全10巻以内に完結したおすすめ漫画のまとめです。このあたりから打ち切りになってしまった作品は徐々に減ってくるような印象です。面白い作品も増えてきて読みやすいボリュームだと思うのでぜひ参考にしてください。
巻数別に区切ってますがメインコンテンツは全6巻~全10巻まで。それ以下の作品は別記事にまとめてあるのでリンク貼っておきます。
全1巻完結のおすすめ漫画
全2巻、全3巻完結のおすすめ漫画
全4巻、全5巻完結のおすすめ漫画
全6巻完結のおすすめ漫画
鉄楽レトラ
靴の交換から始まるという、非常に斬新なスタートを切ったフラメンコの物語。青春劇としても抜群に面白いし、まさかフラメンコの漫画にここまで心を奪われるとは思わなかった。
スポーツ漫画というよりかは、フラメンコを題材にしたヒューマンドラマって感じなんだけど、デリケートな年頃の不安定さや、そんな年代に夢中になれることを見つけた眩しさみたいなのがたまらないです。熱量もあるし、何より地味系男子が一生懸命になっていく姿がカッコイイ!
AKIRA
第三次世界大戦後の世界を描いた作品。約30年前に描かれたマンガとは思えないほど絵の線が細かくて、建物の集合体なんかを見ると思わず息を呑んでしまうほど。
とにかくスケールの大きな世界観に圧倒されながらも根底には友情があって、色んな立場の人間たちの思惑が交錯する部分なんかは、すごく奥深いです。そして、健康優良不良少年のゴロの良さは偉大。
レイリ
武田信玄の孫にあたる武田信勝の影武者として身請けされた1人の少女の物語。長篠の戦いの残党狩りによって家族を惨殺されたところから始まります。
ちょっと残酷な話でもあるんだけど復讐に燃えるという感じでもなく、ただ「死に場所を探すのみ」という感じの悲壮感が少しずつ晴れていく様子が大きな見所です。
女剣士、影武者というエッセンスも兼ね備えた歴史ドラマとなっています。原作は寄生獣、ヒストリエでも有名な岩明均氏。
関連記事「レイリ」を読んだ感想・レビュー
スピリットサークル
あなたは「前世」や「生まれ変わり」を信じますか?本作は転校してきた初対面の女の子が、自分に対して強い殺意を持っていたというスタートを切る漫画で、どうやら前世で恨まれるようなことをしてしまったという感じの物語です。
主人公が彼女に対して何をしてしまったのかについては、前世の記憶を巡る旅で徐々に明らかになっていくのですが、仮に前世で極悪非道な行いをしてしまったとして、それを現世で受け入れる必要があるのかっていうね。
謎だらけのスタートを切って徐々に真相が明らかになっていくので、読み始めたら一気に引き込まれるんじゃないかと思います。前世もいくつかあって、その時代背景なんかも考えながら読むとめちゃくちゃ味わい深い。
ACCA13区監察課
ドーワー王国という13区の地方自治体から成る架空の国を舞台にした漫画。日常系の漫画かと思いきや、かなり大規模な陰謀が渦巻いていることが徐々に明らかになっていきます。
ちょっとシックな雰囲気がする作風で、伏線の回収がとにかく鮮やか。2回目、3回目と読むと新たな気付きが得られるあたりはさすがだと思うし、壮大なミステリーという感じ。政府の陰謀とかそういう都市伝説的な流れが好きな人には文句無しにおすすめします。…ただし禁煙中の人は見ない方がいいかも。
スピナマラダ!
フィギュアスケート界の天才中学生がアイスホッケーに転向する物語。氷上の格闘技と呼ばれているだけあって熱量がすごいし、主人公の天才肌の感じも嫌味がない、秀逸なパワーバランスで表現されています。
スポーツ漫画の設定としては「弱小から最強を目指す」か「最強から最強を維持する」がセオリーなんだけど、そのどっちでもないってのも衝撃的だし、あんまり他の漫画では見ない設定も多くて、全6巻なのに壮大なドラマを感じさせられました。
打ち切りなのか最終巻だけ超が付くほどの駆け足です。そこが残念ではあるものの、それを差し引いてもめちゃくちゃ面白いスポーツ漫画だと思います。
NINKU -忍空-
少年ジャンプの一時代を支えたバトル漫画。忍者との融合が当時は斬新で、すごく熱くなったのを覚えています。
忍空の良さを未だ知らない読者にとっては、やたら鼻の穴が強調されているタッチの絵に戸惑ってしまうかもしれないけど、内容は抜群に面白いからとりあえず第1巻だけでも。風助の通常時とバトル時のキャラの違いこそがギャップ萌え。
テルマエ・ロマエ
お風呂を通じて、古代ローマと現代日本を行ったり来たりするストーリー。主人公は古代ローマの風呂設計士で、タイムスリップしては現代日本の風呂を観察し、その技術を古代ローマに持って帰るというもの。未知のものに遭遇した驚きとか感動とか全部ひっくるめてとにかく面白いです。
本作を読むだけで色んなお風呂に対する見方が変わると思います。フルーツ牛乳を飲んだときのオーバーリアクションとか読んでて微笑ましい部分の多い作品です。
エンバンメイズ
魔法系ダーツアクション漫画。魔法系って言ったのは、本作に登場するプレイヤーはフィル・テイラーも真っ青になるほどのダーツの腕を持っているからで、ダーツの戦いというよりは心理戦とか頭脳戦を楽しむマンガかも。
負けたら命を落とすというような状況で冷静さを求める競技をするというのは、見てて本当に酷だなぁって思います。だからこその心理的な駆け引きがメチャクチャ面白い作品です。
スリルがあって相手との駆け引きが面白いから、ダーツを知らないという人も楽しめるはず。相手との腹の探り合いとかルールの盲点を突くという流れが好きな人におすすめ。
民法改正~日本は一夫多妻制になった~
一定の条件を満たした男性に対して一夫多妻制を認める法律ができ、条件さえクリアしていれば3人までの妻が持てるようになった日本を舞台にしたIFの物語です。
主人公が欲望のままに動き回るという感じではなく、言い寄られたり人助けのつもりで目をかけたりすることで妻候補が増え、本来の彼女と衝突してしまう様子が生々しいと感じました。法の盾がなければやってることは完全に浮気ですからね。
