなってしまった人に対し、架空の人物と結婚したテイにして絵馬に描き、死後の世界で寂しくないようにさせてあげるという風習がテーマのホラー漫画です。
いわば死者に連れ添わせてあげるという意味合いを持つため、必ず架空の人物を描かなければならないのですが、ここに生者を描くという禁忌を犯してしまうという流れ。これによって主人公は数々の心霊現象に悩まされていくこととなります。
説明のつかない心霊現象に脅かされていることも間違いないんだけど、何者かによる人為的な手も加わっていて、誰が冥婚絵馬に自分の姿を描いたのか等にも大きな見所があってめちゃくちゃ怖いです。全4巻で堪能できる本格的なジャパニーズホラーと言っていいでしょう。
カラダ探し(全17巻)
学校を舞台に繰り広げられる「友人のカラダのパーツを集める」というゲームみたいなやつ。鬼役で赤い人っていうのがいるんだけど、赤い人に捕まると殺されてしまいます。
なんとかクラスメートで協力しながらカラダを集めようとはするものの、みんな死にたくないから足の引っ張り合いをしたりして、結果的に赤い人によって惨殺されてしまうという展開が少なくありません。
あ、ちなみに赤い人に全滅させられてしまった場合は、死ぬまでの記憶が残った状態で復活できるという仕様です。復活できるって言ってもクリアするまでは終わらないわけで、何度も死ななきゃいけない恐怖はむしろ余計に怖いまである。
サユリ(全2巻)
築年数が経っている中古物件とは言え、ようやく念願のマイホーム(それも一軒家)を手に入れ、そこに引っ越してきた家族に次々と不幸で不気味な出来事が降りかかる様子を描いたホラー漫画です。
とにかく得体のしれない恐怖感と押切蓮介氏の絵の雰囲気がマッチしていて、めちゃくちゃ怖い雰囲気が仕上がっています。ちょっとサスペンス要素もあって「なんでこんな怪奇現象が起きているのか」みたいな部分にも見応えたっぷり!
家族が全員死んでしまうのが先か、それとも心霊現象の原因を突き止めるのが先か。全2巻なんだけど迫力がありすぎて生きた心地がしないという意味では、逆に短いボリュームで良かったって思うかも。
関連記事「サユリ」を読んだ感想・レビュー
クダンノゴトシ(全6巻)
大学の卒業旅行先で人面牛みたいなのを轢いてしまい、そこから恐怖の七日間が始まるという感じのホラーサスペンスです。幽霊的なものというよりは妖怪とか呪いっていう概念に近いんじゃないかと思います。
呪いのせいで七日間かけて仲間が一人ずつ死んでいくのを黙って見ていなければならない恐怖感って言うんでしょうか。「明日は自分かもしれない…」みたいな恐怖で徐々に押しつぶされていく感があるホラー漫画と言っていいでしょう。
死を間近に控えた人間ならではの無敵の人っぽさもそうだし、件(くだん)っていう実際に語り継がれている妖怪がテーマになっていることもあって、生々しいリアリティを感じました。
アポカリプスの砦(全10巻)
刑務所(少年院?)みたいな所から始まるゾンビ系のパニックホラーで、一般社会と隔離されているからある程度の安全が担保されていたっていう…ちょっとした皮肉っぽさから始まります。
そしてこういう施設に入るような荒くれ者が集まっているってことで、最初からゾンビに対抗できる力がそこそこあったり、ボスみたいな奴によってあれこれ命令されたりなどヤンキー漫画のような一面も持ち合わせている作品です。
どうやってこの窮地を脱するのか、そしてゾンビのいない日常生活を取り戻すことができるのか必見です。
食糧人類-Starving Anonymous-(全7巻)
バスに乗ってたら眠らさせた挙句に拉致されて、気が付いたら人間を飼育している工場のような場所に辿り着いたという流れのパニックホラー。割と既視感のあるテーマではあるんだけど、主人公3人組の中にも特異体質なキャラがいることによって、脱出方法に幅があって大きな見応えに繋がっています。
あんまり恐怖感はないものの、一般的なパニックホラーでは適当に放り投げそうな辻褄合わせの部分を、ちゃんと設定しているような気がしました。「なんでこんな事態になったの?」って部分に、しっかり根拠が用意されています。