分類するならハーレムになるんだろうけど、そこまでハーレムっぽくないというか家庭内で起こる殺伐とした瞬間にも見所ありです。少なくともこれを読んで一夫多妻制に憧れることはないんじゃないかと。
関連記事「民法改正~日本は一夫多妻制になった~」を読んだ感想・レビュー
交響詩篇エウレカセブン
初めて見た時は「エヴァのパクリじゃね?」って思ったけど、読んでみたらまぁ面白い。確かにエヴァに似通った部分は多く「コーラリアンって使途じゃん」って思うんだけど…最後には真相がしっかりと明らかになっているという点は、本作の方が断然優秀じゃないかと。
ありきたりなハッピーエンドって訳でも無ければ、悲壮感の漂うバッドエンドって訳でも無い神秘的な感じに終わってくれたのも好印象。アニメもカッコイイ。
ふつつか者の兄ですが
引きこもりの兄を持つ女子高校生が主人公の物語。それが恥ずかしくて友人にも一人っ子ということにしてたって言うんだから、なんとなく複雑。それがあるタイミングを機に兄が引きこもりを卒業して、止まっていた家族の歯車が動き始める的な話で、兄のバイトが長続きしないとか、親が兄に甘いとか…。
それでも兄らしい一面とか、やっぱ兄妹なんだなぁとか、そういう家族愛みたいなシーンも多々あって、すごく良い物語に仕上がってると思う。素直にこの兄妹を応援したくなりますね。
コンプレックス・エイジ
コスプレ女子のコンプレックスをえぐった作品。自分が好きで楽しめることが趣味だと思うんだけど、ただの自己満足というわけにもいかない葛藤などがうまく表現されています。
コスプレとかだと見る人間がいて、それに対して好き勝手言うだろうし、あとは身バレとか年齢的な問題も付きまとったり…。女子間のギスギスした関係も表現されていて、かなりの見応えも。
僕はコスプレについてはよくわかんないけど、学生時代の部活動に対する考え方(勝つことを重視するか、楽しむか的な)とかで似たような経験があって、心に刺さりました。
絶望の楽園
「教祖の息子」という理由でカルト宗教の教団に拉致されて、地下施設に幽閉された主人公の脱出劇。エロさ、グロさ、スリルのバランスが見事に構成されています。
最初は「ちょっと気持ち悪い感じがリアルで、リアル寄りの作風なのかな?」と思ってたら、すぐにダークファンタジー寄りの作品になったので、ぶっちゃけリアリティはゼロ。それでも鬼気迫る恐怖みたいなのが堪能できます。
ぼくのわたしの勇者学
「斉木楠雄のΨ難」で知られる麻生周一氏のギャグ漫画で、基本科目に加えて勇者学という教科を学ばなければならない学園の話。担任が自称勇者で、この男がまぁひどい。世間一般で知られている勇者のイメージとは似ても似つかないメチャクチャな男っていうね。
ドラクエ(特にSFCあたりのやつ)が好きなら笑えるポイントも多いので、とりあえずゲームにおける勇者の存在を知っているならどうぞ。
全7巻完結のおすすめ漫画
銭
世の中のお金の仕組み、お金の流れにスポットを当てた作品。とにかく幅広い業界の仕組みを楽しく学べることができるので、読むだけで勉強になる漫画です。
例えば「葬儀屋が儲かる仕組み」とか「声優は儲かるのかどうなのか」とか。人気の有無や評判の良し悪しによってピンキリだろうけど、ある程度「どんな要素でどれくらい儲かるのか」が理解できます。
マンガ家という括りで見ても、鳥山先生や尾田先生が死ぬほど稼いでいるのはまぁ分かるとして、じゃあ「アニメ化した作品がある漫画家の先生はどれくらい稼いでるの?」とか。雑誌が1冊800円なら出版社に入る金額はどれくらいなのかとか。
とにかく経済のことを知りたいという人には超おすすめの1冊。お金が好きな人にも文句なし。というか、死ぬほどお金を稼いでいて「お金を稼ぐ方法は熟知している」という人以外の全員におすすめ。
関連記事「銭」を読んだ感想・レビュー
山賊ダイアリー
罠を仕掛けたり空気銃で撃ったりして動物を仕留め、それを食べるまでの様子を描いた作品。グルメ漫画というよりは狩猟漫画かな。狩りの仕方とか調理法とか、とにかく読んでて勉強になるという印象。この知識は多分使うことはないんだろうけど、知識欲を満たしたい人には文句無しにおすすめ。
食べたいかどうかは別にして、カラスを食べた人の体験談とか昆虫食が好きな人の話とか…そういうのを興味深く聞けるという人なら間違いなくハマると思う。
聲の形
劇場版アニメ化されたことでも話題になった社会派マンガ。耳が聞こえないせいでイジメられた女の子と、そのイジメをしたことで孤独になった少年の姿を描いた作品です。
序盤は痛々しいイジメのシーンが続くから精神的にしんどくなる人も少なくないと思いますが、最後まで読んで後悔する人はほとんどいないはず。僕自身、コミックス1巻の途中で読むのを止めた経緯があるけど、最後まで読んで本当に良かったと思える作品でした。
道徳教材化されたのも頷けるくらい残酷さやリアルさ、切なさが混じり合っています。面白いって言ったらアレだけど、心に響く漫画であることは間違いないっす。
関連記事「聲の形」を読んだ感想・レビュー
タビと道づれ
タビという名前の15歳の少女が大切な人に会うために、不思議な街に来てしまったところから始まる物語。この街は毎日、同じ日を繰り返しています。しかもこの街からは出られないっていうね。
そして道を通るのにもテガタと呼ばれる紋章が必要なので、テガタを求めて冒険したり、そこで得られる出会いによって謎が少しずつ解き明かされていくという感じ。謎解き要素が強めなので、ネタバレなしで読んでほしいです。そして思いっきり感情を揺さぶられてほしい。
ぶっちゃけ何がどう面白いかを説明しようとしてネタバレになっちゃうのもアレなんでこの辺で。ここまで伏線の張り方も完璧な物語ってなかなか無いと思います。
僕と君の大切な話
あー言えばこー言う的なトークバトルが楽しめるラブコメです。トークバトルとは言っても女子側が男子に恋愛感情を抱いているという設定なので、そこまで殺伐とはしていません。
双方がお互いに「男って…/女って…」ということを言い合うという感じなので、読んでいて強く共感できる場面が多いんですよね。で、面と向かって言われてるわけでもないから、男ってどーのこーのって言われても腹は立たないし、平和的に楽しむことも可能です。
最終的な恋愛ストーリーの着地点も見事で、全7巻の中に笑いも青春も詰まっている名作漫画と言っていいでしょう。理屈っぽい言い回しが好きだっていう人には文句なしにおすすめ。
土星マンション
地球全体が自然保護区域となってしまい、地上に降りることが許されなくなった時代を描いた作品。
懐かしさを感じるタッチだけど、ほのぼの系ではなく、むしろドロドロに近いかも。温かさと冷たさが同居しているって言った方が正しいかな。宇宙感はないけど、SF要素はバッチリ。
骨が腐るまで
小学生の頃に人を殺してしまった仲良し5人組が、高校生になってから物語が大きく動き出す様子を描いたサスペンス漫画です。人を殺して山の中に埋めたかと思ったら、ご丁寧に血判状を用意して定期的に宣誓まで行っているという…。
死体はもう完全に白骨化しているんですが、ここから物語が一気に加速し始めます。埋めている場所がゴルフ場になる計画が持ち上がったり、警察じゃない何者かにバレてしまったり…。この目まぐるしい展開がたまりません。
結構グロいシーンが出てきたり、高校生たちが主人公ってことで緊張感に欠ける色恋沙汰が出てきたりもするけど、それを差し引いても本格派!物語のボリュームも最後の着地も文句なしの作品です。
サイレーン
隠れながら職場内恋愛をしている警察官2人が、不可解な連続する事件に足を踏み入れていく様子を描いたサスペンス作品。彼女に先を越されたくないっていう男心と、捜査とは言え女性と接する彼氏に対して何かを想う女心なんかの心理描写が巧みに描かれています。
いわゆる古畑任三郎みたいな倒叙ミステリー的な作品なので「犯人は誰か」っていう推理的な要素はないけど、真相に少しずつ迫っていく感じは見事なまでに表現されていました。
主人公を中心にして物語を盛り上げようとしている感があって、ちょっとそれ以外の警察の無能さが気になるけど、それを差し引いてもドキドキ感が味わえるサスペンス漫画だと思います。
ジョジョの奇妙な冒険 第2部
吸血鬼とのバトルを描いたジョジョの奇妙な冒険におけるエピソードの1つです。1部から読んでた方が入りやすいけど、これはこれで独立してるから2部から読んでも問題ないんじゃないかと思う。
よくジョジョ通は波紋が面白かったって言うよね。僕はスタンドの方が好きだけど、ワムウとジョセフの戦いはメチャクチャ名バトルだと思ってるしシーザーも好き。つまり2部が好き。
関連記事「ジョジョの奇妙な冒険 第2部 戦闘潮流」を読んだ感想・レビュー
男子高校生の日常
タイトルの通り、男子高校生の日常にスポットを当てたギャグ漫画。「あ、やっぱ男ってバカだな」ってのが再認識できる作品。でもそのバカっぽさがたまらなく面白い。ちょっとした男子校あるあるみたいな雰囲気もありつつ、男子高校生という時間を経験した読者なら「うわー、わかるわ」って場面も少なくないと思う。
物語の中にもボケやツッコミが多々飛び交うけど、読者が入り込む余地が残されているのも本作のポイント。「なんでそうなる!?」と思わず突っ込んでしまう読者も続出するはず。個人的には、卓球のラリーをしながら古今東西をするシーンなんかは何回読んでも笑っちゃいますね。
片桐くん家に猫がいる
おじいちゃんの忘れ形見でもある猫3匹+1匹と一緒に暮らしている草食系男子、片桐君の日常を描いたハートフルコメディー。個性の違う猫と一緒に暮らす日常生活は、それだけで癒しをもたらしてくれます。猫あるあるも溢れていて、猫好きにはたまらない内容と言っていいでしょう。
そして変に猫を人間っぽくして感動に寄せたりってことを一切しておらず、あくまで日常が描かれているので、動物×感動の漫画にわざとらしさのようなものを感じてしまうという人にもおすすめ。
僕はコーヒーがのめない
コーヒーに特化した漫画。僕はコーヒーを飲まないからなのか「ブルーマウンテンとかコロンビアってブランドじゃないんだ?」とか、コーヒー好きの間では常識みたいな部分も楽しめた。他にも分かりそうで分からない「カフェオレとカフェモカの違い」とか、ちょっとした雑学を学んでいる感じで面白いです。
だけどコーヒー好きの人の評判(あくまでレビュー)はあまり良くないようで、僕自身も「高価なコーヒーのうんちくよりも、安いコーヒー豆で美味しいコーヒーを淹れる方法」みたいな方向性で読みたかった感はあります。
東京闇虫
「人生で最も選びたくないシナリオ」っていうキャッチコピーが興味をそそる、日本のアンダーグラウンドな世界を描いた作品です。借金を返せずに拉致された主人公がやばい仕事に手を染めていくというもので「闇金ウシジマくん」とか「シマウマ」とかが好きな人ならハマりそうな世界観が魅力。
途中から宗教っぽくなってワケわかんなくなったのが少し残念。続編「東京闇虫 -2nd scenario-パンドラ(全8巻完結)」へと続きます。
セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん
うすた京介氏の作品と言えばジャガーが有名だけど、本作もコアなファンが多かった一作。
ぶっちゃけ意味の良くわからないギャグ漫画って感じ。良い意味で衝撃的なので読者は選ぶだろうけど、うすたワールドが遺憾なく発揮されていると思います。とりあえず「セクシーコマンドーってなんだよ」って話。そしてめそが可愛い。
全8巻完結のおすすめ漫画
ヒトヒトリフタリ
不真面目ギャルの霊が、現役の内閣総理大臣の守護霊として活躍する姿を描いた作品。最初こそ「守護霊、だりぃ…」くらいの熱量だった主人公が、自分の信念を貫こうとする総理大臣の姿を見て徐々に突き動かされていく姿に、大きく感情を揺さぶられること間違いなし!