個人的には「なんで人間よりも上位の生物が誕生したのか」みたいな部分に理由があっただけでも、その辺のパニックホラーより全然OK。政府の陰謀論、キメラの作成みたいなのが好きな人におすすめです。
走馬灯株式会社(全10巻)
人は死を迎える時にこれまでの人生を走馬灯のように振り返ると言われていますが、死なずしてそれを体験できるというビジネスを行っている株式会社の物語です。幽霊は一切出てこないんだけどこの世界観がオカルトチックなのと、エピソードによっては完全なるヒトコワを体験できるのでここで紹介することにしました。
自分の身内が立て続けに事故や病気で死んでしまって、たった1人で残されてしまって運の悪さを呪っていたら、それが実は自分の過去の行いが原因で引き起こされたものだった…みたいな流れが描かれています。
オムニバス形式で色んな人の人生をサクサク読み進めることができるし、結末にも色んなパターンがあって飽きないように工夫されているのもおすすめポイントです。
スピリットサークル(全6巻)
「輪廻転生」を題材にしたファンタジー漫画なので、一般的に言われるホラー要素みたいなものはないんだけど、前世を巡る旅なんかがオカルトめいていて凄く不思議な世界観を作っています。
転校してきた初対面の女の子が実は前世で会っていて、しかもめちゃくちゃ恨まれているという設定。なぜ恨まれているのかを解き明かすために前世を思い出していくって感じなんだけど、かなり壮大なスペクタクルと言っても過言ではありません。
前世を信じている人、生まれ変わりに興味があるという人には間違いなく鉄板。基本的には明るいファンタジー系で、ちょっと昔のロールプレイングにありそうなワクワクするストーリーも大きな見所です。
ヒトヒトリフタリ(全8巻)
霊界に住んでいる不真面目ギャルの霊が守護霊としての修業を命じられ、嫌々ながらも地上に降り立ったら憑いた相手が日本の総理大臣だったという話。
作中での総理大臣は国を守ることに一生懸命な人物で、まさに「この人が総理大臣だったら…」と思えるような理想の人物なので、とにかく応援したくなる展開が続きます。悪霊とのバトルみたいな展開はあるけど、恐怖感はあまりなく、むしろ不思議な感情と感動の方が大きいです。
読了の爽やかさは最高レベル。怖い霊と優しい霊の両方が楽しめるオカルト作品といえるでしょう。
スカイハイ 新章(全4巻)
「おいきなさい」というセリフが有名な本作。漢字にすると「お生きなさい/お行きなさい/お逝きなさい」という3パターンがあり、エピソードの結末によってセリフが変わるという設定があります。
救いようのない悪人が出てきたかと思えば、あながち悪人とも呼べない人殺しが出てきたりなど、一言では言い表せないくらいの人間ドラマが堪能できるでしょう。感動とか恐怖感というよりは、何かを考えさせられる人間ドラマという感じです。
スカイハイには色んなタイトルがありますが、この「スカイハイ 新章」が1番読みやすい上に読みごたえがあっておすすめ。前作を読んでなくてもここから楽しめます。
ヒカルの碁(全23巻)
ホラー要素は全然ないし、一応のオカルト要素があるだけの囲碁漫画なんだけど、守護霊的な存在が大活躍して目が離せないという意味では本作の右に出るものはありません。
日本最強棋士の霊が小学生に憑りつき、その小学生が囲碁のプロになろうとしていく物語です。中学校の部活から院生に進み、そこでの戦いを勝ち抜いて果たしてプロになれるでしょうかっていう流れになっています。
少年漫画だし理不尽に嫌な奴が出てくるのかなぁって思ってたら、そこまで嫌な奴も出てこないし、友情がめちゃくちゃ熱い囲碁漫画と言えるでしょう。個人的には結末だけちょっと残念だったけど、それ以外はマジで最高な全23巻です。囲碁に興味がなくても楽しめます。
ゼロから始める事故物件生活(全3巻)
実際に某番組の企画からスタートした「事故物件住みます芸人」を漫画化した作品。普段から大島てるを眺めてしまうような事故物件ファンからしたら、喉から手が出るほど求めていた作品じゃないかと思います。
事故物件といえば、たまに「家賃がやたら安い部屋がある」みたいな、ちょっとした都市伝説みたいなものを見たり聞いたりする機会があると思いますが、そもそも事故物件って何なのかとか、契約者にはどこまで情報を伝えなければならないのか等のルールにも触れていて、普通に勉強になるっていう一面も持ってる作品です。