根底に政治的な背景があるので、思想という部分でも大きな影響を受けるかも。少なくとも本作のような総理大臣がいれば、日本の未来も安泰です。
刻刻
時間の停まった世界を自由に行き来できる一族と、その力に目を付けた人間の争いを描いた作品。すごく簡単に言えば、普通の家族と宗教団体のバトル漫画です(普通って言っても時間を止められるんだけどね)。時間が停まっているとはいえ好き勝手できないルールが秀逸。
最初は状況を飲み込むのに時間が掛かるけど、意味を理解したらあとはその圧倒的な世界観に引き込まれるだけ。作中の時間経過的にもすごく丁寧に描かれている作品です。
関連記事「刻刻」を読んだ感想・レビュー
さらい屋五葉
用心棒の仕事に固執して生活苦だった武士が、ようやく見つけた仕事で人さらいの片棒を担がされたところから始まる物語。最初は「とんでもない悪行に手を染めてしまった」となりながらも、生活のためには仕方なかった部分があったり、良くしてくれる賊のメンバーと距離が近くなっていく様子に見ごたえがあります。
一言で言うと賊のメンバーとの人情物語って感じなんだけど、途中から出てくる「一点の謎」が物語を大きく動かして、そこまで行ったらもう引き返せません。僕は二連続で一気読みしました。
僕だけがいない街
「何か悪いことが起こる前に1分~5分ほど前に戻って同じ状況を繰り返す」という特殊能力を持った主人公が、幼少時代にタイムスリップして当時発生した凶悪事件を防げるか的な作品。その特殊能力も思い通りに発動できないので、やり直しがきかない(かもしれない)という緊張感が付きまといます。
いくら未来から来ていて知能も大人のままというアドバンテージを得ているとは言っても、身なりが子供のままで出来ることも限られているし、思い通りに事が運ばないジレンマも魅力の1つ。
ストーリー自体は全8巻で綺麗に完結していて、9巻目は外伝的な存在となっています。本編で描かれなかった裏ストーリーが楽しめるので、本作が楽しめた人は読むのがおすすめです。
第3のギデオン
フランス革命前夜の物語です。フランス全体が貧しくなっていて一般市民は食べるものにも困っているような状況にもかかわらず、贅沢三昧で優雅な生活を送る貴族という縮図が痛々しく描かれています。
そこで立ち上がった一人のエロ小説家が演説者になり議員になり、暴力ではなくて言葉でこの問題を解決しようと奮闘する物語です。この人物がギデオンという名前なんだけどタイトルにもあるように第2、第3のギデオンに人間ドラマが紡がれていくんですよね。
フランス革命に興味がないって人も絶対に楽しめるし、色んな立場の人間の思惑を俯瞰的に見ることができるっていうのがめちゃくちゃ面白いです。興味がなければ興味を持てばいいじゃない?
オールドボーイ ルーズ戦記
10年間に渡って私設刑務所のような場所に軟禁されていた男が、事の真相を探るサスペンス。私設刑務所とは言っても、中華料理屋からの出前はあるし、テレビは好きに見られるし…。
当の本人も恨みを買った覚えがなく、そもそも恨みを買っていたら殺されてもおかしくないわけで、10年もの長い間を無機質な部屋で過ごすことになった意味が分からないという感じ。
細かい情報から少しずつ犯人に近付いていく様子はスリルを感じるし、なにより「犯人の正体、犯人の動機」が気になって仕方ない作品です。最後まで読むと、やけに哲学的というか「えぇっ!?」ってなっちゃう感があるけど、序盤の勢いがすさまじい作品だと思う。
関連記事「オールドボーイ ルーズ戦記」を読んだ感想・レビュー
PLUTO
国民的アニメ「鉄腕アトム」の「地上最大のロボット」の回を原作に描かれた作品。僕はアトムを見たことがないけど、本作はアクションではなくミステリー要素が色濃くなってることもあって、原型はほとんどないと思った方がいいと思う。でも、それがいい!