お笑い芸人さんが主役なのにもかかわらず、驚くくらい笑いがない全3巻。笑いがないというか、事故物件のエピソードばかりだから「笑えない」が適切かも。
うちのクラスの女子がヤバい(全3巻)
恐怖を感じるっていうタイプのオカルト漫画じゃないんだけど、クラスの女子にだけ無用力と呼ばれる不思議な能力が備わっているという設定の高校生活日常漫画です。
無用力っていうのは些細な内容の超能力みたいなもんで、例えば「手がイカの足みたいになる」とか「テンパるとモスキート音を発する」みたいな感じのやつで、基本的には「その能力いらねー」っていうものが多く、特に羨ましくも何ともないオカルト的な能力を指します。
これをテーマにして漫画を描こうと思った発想がまず良い意味でイカレてるし、しかも物語もちょっとハートフルで面白いエピソードがたくさん詰まってるんですよね。非日常的な日常が堪能できる、非常に珍しいタイプの漫画です。
カリスマ(全4巻)
カルト宗教の裏側にスポットを当てていて、宗教の気持ち悪い部分がふんだんに詰め込まれています。宗教の全部がそうだって言うつもりは微塵もないけど、宗教に対して嫌悪感を持つ人の理由ががっつり詰まっている全4巻です。
私腹を肥やす宗教団体のトップも信者にとってはカリスマなんだろうけど、やってることを見たらカリスマでも何でもありません。信者にバレないようにあれこれ好き勝手やっている様子は、信者じゃなくても気分が悪くなるほど。
黙って小さな城の主をやっていれば良かったものの、自分好みの信者をモノにしようとしたりして行き過ぎてしまう様子が大きな見所です。教団の命運みたいなものにも注目。
ライチ☆光クラブ(全1巻)
最初は中学生らしい秘密基地遊びだったのが、徐々に歯車が狂い始めてカルト教団のような気持ち悪さと独裁国家のような不気味さが見事に融合した作品です。恐怖と鉄の掟でメンバーを洗脳し、自分に歯向かうものは許さないという意地のようなものを感じます。
気に入らないことがあれば何らかの制裁を与えることになるんだけど、上記画像にあるような「目をつぶす」みたいなことを平気でやってしまうほど、普通の中学生が狂っていく様子に何かを思わずにはいられません。これもまだマシな方で、少しずつ加速していく狂気にも注目です。
ちなみに本作は1巻完結だけど、前日譚として「ぼくらの☆ひかりクラブ」が全2巻で出版されているので、こちらと合わせて楽しむとより深い狂気が堪能できるでしょう。
老人の町(全2巻)
高齢化社会の最先端と言っても差支えがないほど老人だらけになってしまって、若者にしわ寄せがきている町を舞台にして描かれている作品です。最初はダークな雰囲気を持ったサスペンス漫画かと思ったんだけど、ストーリーが進むにつれてスプラッターホラーのようになっていきます。
老人ばかりが優遇されている世の中に不満を持った一部の過激な若者たちが、身近にいる老人たちに矛先を向けていくという展開で、老人たちは虐げられているだけで終わってしまうのかどうか…みたいな部分に大きな見所があります。
高齢化社会に向けた問題提起なんかがあるかと思ったら意外とそういう部分はなく、ただただ老人vs若者の構図をホラー漫画にしたという感じ。全2巻でサクッと読めます。
鏡が来た(全1巻)
「犬夜叉」や「MAO」でお馴染みの高橋留美子氏による短編集です。6つのショートストーリーから構成されているんだけど、そのほとんどにオカルトチックな要素が含まれています。
ぶっちゃけ特別怖いという感じの物語はありません。設定自体は怖いものでも高橋留美子氏ならではのラブコメっぽい空気感によってコーティングされているので、読んでいて気が滅入るという感じにはならないです。
「いたずらに怖い作品じゃなくて、ちょっと不思議なオカルトの世界が楽しみたい」という人には文句なしにおすすめ。収録されている最後のエピソードは同じくサンデーの重鎮・あだち充氏とのコラボ作品になっています。これは全くオカルト要素がなかったけど漫画好きは注目!
あとがき
「原始人の幽霊を見たことがない」という件について、幽霊の寿命説を唱えた人はすごい。