浦沢直樹氏の作品はハズレ無しに面白いから、マジでKindle化して欲しい。本もいいけど、かさばるんだよ…。
セトウツミ
関西の男子高校生2人による放課後トーク漫画。男子高校生って聞くとくだらないことでキャッキャやってるイメージがあるけど、本作のそれはまるで漫才。テンポも良いし、読んでて「もっと欲しい!」ってなるのは流石。飽きずに全8巻一気にいけます。
ギャグ漫画にありがちな「文章が無駄に多い」「絵が汚い」ということもないし、お笑いは好きだけどギャグ漫画はあんまり…って人にこそ読んでみて欲しい。
クズの本懐
通常の恋愛漫画とは明らかにベクトルが異なる恋愛漫画。他に好きな人が居ながらにして、お互いがそれを良しとして付き合うってどんな気分なんだろう。
世の中には色んな恋愛の形があるとは言え、せいぜい2股とか3股くらいならまだ理解できるにしても、相手がそれを良しとしてあーだこーだとなっていく感じの恋愛ストーリーって初めて見た。最終的にクズ過ぎてむしろ純愛なんじゃないかって思ったり思わなかったり。
とりあえず本作を読んで思ったんだけど、恋愛には障害が多ければ多いほど燃えるってやつ、ありゃ嘘だ。
本編は全8巻で完結していて、9巻は「あれから」を描いた最終エピソードとなっています。
先生の白い嘘
レイプ被害に遭った女性が主人公で、とにかく親友の婚約者がゲス極まってる男が印象深い作品。
浮気、不倫、リベンジポルノ…かなり過激な内容が取り沙汰されているにも関わらず、エロい目線で読めないというか、色々な所に響いてくるあたりが大きな魅力。イジメとか妬みとかそういうスパイスが好きな人なら間違いなくハマると思います。
可愛そうにね、元気くん
究極のフェチと言ったら、男同士のエロトークなら笑いにつながることが多いと思います。でも本作で描かれているそれは、ガチすぎて笑えないやつです。
はっきり言って主人公と同じ目線で楽しむことはできないけど、どこかにアブノーマルな一面を持っているという人なら、少なからず共通点を感じて夢中になる魅力がある作品と言っていいでしょう。「鼻血出して戸惑ってるの可愛かった」って、こんなんホラー漫画か異世界漫画かと思うわ。
鉄風
女子総合格闘技をテーマにした格闘漫画。最近はRIZINなんかで女性ファイターの注目度も高まってきてるし、まさに旬。
主人公が才能に恵まれていて、挫折を味わいたいっていうマゾな一面を持ちつつも、すごい成長ぶりを見せるって展開が新しいです。ライバルは、才能はないけど努力を重ねるタイプ…普通、逆じゃね?王道じゃない主人公の魅力が光る格闘漫画です。
道士郎でござる
アメリカから12年ぶりに日本に来た帰国子女の物語。その帰国子女は日本人よりも日本人らしい…というか武士。
初期設定ほどギャグばかりではなく、友情とか信頼関係みたいなものにスポットも当てながら、要所要所で笑わせてくれるという何でもござれな作品で、西森博之氏らしいヤンキー的な描写と軽快なギャグの応酬が非常に見応えのある一作です。
なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか?
金持ちの家のお坊ちゃまで容姿も良く、頭も良くて運動もできる…なのに彼女がいない高校生男子が主人公。とにかく彼女が欲しくてあれこれ挑戦してみるものの、運が悪いのか何なのか一向に彼女ができる気配がない様子を描いたギャグ漫画です。
悩みは人それぞれなんだと痛感できるし、なにより僕の場合は感情移入はできないけど共感できる場面が多かった。自分が奥手だと感じている人とか彼女が欲しいという人には文句無しにおすすめ。
ボンボン坂高校演劇部
割とまともな男子高校生が主人公。彼は女性目当てで演劇部に入るんだけど、清楚で可憐な副部長だけでなくオカマで変人の部長もいて、その変態部長に目を付けられてしまうというある意味悲劇と言えるかも。
ホモネタ、下ネタは割と多め。たまーにドキッとするようなシーンもあって、90年代のジャンプを代表する多様性ギャグ漫画だと思います。部長の気持ち悪さ、個性的な部員たちが魅力的な作品です。
QP
不良モノって言えば学校単位で描かれることが多いのに対し、このQPはヤクザとの抗争とか社会に出る苦労みたいなものを描いていて、通常のヤンキー漫画とは流れが違う作品です。
第一に「ヤンキー漫画=友情」っていうか、どんな窮地に陥っても仲間を助けて一緒に戦うのがデフォみたいな部分があるのに、ここでは仲間とのすれ違いみたいなものに重きが置かれていて、他のヤンキー漫画には見られない感じに仕上がってると思う。主人公が主人公っぽくないのも、今考えたら大きな魅力。
全9巻完結のおすすめ漫画
坂道のアポロン
音楽と青春が上手く融合していて、第1巻の表紙からは想像できないくらいの熱量をもった作品。僕は音楽に興味があまりないし、ジャズなんかほとんど聴いたことがないけど、本作はメチャクチャ面白かった!
恋愛模様とか友情とか色んな要素のバランスも良くて、捨てるところがない青春ストーリーなので面白くないわけがない!まだ読んだことが無いと言う人は、ぜひ読んでみてほしいです。
本編は9巻完結ですが、ボーナストラックとして「本編には収録されなかったオマケ」があり、これも素晴らしい出来のため実質10巻完結みたいなものです。
I”s
連載当時はなんだかHっぽくて手がでなかったけど、完結してから読んでみたらすごく深い恋愛ストーリーに一気に引き込まれました。実際の恋愛っぽいというか、主人公が何か失態を犯す度に相手の女の子がどう思ってるかが描かれていないから、読んでるこっちもドキドキするんですよね。
主人公の不器用さといい、女子の思わせぶりな態度に困惑する様子も最高。陰キャ寄りの学生時代を過ごしたって人にはめちゃくちゃ刺さる恋愛漫画です。
これを読むと恋がしたくなる。恋とかそういうのとかけ離れてくると「あー、青春時代って良かったなぁ」って思う。そういう時は本作を手に取りましょう。あと桂氏が描く女の子は可愛すぎて反則。
ちおちゃんの通学路
「波瀾万丈のエクストリーム登校コメディ」というのがキャッチコピーになっていて、通学途中の様々な出来事が面白おかしく描かれています。登校拒否してたって人ならアレだけど、普通に学校に通っていたって人なら「分かる!」と言わされるシーンも少なくありません。
最初は共感してたのに、気付いた頃には「なんでそんなことになんの!?」って突っ込まずにはいられない空気感も最高。最初から最後まで全力疾走してくれるし、個人的には読まなきゃ損なギャグ漫画くらいに思っています。
特攻の島
舞台は大東亜戦争末期、生きては帰れない人間魚雷「回天」に搭乗することになった若者達の苦悩と生き様を描いた戦争ドラマです。搭乗者が死ぬことが前提とした兵器っていう部分に、ただならぬ狂気を感じさせられました。
この時代は空戦でも神風と呼ばれる特攻を行ってたんだけど、こっちが有名すぎて人間魚雷の方はあまり知られていないんじゃないかと(そうでもないかな)。いずれにしても今を生きる僕たちの常識を逸脱している世界観のある戦争漫画です。
戦地に死にに行くっていうのも辛いし、友人の死を間近で感じたのに自分は戦地で死なずに生きて帰ってくるってのも辛い…。とにかく戦争の辛い部分が集約されている全9巻と言っていいでしょう。
ゴタ消し 示談交渉人 白井虎次郎
闇の交渉術という謳い文句で描かれている交渉のあれこれ。警察が立てこもり犯にやるような交渉術から、弁護士っぽいことまで幅広い交渉術を楽しむことができます。
相手を騙すことで相手の上をいく感じは心理戦や頭脳戦などの駆け引きが好きな人なら楽しめるはず。説明が丁寧でわかりやすいし、悪人が最後に痛い目に遭うという構図は気分爽快で心地良いです。
I’ll
バスケというスポーツを交えながら、青春時代の青臭さみたいなものを上手く表現している漫画で、読んでいて胸が打たれる読者が続出したと思う。
ゴリゴリのスポ根とはまた違う男同士の友情は見応えあり。バスケ漫画って感じじゃないから、スポーツとしてのバスケに興味が無くても楽しめるはず。
タイプの違う2人の主人公の掛け合いも読んでいて微笑ましいし、大人の読者なら「自分にも似たような時期があった」と思わされるような懐かしさが感じられる名作です。
鉄腕ガール
終戦直後の日本を舞台に、女子野球で立ち上がった1人の女性にスポットを当てた作品。
ホステスをやっていた女性が、容姿端麗で野球の才能もあるということで、ビジネスの一環として野球チームに誘われるところから物語がスタート。アメリカとの対決なんかが「これは戦争か!?」くらいの感じで描かれてます。
髙橋ツトム氏の独特な世界観と絵のタッチが存分に生きている作品。本作を読むときは、ただの野球漫画じゃなくて「1人の女性の生き様を描いた作品」くらいに思ってた方がいい。
僕たちがやりました
青春×サスペンスにギャグっぽい要素も入っていて、よくわからないけど逆にそれが魅力的な作品でした。普通の人生を望みながらも非日常に期待してしまうイマドキの高校生たちが、不良に絡まれた仕返しに脅かしてやろうと思ったらやりすぎて死者が出てしまったという流れ。
「人生はそこそこでいい」とか、自分がそこまで優れた人間でもないのに自分よりも下の存在を見つけて底辺って言っちゃうあたり、どこにでもいそうな登場人物たちに親近感が湧くという読者も多いはず。いわゆるDQNがいっぱい出てくる話なんだけど、想像していたよりも遥かに結末は重かったです。何かを考えさせられる感じ。
悪の教典
高校教師vs高校生の殺し合いを描いた作品。絵が綺麗で、初めて読んだ時は八神月を思い出した。
日本で持て囃される学園モノって大多数が熱血教師系の作品なんで、そういう意味ではこういう作品があっても新鮮でいいんじゃないかと思います。残酷な物語やデスゲーム、ホラー作品などが好きな人におすすめ。伊藤英明さん主演で実写化もされています。
全10巻完結のおすすめ漫画
寄生獣
人を食べる寄生生物が地球に来たという物語。主人公は寄生生物に身体を乗っ取られそうになるんだけど、間一髪で脳までは支配されずに右腕だけを乗っ取られてしまいます。1人の人間の中に元々の人格と寄生生物が住んでいるという感じ。
大まかなジャンルで言えばバトルアクションとかホラーに分類されるんだろうけど、相手が未知の生物ということもあって興味深さから物語にグングン引き込まれること間違いなし!
人を捕食したりするシーンがあるからどうしてもグロいシーンはあるし寄生生物同士のバトルもグロテスクだけど、あくまで根本にあるのは自然の摂理というか種の生存競争なのでいたずらにグロいわけではありません。物語のスケールも大きく、色んな気付きを与えてくれる作品です。
関連記事「寄生獣」を読んだ感想・レビュー
BLUE GIANT
世界一のジャズプレイヤーを目指す男子高校生が、毎日サックスの練習に明け暮れる日々を描いた作品です。サックスだけを持ってノープランで上京し、そこで一定の結果を残せるかどうかっていう物語全体の第一部に相当します。
本作で描かれているのは高校生編と東京編で、主人公の努力と恵まれた環境が光っているのが印象的でした。もっとも環境が恵まれていたっていうのは、主人公の人柄と努力の賜物だと思うけど。とにかく熱い音楽漫画と言えるでしょう。
ジャズやサックスに興味がなくても全然OK!僕は本作を読んでいて何度も鳥肌が立ったし、音が聴こえてくるって表現も過言じゃないと思っています。ちなみに物語の最後は「えぇ!?」ってなるうえに続編ありきな終わり方です。続編の「BLUE GIANT SUPREME」もおすすめ。
僕はビートルズ
ビートルズの大ファンでコピーバンドとして活動していた4人が、ビートルズのデビュー前にタイムスリップしたという話。「過去にタイムスリップできたとして、あの名曲を自分の物として発表できたら…」って妄想をしたことがある人には、めちゃくちゃ刺さるストーリーです。
現代では広く知られているビートルズの曲を自分たちの物として世の中に公表した時、自分たちはビートルズになれるのだろうか。そしてその時、本物のビートルズはどうなるのだろうか…みたいな部分が読んでる間ずっと気になります。
僕は洋楽を全く聴かないからビートルズって言われても何曲か聴いたことがあるってレベルだけど、本作はめちゃくちゃ面白いと思ったし、これきっかけでビートルズを聴いてみたくなりました。
中間管理録 トネガワ
「賭博黙示録 カイジ」にてカイジをあと一歩というところまで追いつめた利根川を主人公としたスピンオフ作品です。本編を読んだだけでは絶対に知りえなかった利根川の人間っぽい一面を堪能することができます。
あれだけ「これがこうってことは裏の裏で…」みたいな高度な駆け引きをやっていたような奴が、部下の名前と趣味を覚えるのに四苦八苦する様子は面白さ以外の何物でもありません。山崎と川崎、荻野と萩尾に苛立ちを隠せなかった中間管理職の人間ってそうそういないと思うんだけど。
普通のサラリーマン系ギャグ漫画としてもクオリティは高く、そこにさらに「あの利根川がっ!?」っていうのが乗っかるので本編を知らなくても楽しめるし、本編を知っているとより一層楽しめるギャグ漫画です。
不死身の特攻兵
「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵(故・佐々木友次氏)の物語。物語の序盤に「実話である」と描かれていますが、脚色はありそうだし、完全に真実であると決めつけて読むことはおすすめしません。
でも戦争の凄惨さは痛いほど伝わってくるし、本作の根底にあるようなことを後世に伝えていくべきじゃないかと思います。現代社会でも日本と仲の悪い国がいっぱいあるけど、これを読んだら冗談でも「戦争」という言葉は出ないはず。
罪と罰
ドストエフスキーの「罪と罰」を現代日本を舞台にアレンジして描かれている作品です。簡単に言えば「社会の利益になるという前提で、それも天才の手によるものだったら殺人も許されるかどうか」みたいなことがテーマになっています。
本作では殺人を犯した主人公が警察から逃げる展開がスリリングに進行しつつ、心のどこかで「このまま逃げ切ってもいいのか?」みたいな葛藤で揺れ動いたりするんですよね。そもそも逃げ切れるかどうかも分からないし、少しずつ警察の捜査の手は近付いてくる中で、色んな感情に揺さぶられる様子が超リアル。
最初はいじめのシーンに始まり、人間の醜い部分もさらけ出す感じの作風なので読者は選ぶと思うんだけど、警察から追われる側のサスペンスが見たいという人にはおすすめです。
関連記事「罪と罰」を読んだ感想・レビュー
魔王 JUVENILE REMIX
伊坂幸太郎の「魔王」を原作として描かれた漫画。特殊能力を持った主人公と、自警団グラスホッパーを率いるカリスマが対立する話。
主人公の持つ特殊能力は腹話術と呼ばれていて「自分が思ったことを誰かに喋らせる」っていう一見ショボい能力なんだけど、使い方が重要なんだと思い知らされたっけ。全10巻、最後まで失速することなく、最後の着地も綺麗に決まった作品です。
いぬやしき
家でも存在を煙たがられている見た目おじいちゃん(実際はお父さん)が、ある出来事をキッカケにロボットのような身体にされ、世界を救うヒーローになるという物語。
人は力を手に入れた時に使わずにはいられないって言うけど、それを悪い方向に使う人間ばかりじゃなく、良いことに使う人間もいるってのが本作の見所。同時に力を手に入れた2人が真逆の行動に出るのが人間っぽくて面白い!
あと純粋に、家庭の中に居場所が無くなりかけているおじいちゃんが主人公ってのが斬新です。最初はおじいちゃん主人公に魅力を感じなかったけど、読後に同じことを思う読者はいないと思います。
君のナイフ
お金に困っているところに「人を殺したら金をやる」と言われて、それに乗るかどうかという話。
身内の命を救いたいという理由からその誘いには結果的に乗るんだけど、人を殺すのに刑事と組むことになったり殺した人間の娘に懐かれたり…とにかく先の展開が予想できないサスペンスだと思う。終始ミステリアスな空気を纏っていて、読後に訪れる感情も不思議なものに。
ニコイチ
事故で亡くなってしまった元カノには2歳半の隠し子がいて、その子を引き取って育てることになったものの、父親だと一切なついてくれなかった為に女装をデフォにして、その子の母親として生きていくことになった1人の男の物語。
会社では男、家では女の二刀流。会社の同僚(女)に片想いをするが、その相手は「主人公の女性verは好きだけど、男性verは苦手」という、極めて複雑な三角関係に発展します(ちなみに同一人物であることは隠している)。
子供と血が繋がっていないということをカミングアウトしなければならないという大仕事があるかと重きや、その前に「母親じゃなくて父親なんだよね」と打ち明けなければならないという部分に、笑っちゃいけない笑いみたいなものが込み上げてきます。ドキドキ&ハラハラが続く全10巻のコメディーです。
恋は雨上がりのように
女子高生がバイト先の店長に片想いをしている物語。店長は見た目通りのオッサンで、仕事が出来るわけでもなければ、身だしなみもだらしない冴えないオッサンです。
「そんなオッサンになぜ女子高生が!?」って思う人もいるだろうけど、そういう人はとりあえずコミックスの1巻だけでも読んで欲しい。ものの数分で「あぁ、恋って理屈じゃないんだな」ってことを再確認する事になると思います。
ある程度大人になってからだと、若い頃に読めたような恋愛漫画が恥ずかしくて読めなくなったという人もいるのでは?そんな人でも爽やかな気持ちになれる恋愛物語です。
ボーイズ・オン・ザ・ラン
冴えないアラサー男の日常を描いた青春ブルース。仕事も恋愛も上手くいかず、頭の片隅にはエロいことが巡っているという…どこにでもいそうな主人公がポイントです。
徐々にヒロインとの距離を詰め、いい感じになってきたかと思えば些細なことで挫折してしまったり…。これまでの人生に、自信を持って「充実していた!」と断言できないアラサー男子には刺さると思う。
「純情だと思っていた彼女が純情じゃなかった」とか「好きになった相手が既婚者だった」とか。大人ならではの恋愛模様も味わえるし、十代とは違う二十代の社会人ならではのエロい妄想なんかも共感を呼ぶのではないかと。感情移入しちゃうとジェラシーがハンパないけど、30歳以上の男性におすすめしたい漫画です。
みどりのマキバオー
少年ジャンプが誇る競馬漫画。鼻の穴がやたら大きくて少し下品な絵で読まず嫌いをしている人も多いんじゃないかと思うけど、かなり感動する競走馬ストーリーです。絵が苦手だからって読まずにいるには、あまりにも勿体無いと思える作品と言っていいでしょう。
主人公のマキバオーならびにライバルのカスケードなどの戦績が漫画なのにシビアで、読み進めていて「どうせ勝つんでしょ?」って冷めた感じになりません。心の底から「マキバオーがんばれー!」ってなる。
厩舎で自分の獲得賞金を賭けて馬が博打やってるような世界だけど、感動する漫画が読みたいという人、競馬や馬が好きならおすすめです。
大東京トイボックス
前作「東京トイボックス」の続編。新たなキャラを加えて再発進したゲーム業界物語です。
ゲーム開発には幼少の頃に憧れたという人も多いだろうけど、実際はデバック作業とか地味な部分も多かったりして、そういう日の当たらない部分なんかもしっかり描かれているように思います。
そして前作に負けず劣らず熱量がすごい!クリエイターの苦悩も喜びもしっかり共感できる全10巻です。ちなみに補足的な「大東京トイボックスSP」もセットでおすすめ。
浜村渚の計算ノート
義務教育から数学が無くなった日本において、数学を無くされたことを不満に思った人間がテロを起こし、その解決に挑む天才少女の物語です。
数学とミステリーの掛け合わせって発想は秀逸だと思うし、数学に関しても四色問題とか円周率などの身近なテーマに焦点を絞ってるのもいい。「0×0=0、0÷0=1」って事実は知ってるけど「じゃあそうなる理由を分かりやすく説明できるか?」って聞かれて答えられる人って、意外と少ないと思うし。
本作を読んでみて「数学が嫌いな人に読ませたら、苦手意識も薄れるんじゃないか?」と思いました。数学は公式の暗記だと思っているような人はぜひ読んでみて欲しい。
天にひびき
少年時代にオーケストラの練習風景を見に行ったら、自分と同じ年くらいの小さな女の子が急に現れてプロ顔負けの指揮を披露したところから始める音楽を題材にした漫画。
舞台はいきなり音大時代に飛んで、久々にその天才少女と再会するって流れなんだけど、手の届かないほどの天才になっているかと思いきや意外と普通っていうね。
オーケストラなんだけど指揮者にスポットを当てた作品は珍しいし、僕みたいに「演奏するのは人でしょ?」というように指揮者の必要性がイマイチ分からないって人ほど楽しめるんじゃないかと。
エンジェル伝説
見た目は悪魔なんだけど、内面はメチャクチャ優しい心の持ち主が主人公のヤンキー漫画。ギャグテイストがかなり強くて、所々のすれ違いがとにかく面白い。人は外見じゃないとは思うけど、内面は外見に出るよなぁとも思うわけで…。気の毒だけど笑っちゃいます。
作者の八木教広氏はCRAYMOREも有名だけど、王道なダークファンタジーも書けてこういうギャグテイストの強い作品も描けるんだからマジで天才だと思う。
Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁
警察が取り扱わないような民事案件の解決に尽力する、民間科捜研捜査員が主人公の新感覚ミステリー作品。味のあるタッチの絵が渋くてカッコイイ。
最初に取り扱われたテーマが「痴漢冤罪」と「交通事故で自殺と判定された父親の謎」ってことで、一気に心を掴まれました。エピソードの1つ1つが感動的に仕上がっているのもイイ意味で憎い。
1話完結型のエピソードが多く、その中で依頼受注から問題解決までこなさなきゃならないため、捜査パートが簡潔になっているせいかミステリーとしての読み応えが薄くなってるのが少しだけ残念。
椎名くんの鳥獣百科
動物学者を目指している椎名青年の姿を描いた作品。最初はBL作品かと思うくらい強いクセを感じたんだけど、内容は至って普通の健全なやつでした。
そしてとにかく鳥がたくさん出てくる、そして鳥の絵が上手すぎる。鳥が好きな人ならすごく楽しめると思うし逆も然り。ぶっちゃけ「鳥なんか全然興味ねぇわー」って人だと楽しめないと思います。
僕もそこまで鳥に興味がある方ではないんだけど、小学生くらいの頃に動物図鑑を見てキャッキャやってた頃を思い出して結構楽しめました。
イキガミ
命の尊さを認識させるという目的で、1000人に1人は18歳~24歳の間に死んでしまうという決まりごとができた日本社会を描いた作品です。僕はこういう政府の陰謀みたいな設定がある暗い作品がメチャクチャ好きだから、最後まで楽しむことができました。
読み進めながら常に「もし自分が選ばれていたら?」みたいな悪い想像が付きまとうので、変な気持ち悪さがやみつきになります。自分が選ばれなかったとしても自分の恋人とかきょうだいが選ばれてたらって考えると、何かを思わずにはいられません。
でもKindleレビューを覗いてみると結構酷評されてるんで人を選ぶ作品かも。「この高齢化社会で若者を殺すなんて…」って言い分はごもっともだけど、難しいことは考えずに楽しめる人なら大いにありだと思います。
あとがき
最も読みやすいのはここ(ただし打ち切りじゃないものに限る)。